小品 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

 花の話
紙の如く花が乾ききっている その時の
風は頭上から真逆様に落ちる季節だ
果物の類が
続々と押し込まれる口腔の
桃色の襞が
あわてて閉じる
発汗地獄の娘らの腕が伸びる それ
毒入りのインク壷が 道端に転がっている