短縮小腸に於ける合併症と対策
万一、小腸が2/3以上切除されると、小腸広範囲切除後症候群といって、消化吸収不良症状が出て来る。ここでは広範切除に至らないまでも、回腸末端を含む小腸切除に関連して生じる合併症を挙げてみる。
1)下痢
主要原因は消化吸収面積が減少したことによる。下痢を止めるだけでなく、水分や電解質や蛋白質の補給を怠ってはならない。
2)小腸閉塞
吻合部狭窄よりも癒着や内ヘルニアによるイレウスが多い。便秘、嘔吐、腹痛等の症状が出たらすぐ医師を呼ぶ。
3)牛乳不耐症等
特定の食品を摂取すると消化不良症状を呈するもの。対応する酵素の不足に因るものと思われる。不耐食品を摂取しない。
4)ビタミン、胆汁酸、コレステロール等の吸収障害
それぞれの症状(貧血や胆石や下痢など)が出現する前から留意して、投薬や注射などで補っておくほうがよい。
5)小腸感染症
大腸常在菌や病原菌の小腸への逆行に因るものと考える人が多い。やはり、下痢腹痛があり、やがて発熱をみる。非吸収性サルファ剤を服用する。
排泄のコントロール
腸管ストーマにおいては、間欠的排便となるので、その回数とか排便の方法が問題になる。
A.排便回数の問題
B.排便訓練(トイレット・トレーニング)法
C.洗腸排便
D.洗腸の実際(方法は医師の指導を受ける)
E.洗腸排便法の注意事項を守る
F.簡易浣腸法
G.特殊浣腸療法
H.子供のストーマ
以上、最初は医師かET(ストーマ療法士)の教育指導を受けて後、クランケや家族が日常のコントロールを行うべきである。医師やETは必ず継続して指導すべきである。