【登録 2002/09/15】  
[ 詩篇 ]


官能の製氷器

夜が明ける
翳を帯びた砂浜
 しっとりと天鵞絨の翳りを帯びた砂浜
何処から聞えるのか
情欲の吐息よ
 情欲の吐息の青さよ
巻貝に匿された王国 汝の恋の檻
 巻貝に匿された黄泉のエルドラド
さても陰惨な殺戮から還った帆船の
五層オールを操るは誰
艙口から洩れる切ない喘ぎを耳にし給え
毒を呷った武士もののふの怜悧な眸に 虚ろな双眸に
数千の歳月が流れている
清澄な潮騒 輝く海 眩ゆい海
冷えた硬い液 凍てつく硬い液
ああ 永劫の恋
双児座の伝説が またしても…… 双児座の器よ

(C) 紙田彰, Akira Kamita.

(未定稿)

[作成時期]  1980/99/99