浣腸遊びエネマ・ゲームのための十干 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

かんかんかん。夜の白み、熱い夜の硬い破裂音、汀に重なるふやけた海水。

かのえ。翔ぶのは段階論、だから潜る。
梯子をいくつも昇る。昇った天は薨んだ水晶体。浮かんだ屍体は、うすむらさきの梟の反射音波。

アルミニュームの軟らかな穴ぼこ。燐のかるい酸臭の鼻をつく、その鼻孔に棲む白髪の老爺が、じつは追いたてられた神の滓。

かのとかせにまかれた舌。
単細胞。の唇、はらわた、尻の穴。イルリガートルで送りこんだ酒の、ことば変わり。

根の、こんこんとした吐気。ざらつく土、まぶし土の癇声のほこりを降らす蛾虫。

停電の舌を回す。と、湿った滑らかな夜の妖しい舞踏。幻燈さえもあわただしく。

みずのえ。象牙海岸。
五メートルの丸木舟の側面に、まっしろな脚が三本、ほそいビニール紐でくくりつけられている。オールには、百人分程の、つやつやと黒いペニスをなめした皮が巻きつけられて、たった一人の、赤銅色の腹の膨らんだ児がひっくりかえって寝人っている。

風は濃縮された重水素の固魂で、だから声はひっくりかえって逆声になる。