【登録 2003/08/01】  
紙田治一 遺稿[ ある医師のストーマ闘病記 ]


ストーマについて 3


ストーマ(人工肛門、糞便排出口とは?)


 自然の肛門に対して、手術によって、つまり意識的、人工的に造った便の開口部を人工肛門と称している。英米ではコロストミーcolostomy(colon結腸+ostomy出口造設術)とイレオストミーileostmy(ileum回腸+ostomy出口造設術)とに分類し、呼称している。
 人工肛門は、人工腎や人工心肺のような人工材料で造った代用物、という意味ではない(人工材料で造った本当の、人工肛門も近き将来には必ず出来ると考える)。記録上から、18世紀の初めにフランスのリットレ(M.Littre)氏が初めて人工肛門を造ったことになっている。それから由来して、左下腹部に人工肛門を造る手術をリットレ手術と称する。
 ストーマは腹壁皮膚から約0.5−3.0cm突出しているのが普通で、この類円形(直径2−5cm)のピンク色の柔らかい組織(粘膜)には痛覚や触覚はない。硬い大きさによってストーマの引き伸ばされるのを感じた経験がある。ストーマとは便の出る場所が変わって、自分の意志と関係なく便が出て来る。排便に関しては、まるで未経験、新生児(赤ん坊)と同じで、新たにトイレット・トレーニンクをしなければならぬ。


ストーマの位置と腸管の部位


 ストーマ(人工肛門)として開口される、腸管部位によって、次のように分類される。また、それに相当する腹壁の位置に、開口させることが多い。

 回腸−右側結腸で開口したストーマは非吸収便または液便−軟便を排出する湿肛門(ウェット・ストーマ)である。
 それに対して、左側結腸で開口したストーマは貯蔵便または軟塊便−硬便を排出する乾肛門(ドライ・ストーマ)といえる。

(未定稿)

[作成時期]  1988

(C) Akira Kamita