【登録 2002/09/15】  
[ 詩篇 ]


ただ一歩

ただ一歩
ありとあるものの
ただ一歩


恕さざるもの
ただ一歩の
蒙昧なり


思考は光になるか
思考は
光を超えるものになるか


この思考が
生じたところから
始まりがある


UFOの宇宙人など
どうでもいい!


幽霊も神さまも
わかのわからんものどもも
どうでもいい也!


人の世にはつきあう
でなければ
ご免こうむる


ここから
始まる
ていうことを
思い知るべし


ずだーっと
地べたの思考が
あってよォ、
年寄りの街娼と
姉御肌のバネッセが
戦後のきちがいぶりを
ぺたんと座った
このおれに
頬寄せあって
かたってくれた、
はげ始めたこのおれは
だらしなく
地べたに座り込み
その店の入口の
ふたりの女の間に
へたり込み、
古い古い話を
懐しく、酔いながら
忘れてしまうほど酔いながら、
地べたの
ひんやりと暗い
路地の温度よ、


神は否定する
命がけで否定する
国家と権力は
いうに及ばず
宇宙も、歴史も
ありとあるものも
否定する
頭脳が
二分割されようとも!


面倒になってきたんだよなア形而上学が、
おれはこの世で
もう一度詩人に戻るぜ、もう一度、
おれは素晴しい画家だ
神のように悪辣だ!
すべての根源を
知らしめしている


私の中に複数の人格がおるのかどうか
いろいろやってみるが
むずかしい、
地べたの御大も
判然とせず


私の人生に
ベトナム戦争は……。
今世紀の……。
……はなぜ言えぬ。


自分の絵は好きだ、
本源的だ
直観的に
すぐれている
反-神が描いたもの也


おれは神を知っている
あの化けの皮のような面に
ご用神!


多重人格は
どうも信用できないが、
さあ出てこいよ!
地べたの男よ!
亜熱帯の土の湿り
地べたで
人を全面的に
愛するような
おお、おまえに
会いたいのだ!

(C) 紙田彰, Akira Kamita.

(未定稿)

[作成時期]  2000/08/99