A)消化管に自然肛門に替わって排便口(ストーマ)を造設しようとする場合は、まずストーマが必要な理由に基づかねばならぬ。
下記による場合。
1)腸や肛門の閉塞によって起きた腸膨張(イレウス)を軽減させるため。
2)腸切除術や腸穿孔閉鎖術後にイレウスが起こるのを予防するため。
3)腸吻合部に起きる縫合不全や腸管壊死を防ぐガス抜きを設けるため。
4)既に縫合不全や腸管壊死が起きた場合、その部分を便が通過しないようにするため。
5)手術をせんとする腸や肛門の部分に便が流れ込んで汚れるのを避けるため。
6)腸や肛門の傷とか瘻孔とか炎症が早く治るように、その部分に便が接触するのを避けるため。
7)肛側の腸管や肛門を切断したあと。
8)切断はしないが、直腸や肛門を閉じてしまった場合。
9)一次的腸吻合術を行なうことが困難な場合。
10)経肛門排便が困難な場合。
B)ストーマが必要とする疾患
(1)絶対的永久ストーマや、暫定的ストーマが適応とされる病気
1)大腸癌(特に直腸癌、結腸癌、盲腸癌)肛門癌・前立腺癌や膀胱癌等の泌尿器疾患とか子宮癌や卵巣腫瘍等の生殖器疾患で、直腸に浸潤、癒着しているもの。
2)腸重積・腸捻転・胎便腸閉塞・その他のイレウス
3)腸壊死・大腸穿孔・穿孔性腹膜炎・腹腔内膿瘍
4)大腸憩室炎・腸結核・潰瘍性大腸炎・肉芽腫性大腸炎(クローン病)・放射線性大腸炎・放射線性直腸炎・新生児壊死性腸炎
5)巨大結腸症・ヒルシュスプルング病・結腸閉鎖症
6)鎖肛・直腸腟瘻・直腸膀胱瘻・直腸尿道瘻・直腸重複症・総排泄腔外反
7)直腸瘻・肛門直腸周囲膿瘍・肛門狭窄症・重症脱肛・重症肛門湿疣・直腸狭窄
8)直腸潰瘍・直腸腫瘍・骨盤内腫瘍(転移を含む)
9)大腸ポリポージス
10)腸や肛門の外傷
11)大便失禁症・重症便秘症
12)中枢神経系疾患(特に脊髄損傷)
13)後腹膜腫瘍・腸間膜腫瘍
14)腸管切除術や腫瘍剔出術等が出来ない場合、全身不良状態とか末期状態等
15)何回かに時期を分けて根本手術を行う場合、ある時期にストーマを造設することあり
C)ストーマの種類
(1)永久的ストーマ
(2)姑息的ストーマ
(3)一時的ストーマ
D)ストーマの型
1.単口型ストーマ(非連続性)
2.吹穴型ストーマ(連続性)――糞瘻
3.ループ(環型)ストーマ(連続性)――棘つきストーマ
4.二連銃型ストーマ(非連続性)
5.複口型ストーマ(非連続性)口側口をストーマ・肛側口を粘液瘻という