【登録 2002/09/15】  
紙田彰[ 断片 ]


〈「偶然の連鎖と消失」シリーズ〉
(まず、偶然にも)


まず、偶然にも始まりが生じた。始まりはそれまでの無を消失させた。また、始まりは偶然にも暗黒であった。暗黒は光との対比であるから、実はこれは一瞬間だけ絶対暗黒である。つまり、偶然に生じたヘリウムと水素が出会う瞬間のことである。また、さらに偶然にもビッグバンが生じ、絶対暗黒を消失させ、光を包含した暗黒が生じた。ここに偶然にも宇宙が出現することになる。

たまたま、神が生じた。神が生ずるのに理由も必然性もなかった。だから偶なのである。またそれ以前には何もなかった。ただ単に、何もないというところから神が偶然に出現したのである。
この神は宇宙と言い換えても、その偶然が有を生み、無を消失させる構造に変りがない。
有が生まれるには無は必然であるが、無にとっては有は偶然である。また有にとっては、その誕生によって、無は消失するから、無についての論及は無意味である。であるから有にとって無が必然であるということも有の説明にはならない。有は既に無の概念なくして有である。

(未定稿)

[作成時期]  2001.xx.xx

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