[資料] アピール! 天安門事件: 05(中国人活動家・著)[了]

●Date : 1:05pm 12/31/89 From : pcs00372 (直江屋緑字斎)

中南海上層部争いの真相――戒厳にいたるまでの激闘

 10 趙紫陽が党中央を分裂させたと李鵬が糾弾する
 十六日、趙紫陽が再び広場へ行くと言いだしたが、保安機構は安全が保障できないとの理由でそれをまた阻止した。
 十七日、天安門広場でのハンガーストライキは百二十時間になる。病院に担ぎ込まれた学生は千人を突破した。北京市民の感情はいっそう沸き立っていたが、デモ行進する大軍はもっと昂奮しきっている。
 十七日、中央政治局常務委員会会議で、社説の基調から後退できるかどうかについて、討論した。趙紫陽はまず口火を切って、「今度の学生運動については、一人がその性格を決めたからといって、皆で改めることができないということはないと思う。学生運動の主流は善良なもので、改革と開放をおし進め、役人ブローカーを打破することにある」と言った。趙紫陽の意見に李鵬は真っ向から反対し、「共産党は永年やってきて、実績をあげた。もし、『四・二六』社説の基調から後退すれば、政府と党は莫大な損害を蒙ることになる」と言った。
 その会議で日和見の態度を取ったのは一人だけで、胡啓立である。胡啓立は二種類の意見ではそれぞれどんな結果を導くのかとの内容の発言をしたが、基本的には趙紫陽の立場に傾いているのである。
 会議終了後、鄧小平との単独会見を趙紫陽は求めた。
 十七日の深夜、鄧小平は常務委員五人と李先念、楊尚昆を呼び集めて、一緒にその会見に参加させた。
 皆が座るや否や、李鵬は趙紫陽を指さして、鄧小平に向かって、「この人はゴルバチョフとの談話で、あなたを第一線に押し出して、全責任をひっかぶらせるつもりである。それは党中央を分裂させる行為である」と話した。
 趙紫陽は午後の常務委員会会議の意見をもう一度申し立てたが、李鵬は再び反対した。鄧小平の前で表決が行われ、結果は五対二で、趙紫陽と胡啓立の意見は否決された。
 最後に鄧小平は自分の態度を表明した。「わしは常務委員会大多数同志の意見に賛成する。われわれの党は偉大なる党であり、実績をあげている」と言った。「鄧小平同志、私はあなたの意見と一致することはできない。次の仕事では私はとても常務委員会の決定に従うわけにはいかない。体の具合が悪いから、実行に困難がある……」と趙紫陽が言うと、鄧小平はただちに彼を非難した。「少数が多数に従うということはわが党の原則であることをあなたは知っているはずだ。わしらは民主集中制に則っているのである」