緑字生ズ 169 (黒ずんでもおらず、……)

169

黒ずんでもおらず、澄みきってもいない
佇んでも、駈け出してもいない
肩を寄せ合うものも
抱き合って泣くものもなく
山巓を染める夕焼が
忘却のように
動悸をつのらせ 陥ちてゆく

ひじの季節
ツバサゴカイを垂れて
あらためて水の中に蠢くものを探る
疾走という火照り
衰弱という力
目前の死よ、扉を叩く破滅
心ひかるる波、波
振り返って巣へと戻るもの
青い闇の底で発光するもの
camera obscuraの中の
鏡に流れる無数の貌