水のくぎり

指の動きに指の夢があるのか、よみがえる鼓動よ、花びらを放射し
同じ形を生きつづける、半狂乱の気持ちで
なにかにとりつかれて、生命の破片を紡ぐ
起きていても眠っていても、そのまま

外に出なければ、心が、瞳がきりきりと絞られる
窓枠の中央から迸る冬景色、からだの圏からも
完璧なセカ、魂は凝縮する。夢の断片の持続、接続。
癒し、癒しだと?

廊下には、公園の夜が待機して、光が届くに違いない
父の寐床に、予感にあふれる群青色の波が
深夜の表情が、父のマスクが、かっと凝固をはじめているのだ

わたしたち、子供たちの頭にあるのは、飛行機とか、建物とか、武器とか、あるいは言い伝えにある、不吉な玩具だとか
断片のつながる、無限の可能性、永遠の勇気だったが
ふざけるな! だれの癒しだ、なんの癒しだ。雪の後に生まれかわるふりをして!

活火山の錘りを地底のマグマに括りつけ、夜が深いのか昼が深いのか。迷っていない。確かめているだけなのだ
ネガのように透明な、おまえの告白を

薄闇の光の閉じてゆく開いてゆく
自然公園の猿はこぞって投身自殺するのに
癒しを与えざるをえない、おまえの罪障そのものを
シナプスが痙攣し、神経が絡まり、重ねられた掌には動かぬもの
骨を包み込んだ卵の殻、衝突をつづける飛行体の

思考が実験している肉体の、怒りが高まる瞬間
ゲンジに対する怒り、古い皮膚、睡り、水の温もり
重金属の液が、金属の流動色が澱んでいたのだ