緑字生ズ 010 (足をとらえる氷)

10

足をとらえる氷
道路はゴム棒のようにはねている
真珠の中の声
恋唄にこたえて波が割れる
紙のめくれる音
すさまじい食欲
波のような肉体
つまり青い骸骨
口笛を吹いて
詩を書くのをやめる

緑の光の下で
マラソンランナーが坂を上がると
肩口にハンガリアン・ラプソディーが流れ
早朝の距離はちぢまらない