連載【第001回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: Invisible 1

 Invisible 1
 私は私の属しているものを知ることはできない。また、私が属しているとされるものも、私を知ることはない。さらに、私が私を属しているとするものを推測することはできるが、ほんとうは知ることはできない。私がこれらを知ることができるとすれば、それはファシズムとは何かということに尽きるのであり、私自身の自由からも、あらゆる存在の自由という問題からも遠く隔てられてしまったものについてなのである。

 私はまずあなたに問いかける。あなたは私自身であるのかもしれず、また私の隣のあなたであるのかもしれない。また、私とはまるで無関係なあなたであるのかもしれない。しかし、いずれにしても、私は問いかけるためにあなたを必要としている。
 それにしても、私が問いかける事柄はどこからやって来るものなのか。あるいは、いつやって来るのだろうか。そして、ほんとうに問いかける事柄があるのだろうか。けれども、来たるべきものはやはり来るのだという予感はある。しかし。
 そもそも、私は何を問いかけて、その問いかけがどのような意味を持つのかをいまだに知ることができない。何を考えようとしているのか、何を始めようというのか、私にはまだ何も見えていないのである。
 おそらく、私は何かの一部に問いかけているに違いない。その一部がどのようなものの一部なのかを永久に知ることはないだろうが、たしかに何かの一部分であるということに誤りはないだろう。私の考えはこうだ。私はあらゆる「部分」に侵襲されている。(つづく)