【登録 2005/09/04】  
紙田彰[ 断片 ]


単位と包含

閉じ込められている存在のあらゆる単位。単位はつねに包含されているわけであるから、つねにその上位のレベルに規定されている。
これは原生的な疎外とは異なる問題である。なぜなら原生的疎外とは自己の同一層、あるいは同一レベルにおける自己同一化についての問題にすぎないのであり、ここで述べる「単位と包含」は実現できない全体と実現できない細分化についての問題であるからだ。
「実現できない」とはどういうことだろう。それは確定しえない、固定しえない、そしてそれ自体を証だてすることが不可能なものということである。自己の証明の不可能性は逆に、両方向の「実現できない」自己か、同一のものの現れである、ということを示していると考えうることが可能かもしれない。この婉曲な言い方は、断定を単に避けただけのことで、断定に近い推定を言っているのである。
存在の解放、つまり自由の実現をいうことは、宇宙論と密接に関与していること、宇宙の構造を解き明かすことに拠っていると推定することも同様のことである。

2005年6月「第8回個展」会期中の断片

(未定稿)

[作成時期]  2005.06.22

(C) Akira Kamita