【登録 2003/08/08】  
紙田治一 遺稿[ ある医師のストーマ闘病記 ]


造設後の生活 1


食生活問題について


 ストーマクランケの飲食は、栄養、消化、吸収に加えて、調理する者や、運ぶ者、周囲にいる者が無関心であるうえに、希望を訴えても改善せぬこと等は、クランケに食事に対して絶望感を抱かせるばかりか、拒食症に陥らせる。ストーマの部位によって異なるストーマ献立を設けるべきである。特に病院の患者給食においてをや……。

a.食事内容について
 1)食べる物、飲む物は生命、体力の維持と補強に繋がる物でなくてはならない。しかし、必要以上の物を摂取する必要はない。例えば、適量のアルコール飲料は身体のためになっても、度を過ぎると下痢を起こす。また食べる量が少ないと排便が見られなくなるが、これを便秘と間違えてはいけない。
 2)含水炭素(炭水化物−糖分)、蛋白質、脂肪、ミネラル、ビタミンなどの必要栄養素のバランスが取れていること、偏食すると腸の活動が不自然になりやすい。例えば、あるビタミンの取り過ぎは下痢になる。
 3)冷た過ぎるものとか、熱過ぎるものは、胃腸を異常に刺激することがあるので注意を要する。
 4)ストーマは病気ではないのだから、ストーマ食はないんだ、クランケが自分で馴れさせる方が良いという説もあるが、漸次馴らさないと、クランケは不幸な転帰(下痢と栄養障害のため体力や抵抗力の低下を招き、余病の感染の危険に曝され、加えて生命の危機に立たされる)を辿る。医師、E・T、栄養士の研究と、細部にわたっての懇切丁寧な指導が肝要である。

(未定稿)

[作成時期]  1988

(C) Akira Kamita