〈火〉の装飾性について (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

透明な額がある むしろ
不可視の大脳が呼んでいる
幻覚が襲う むしろ
幻覚の垂れ流しが 日常なのだ
それは 事実
粘膜状の呪文である 瞼が
はりついている呪文 夢が
呼ぶ 無機物の大樹林

星は集結している
穴だらけの膝をつき合わせ
巨大な腔腸動物に姿を変える
命令者アフラマズダの 実は
神経系統をこそ
司っているのが
この巨大な怪物なのだ

四日目に
己れのすべてを取り戻した
死は
ハイアンバドの巡礼の列を
眼下に一望しながら
〈焦げる海〉へ向けて
流れている
その時
分割する己れの意識が降る
死は ただ
量られる重量として
〈焦げる海〉へ向けて
流れる

己れの死が
腐敗を通じてゆくように
黄昏の赤い海面に
灼熱のどす黝い炎を吹き