緑字生ズ 081 (なにものかに死が……)

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なにものかに死がさらわれた
スナモグリのように
君は十字路から駈ける
――後を追うJohn C.の亡霊

ゆきだおれのソウルという、魅力的な宿命論
死のうちに放擲された夜もまた
死のままに己れを復元していたのだが
――ところで、堕天使の魂は?

夢の材質と信じて
拷問室の壁に接吻する女
三十六の方向に開いた
光の固形物という考え方もある
――「地獄は天獄の参道」という人の話だ

金髪の美女の首を抱く、黒人の死よ
のたうちまわり、火そのものを構成しているような
壁の中で啼く、三つの死よ
明るい時代、明るい未来のある時代、恋人たちの健康な時代

街娼を求めて
地球の裏側でマルセラに出会う
詩集を売っていた少女が
ふとしたはずみで、夜の、黒い仮面をかぶる