【登録 2007/03/22】  
紙田彰[ 断片 ]


複雑系

エントロピーの増大という観点において、複雑系が生命システムを、またさらに生命システムが意志を生み出すとするなら、宇宙はつねにエントロピーが最大に増大し続けている状態であるから、生命系をも含んだ存在のもっとも複雑な状態であることになる。
そうすると、この状態としての宇宙自体が高度な生命システム、いや生命システムを超えた実在する物質の「意志」の散乱した(あるいは統合された)全体であるのかもしれない。しかし、いずれにしてもこれは宇宙を「神」とすることになるのだが……。
混沌であろうが、絶対であろうが、神を認めるということはつまるところ外部統合であるから、無限の外部を許容するという外部構造の自己矛盾に陥るわけで、そのようなことからすると、複雑系が生命システム(=思考の生成システム)の発生の根本因であるとするのは危ういのかもしれない。
つまり、構造の連続性を前提にしたシステムのレベルあるいは位相レベルとは無関係に、非連続的に「思考生成」が行われると考えられないだろうか。
すべての実在はそれぞれの方法で思考を生成する。

(未定稿)

[作成時期]  2007.03.22

(C) Akira Kamita