【登録 2007/05/02】  
紙田彰[ 断片 ]


作品「Super-string Theory」
それぞれの存在、あらゆる存在の解放衝動と超ひも理論の彼方につづく宇宙論的自由とは何かを求めて


 第7回展、第8回展で発表した「Super-stringもしくは立ち上がる解放衝動」「White Image」小シリーズで、スクラッチングとひもの埋設、研ぎ出しによる画面造形の方法に、ある方向性を見出すことができた。この手法による大作を企画したのはこの直後である。
 それまでの「解放衝動」という思考は、これまでの人間→肉体→細胞→モナドへと向かう存在の下層への探求から生まれたものだが、さらに極小の量子と極大のユニバースがひも理論によって結合するという刺激的な現代物理学に大きく触発されて、「Super-stringシリーズ」を大テーマにすることにした。これは、抑圧と自由の問題である解放衝動とも本質的に連続していると考えられるからだ。

 この5枚組の作品においては、極小とは光とひもの波打ちであり、振動であり、極大のユニバースとは空間と時間の大きな変化である。
 振動するひも、大きなうねりを持つ巨大なひもを麻、棕櫚縄、綿糸などを下地に埋め込み、大量の絵具を重ねていき、ニードルやナイフでスクラッチングし、サンドペーパーで何度も研ぎだしていく。
 ここには、モナド→細胞→肉体の律動という、いわば「解放衝動」の肉体的行為がある。そして、そのことがマチエールの造形に直接結合していくのである。
 string(ひも)の全振動は、この解放衝動とキャンバス上で出遭っているのだ。
 宇宙はこの存在の律動、肉体の律動とも深く結びついているのだ、という思いがするのである。

「からだを張った」作業において意味を持つものとして、次の点があげられる。
・純粋な肉体的行為の繰り返し。
・創造行為における原初性の発動。
・存在に包含される「それぞれの存在」の解放衝動。

[2005.5.26〜7.20にかけてF100号5枚、横6.5メートルの大作を制作。制作過程の写真記録をWEBで公開している。]

(未定稿)

[作成時期]  2007.05.01

(C) Akira Kamita