未刊行詩集『strandにおける魔の……』03: 女陰

よこしまの魔の
はりはりはり……
肥大する唇が
地下に封ぜられた下肢を
ふたたび漿液にまみれさす
ガーネット色の歯の波
太陽を砕くと
いっきに地球はうらうらうら
魔の女陰の 豊饒の液に
裏がえる

黴のような
増殖のつぶつぶ
ごごの襞は
剥がれつつ増殖する
みみにくい裂け目をあらわし
ごごの欲望は
どどくどく 初潮の血にまみれ
硬直硬直
魔の呻き
獰猛な暗黒の淵をつきぬける

午後は
ああらわな夢に
その堂宇を追われ
ししじまという狂気 改宗 陋屋
屹立する鋼鉄の首が
一瞬の陶酔とともに
狩り獲られる