緑字生ズ 009 (夜の影)

9

夜の影
書物の病よ
夏がかすかに開いている
あつい欲望につらぬかれている

その頁の間
夜の光と狎れ親しんだ
夏がかすかにふるえている
その色は色を失いしもの

はかない夢寐
はかない悲哀
魚から進化した魚の意識
朝はただ朝である