緑字生ズ 154 舷梯ギャングウェイを跳び降り、……)

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舷梯ギャングウェイを跳び降り、夏の空は眩しい
マドロス帽をあみだにかぶり
村外れの崩れた壁を背に
女を抱き寄せる
日盛りと杜松の匂い
一口放り込んでから
広い、埃っぽい道を歩いてゆくと
深い酩酊にとらわれる
小色のひとつふたつなどと口ずさみ
糸杉のある墓地のあたりで
片目をおさえる飛燕草
雨水のはけ口で足をとられた
日曜だけの恋人の、青い肩
毛の薄いあらゆる感性なんてまっぴらと
意味ありげな含み笑い
かどわかされたうわばみと
粘液のような生物の男根
ゆるやかな起伏がつづき
オリーブと葡萄の畑が
永遠をめがけて広がる

この島から盗むべきものは
谷でへだてられた向こうの丘の
収穫者の杯という、凍る石