五十一、攻撃編成なる

　その夜、藤田大佐が佐藤少射に手渡した攻撃編成表は詳細をきわめていた。練りに練って作り上げたその作戦計画は（一）編成、（二）攻撃目標とその部署、の二つからなっていた。

（一）編成
一、作戦本部（位置東昌区清真街栗林宅）司令・藤田大佐
　本部付き将校　近藤大尉、赤川大尉、佐々木少尉
二、第一中隊　佐藤少尉以下第一二五師団下士官、兵による一〇〇名
三、第二中隊　阿部大尉以下除隊兵、野戦病院派遣将兵二五名の混成による一〇〇名
四、第三中隊　寺田少尉以下除隊兵混成による一〇〇名
五、第一遊撃隊　高津戸中尉以下第一二五師団通信隊下士官兵による一〇名
六、第二遊撃隊　二七五連隊七中隊下士官以下一五〇名
七、第三遊撃隊　二七五連隊七中隊下士官以下三〇名
八、第一別動隊　林少佐以下航空隊四〇〇名
九、第二別動隊　木村大尉以下戦車隊三〇名
十、第三別動隊　中山警尉以下警察官を含む一般人四五名
十一、野戦病院　柴田大尉以下一〇〇名
　内　第一患者収容隊　〓島軍医中尉以下一〇名
　　　第二患者収容隊　平井軍医中尉以下一〇名
十二、兵站部　桐越一二三以下一般人八〇〇名

（二）攻撃目標とその部署
一、専員公署（旧省公署）　竜泉区竜泉街　第一中隊長以下一〇〇名
二、司令部（旧竜泉ホテル）竜泉区第二中隊長以下一〇〇名
三、中共監獄（旧憲兵隊）　竜泉区第一中隊別動隊一〇名
四、県大隊（旧市公署）　中昌区第三中隊長以下一〇〇名、他に中共二連隊の内応将兵四〇〇名
五、工兵学校（旧警察署）　東昌区第一遊撃隊長以下一〇名
六、北鮮李紅光支隊（菊水、商工銀行）　中昌区第二遊撃隊長以下一五〇名
七、将校会館　東昌区　第三遊撃隊長以下三〇名
八、公安局（旧労務興国会）　竜泉区第三別動隊長以下四五名
九、変電所　東昌区　野戦病院将校以下三名
十、他に居留民男子の特別部隊約二〇〇〇名は当夜編成す

　寒灯の下で、藤田大佐の目はいつまでもその編成表を凍りついたように見入っていた。