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アルメニア産の粘土でできた男が
(窃かに夜を見て)
かぎろう月のあおく匂うぞ、と眩く
疎水をさかのぼると
ムラサキカタバミの咲くあたりに
精神病理がつっ立っている
頽れた肉体はよみがえることもなく
白蝋化した鬼が酒に乱るる心なり
かわいた眼窩、脂の浮いた顔の
その鬼がケタケタ笑うと
タルタロスの軸を昇ってきたからと唆す
ふむふむ、脳髄の尺度には通行証が必要だ
それにしても
風のままの生涯とは何という音色!
(たまもなす炎のひと垂れ 残酷な宇宙)