【登録 2002/09/18】  
[ 断片 ]


〈測定ノート〉

(過去を)

過去をふり返ることが恐ろしいことのひとつ
未来はあるかないか分からぬから屁でもない
過去は戻ることができぬから
取り返しのつかぬ絶望に充ちている

死ぬときのことを考えると
息ができなくなって
失われたものをも
あわてて 掻き抱くような
いや ただ物理的に苦しいことの恐れを
イメージする
しかし、死そのものは未来と同じに
ただの楽観だ
動物的な苦しみも
冷静に考えるならば
一瞬の失神に通ずるだけだ

死はすべての過去を失うから
そのことの怖さが物理的なものと結びつくから
ただ 切ないのであって
死そのものはすべての一瞬の消失
一瞬の永遠の消失
ただ楽観的な無

(C) 紙田彰, Akira Kamita.

(未定稿)

[作成時期]  2002/01/99