(境界のない絵)
――2003.9 二度目の個展前後
境界のない絵を描こうとして考える
ひとつは、物質と物質の間に果たして境界があるのかということ。
もうひとつ、作品は境界によって囲まれているが、これは作品が世界を切り取ってできる断片ということではなく、位相が異なった場所から覗いているから、境界めいたものがあるような按配になっているだけで、実はこれは境界ではない。
つまり、位相と位相の間にはたして境界があるのかということである。
ここにきて、では境界とは何であるかという問題が浮上してくる。
境界とは区別する/せざるをえないときに出現するものだが、そのときこちら側とあちら側は区別されているのだろうか。
物質が永遠にその外殻を壊しながら「区別」の内部へと辿る、その先の結論は、空であり、無であるとすると、その区別、すなわち境界は無へと向かう道筋を作っていることになる。
つまり、境界、あるいは枠は、こちらとあちらを行き来する通廊なのである。
その通廊はあちらともこちらともつかない、曖昧に混淆した「両存在」とでもいうべきものなのだ。
そうすると、あらゆる独自存在は、あらゆる全体と一気に結合する宇宙包含とでもいうべきエネルギーをもっていることになる。
独自存在は核融合反応のように、境界を貫通することができるわけである。
(未定稿)
[作成時期]
2003.09.26