恐るべき瞬間の時間サイズ
第14回展「10-36秒」に寄せて
僕らはある日、ミクロの時間についてよく考えてみなければならないのかもしれない。
僕らは時間を、僕らが生きてしまった規模で捉えてしまいがちだが、時間そのものが生きてしまっている規模からすると、それすらも実在感のない小さなサイズである。
けれども、時間そのものの量と物質の出現という関係から見ると、僕らの感覚する時間はあまりに大雑把で、巨大すぎる。
僕らは時間について考えてみるとき、時間の方向と量のベクトルを離れて、無限点になりえない瞬間というミクロの時間サイズを取り出してみる必要があるのかもしれない。
宇宙のすべてを一点に結合させていたエネルギーが分岐するこの時点の時間量が、ここから始まる宇宙の全時間量を包含しているのだとすれば、この恐るべき瞬間の時間サイズこそ、思考という物質の素因のひとつとして、ついには匿されている時間次元の実体を示すことに……。
「ある日、ミクロの時間を……」改題
[作成時期]
2006.07.14