擬宇宙論:5285: 〈美術衝動〉10-36

〈美術衝動〉「10-36秒」L, R

 Super-string 10-36秒 (L) , 2006.7, oil, canvas, F100(130.3×162.0cm)  Super-string 10-36秒 (R) , 2006.7, oil, canvas, F100(130.3×162.0cm)x2
Super-string 10-36秒 (L, R) , 2006.7, oil, canvas, F100(130.3×162.0cm)x2

ビッグバンから10-36秒後に高次の真空相転移が行われ、すでに析出されている重力以外の3つの力、電磁気力、強い力、弱い力が発生する。こうして、真空である原初の宇宙から4つの力が分離することで物質が生成されていくことになる。
相対性理論では力は時空間の歪みであるとされるが、超ひも理論では粒子の交換である。
この粒子はひもエネルギーの振動なのだが、それらはどのような物質情報を担っているのだろうか。
物質は対称性という複雑な分岐の過程であり、巨大な宇宙もそもそも一個の粒子、その粒子と反粒子に端を発している。何もないものが無理やり引き剥がされて、何もないからこそ復元しようという宇宙規模のエネルギーがさらに分離し、物質も分岐し、ぶつかり合い、集合し、またぶつかり合い、このようにしてデコヒーレントが働き、宇宙は膨張していく……。
そして、この力の分離という、存在というにはあまりに短い認知不能の瞬間抜きには、あらゆる事象と万物は実在しえないのである。
物質粒子と力の粒子が混淆し、劇しくゆらぎ、このプラズマの内と外との境界はそれ自体が位相転移なのだが、さらにこの宇宙面が布のように裏に折れ曲がり、別の多次元を包み込み、そこにひょっこり現れ、剥き出しにされるものが現実であるとすれば、堅固に見える現実とはいったい何なのだろう。

[作成時期] 2007.05.10