【登録 2002/09/15】
[ 詩篇 ]
車座の中の通夜
――常ならむ 憂世の間をたち逝かば
かぎらう月の蒼く匂ふぞ
女の裸の尻を愛撫していた男が
葬式に参列する
どういう具合か
冬の深夜のことであった
子供がいなくて幸いだというと
そうではない
子供がいれば慰藉にもなろう
瘧のように拳をふるわせて
若い喪主が泣く
戒名をしたためた札が廻される
酔ってしまった
酔ってしまった
幽霊が座っている部屋で
寒さにこごえて
儀式が終る
(C)
紙田彰, Akira Kamita.
(未定稿)
[作成時期] 1980/99/99