【登録 2003/12/27】  
紙田治一 遺稿[ 医療 ]


クランケの呟き

12 医は算術!?


 医は仁術と古来から言われているが、近来の医は算術医だと言われている。それは医療が保険診療であるため、点数にて計算されるようになっているからだ。
 1点単価(10円)で全部算定され、さらに薬価も薬価基準で定められている。アルットといえども、ただ診療さえしていればよいという時代ではなくなった。アルットも計算、数字に明るくなければ経営がなりたたぬ。
 しかし、損得を度外視して、クランケのために診療するアルットも結構多い(昔からの赤髯医者である)。昔から医療経営とは儲からぬものなり。
 しかるに、ごく少数ではあるが、計算高いアルットも存在する。乱診乱療・高額医療・クランケからの差額徴収など、儲け主義に走る者は氷山の一角ではあるが、悪徳医として世の指弾、非難を受けている。
 クランケの入院を長引かせる、退院して通院できるのになんだかんだといって退院を延ばす病院。また無責任にも、自院では診断・治療ができないのに、しかるべき病院に速やかに転院させず、ずるずる引き延ばし、あげくに手遅れになる。こんな目にあったクランケは大災難、手遅れで死にでもしたら大問題、それこそ医師の仮面を被った殺人者ではないだろうか?
 検査漬け、点滴注射、薬漬け、保険診療病名(診断病名でなく、使用薬品の種類で適当に請求できる病名を書く)などは日常茶飯事のことで、あちこちに結構ある。

(未定稿)

[作成時期]  1989.1.11

(C) Akira Kamita