【登録 2002/09/15】  
[ 詩篇 ]


電車の中で

電車の中でみなが押し黙っている
青い顔 白い顔
たれひとり声を出すものもいない
無表情の下に流れる
腹黒い意志
ごうごうとレールにぶつかる轍
火花の匂いが満ちている
とつぜんのなにもかもが滞るとき
読みかけの新聞を
ちぎっては投げる
インクのしみが花吹雪から脱け出して
次の駅名を告ぐる
なにもなし
駅は黒い穴に

(C) 紙田彰, Akira Kamita.

(未定稿)

[作成時期]  1978/99/99