【登録 2006/05/24】  
紙田彰[ 詩篇 ]


「宇宙音楽」の事象地平ビッグクランチ


僕はmicaのように
剥がれ落ちるべきものが好きだ
か細い線、透明な薄片、かすかな光
ある種の記憶のような

僕はmicaのように
重なりつづけるものが好きだ
色彩がとどこおり 消えてゆく平面
忘れうべき記憶のように

近づいて裸眼で凝視すべきである
重層するプレパラートに
複雑な罅割れが生じ
僕は閉じ込められる

幾多の異相が 本当は一つであるように
こちらに光があるのか あちらに光があるのか
物質は存在するのか しないのか
僕はそのあわいの事象地平ビッグクランチで押しつぶされる

第12回個展にて

(未定稿)

[作成時期]  2006.04.28

(C) Akira Kamita