【登録 2005/09/09】  
紙田彰[ 詩篇 ]


(光が折り畳まれ)

作品とスポットライトの間に
ときどき空間が抉られたような
わずかの隙間が斜めに走ることがある
これは文字通り出現するわけであるから
亀裂のたぐいかもしれぬ
光を透過しないのであるから
その影の向こうは存在しないし
亀裂の中は 光が折り畳まれているに
ちがいないのだから
光の面を記憶させて
辷り落ちる
視野から辷り落ちるのか
思考から滑落するのか

展示空間は一枚の巨大な絵と
十数本のスポットライトのほかは
白く塗られた天井と壁
音もなく、何やらの気配もなく
滑り落ちる この破片たち

平面の作品の2次元の中に
蔵われた 無数の異世界

第9回"Super-string Theory"展にて

(未定稿)

[作成時期]  2005.08.12

(C) Akira Kamita