【登録 2005/09/06】  
紙田彰[ 断片 ]


存在と宇宙論

私の絵は、存在の解放というミクロの問題と、それが解明されるために向かわなければならない宇宙論、つまりマクロの問題に同時に関係している。
同時にということは、包含という構造の問題を指す。
私の存在論的な位置は、つねに宇宙的多次元と量子論的なミクロとの「中間」あるいは相対的な中間にある。
このことは自由の問題でいうと、抑圧と非抑圧を同時に包含しているということになる。
絵は描くという行為と、何ものかを創造するということで成立している。絵の成立以降の美術史を云々する輩もいるが、それは別の問題であり、美術の本質、つまり描くという動的衝動、創造という宇宙論的ダイナミズム、この関係とは別のことである。
美術は、結果、というより社会史的適応物としての中間概念にあるのではない。つまり、美術史的位置付けはこのような創造的スケールからは些細なものなのである。

人間とは何か、自己とは何かを問うことは、ミクロ的な宇宙論とマクロ的な宇宙論、これらを総合する存在論を問うことである。
そして、その問いの源泉にあるものは、自己は自己であるという自由への意志であるに違いない。

2005年6月「第8回個展」会期中の断片

(未定稿)

[作成時期]  2005.06.24

(C) Akira Kamita