【登録 2003/06/15】  


(地下室といえども)
――2003.6.6 初めての個展で


地下室といえども暗い場所ではない
むしろ 光り輝く宝石の埋まる場所
音楽でさえ
鉱物の発する コズミックな諧調

その純白の壁に背を凭せ
何処にもないものだ と
去りゆく老爺の声を励みに
また色の滲出法について
考えてみる

この部屋の天井には
自然光を擬した照明と
人工的な光の蛍光灯が混じりあって
いくつもの光点からの光を
壁に発している

その光の落とすいくつもの影の中にある
実体はいずれか?
浮かび上がるはずの照り返しと
深い翳りの境界を探してみるが
はたして 実体を探すことに
意味があるのか……

だが デッサンをつづけていくかぎり
影から実体を手繰り寄せることを
想いいだいているに違いない
ああ、はかない人間の空想!

部屋の壁に凭れている
自分の存在が
乱反射する光と
そのおぼろな影の中に
いつのまにか消失しているのに
いつ 気づくのだろうか

(未定稿)

[作成時期]  2003.06.06

(C) Akira Kamita