記事全リスト

 上記メニューからカテゴリー別に読むことができます。

見夢録: 2008年08月04日 見夢録について

以前の作物に「見夢録」という散文詩があるが、発句が「マミ夢メモ」で始まるもので、 … 続きを読む

見夢録: 2008年11月26日 ライフプラン

 病院の待合ロビーで思いついて書きとめたことがあるので、まとめておく。  それは … 続きを読む

見夢録: 2011年11月16日 展示会の紹介

私のホームページに以下の紹介をしたので、ここに記録しておく。 ○11月16日: … 続きを読む

見夢録: 2013年03月 只石善士さんの遺骨のこと

○昨年晩秋に北見市、帯広市を旅し、若いときからの友人で永年演劇活動を続けていた故 … 続きを読む

見夢録: 2013年04月16日 加藤郁乎氏のこと

少し前、昔いささか交流のあった俳人・加藤郁乎氏が物故されていたことを知ることを得 … 続きを読む

見夢録: 2013年09月25日 「阿吽」第9号のことなど

○詩人・金石稔氏から注目の季刊詩誌「阿吽」第9号が届きました。今号も大冊、23人 … 続きを読む

見夢録: 2013年10月03日 身も心も消滅してしまうような

しばらく、いろいろあってサイトを開店休業の状態にしてあったのだが、あまりほうって … 続きを読む

見夢録: 2013年10月04日 牙を剥く?

○さっそく連日の作品追加。「動的作品行為」に公開した。しかし、旅行したり、入院し … 続きを読む

そこで、母となるか

見たこともなかった その場所の してみること ふるい街並みの おくの光の中 母親 … 続きを読む

どこかから、遠いどこかから

どこかから、遠いどこかから もっとも近い、うごかない うごかない はじめから 洛 … 続きを読む

見夢録: 2013年10月06日 ブログ書斎開設の弁

緑字斎の原稿――ブログの公開 書斎を開設しました。 旅行していても、入院していて … 続きを読む

重奏低音

ひかりの存在は有限なのか 死を導き出すものの ひかりは それだけの 運動系システ … 続きを読む

見夢録: 2013年10月07日 Blog書斎について

私のWEBサイトはNTTのレンタルサーバーに存在している。 サイトのほかに、Wo … 続きを読む

表層のかわ

うしは つくしくはないか うしのかわ たいこのかわ ながされる ぶたのかおで ぞ … 続きを読む

それでも一歩、ちかづく――E-mailをもとにした構成詩

「夢にかえるのか、かえることがゆめなのか」 はじめての生まれ故郷 生まれがはじめ … 続きを読む

diffused reflection

建物と青空の 境界の あってはならぬ 輪郭が さし入れれば 向うからも さし招く … 続きを読む

見夢録: 2013年10月13日 詩が書けるような

このところ、仕事の手が少し空いたので、作品制作に没頭している。 ブログの構築など … 続きを読む

ま、まみえる魂、ふるる距離よ

熱あるるも マッサージは 脳にもたましいにも 刺激するかとと かかと指先つちふま … 続きを読む

見夢録: 2013年10月21日 上海にこもる

急遽思い立って、上海に10日ほどこもるがごとく引きこもろうとするもくろみを、わず … 続きを読む

ほそく深い、声ばかり

じつに そのことの懐かしい 事実 婚礼に ぎやかになりつつつづいて 二十数年たっ … 続きを読む

見夢録: 2013年10月22日 上海からのtwitter、facebook、Googleの検索

前2者はまるで繋がらない、Google検索は中国管理のものに切り替わる。 噂で知 … 続きを読む

つづけていた 、夜、を

性の読みが 分からない名前から いるかいないいるがもさがもふれず 所在を特定され … 続きを読む

死んだ、いまとなっては

ストレスはつよい 最初から だれの腹から 右と左のふくろから かみのてわざなどは … 続きを読む

見夢録: 2013年10月24日 しかし、これしき

上海での作品行為はとりあえず順調に進んでいる。 だいたい昼間の下準備をしてから、 … 続きを読む

地磁気の影響だったのか

疑心暗鬼なのの 赤い色が印象的 躊躇しているので 誘導情報が もれもれ で 外部 … 続きを読む

(中国女)

何も見ええない広がりに かさなり続ける 夜の深さに 取り残される自分に 取り残さ … 続きを読む

まぎれもない感受性だけが

こんなことでは バーボンばかりで 荒れた谷底 北の土地のスペイサイドモルト さび … 続きを読む

(東風1989)

生々しい現実の世界に近いところで 現役の彼らは 子供時代を過ぎて 現実感がない  … 続きを読む

見夢録: 2013年10月28日 反政府闘争か

上海にいて、書き込みなど規制されているのでここから。 毎日新聞で「中国:天安門前 … 続きを読む

見夢録: 2013年10月29日

お察しのように、上海発の記事になるので帰国後に公開します。

見夢録: 2013年10月29日 鄧小平のとった道

中国という国は、強力な軍事基盤と政治的統制力の上で、経済というおもちゃをもてあそ … 続きを読む

見夢録: 2013年10月31日 上海空港に入った途端

すごいなあ。 上海空港でアクセスした途端、スピードも高速になり、「天安門」などの … 続きを読む

(Salò 1)

屋台や群がる人々の数が増え 走る 自転車の数が増ええても ストーリーの混乱が監視 … 続きを読む

見夢録: 2013年11月04日 ゴダール、パゾリーニ、フェリーニを材にした詩篇

上海から帰ってから4日になるが、投稿が少し間遠になったようだ。 向こうでの滞在末 … 続きを読む

(Salò 2)

いい加減な気持ちでややれるので サクセスストーリー 蓄積されれない心と 思想と文 … 続きを読む

小説の公開について

メニューの豊富化のために、旧作からではあるが、小説の公開も始めようと思う。 また … 続きを読む

nerve fiber

 どうして、あれを渡したのか、自分でもよく分からなかった。あの女に必要なのはもっ … 続きを読む

自由とは何か[001]

 私が考えているのは、あなたがこの議論の内部にあるのではなく、表層を部分に持つ、 … 続きを読む

自由とは何か[002]

 偽腔Aは向こうにあるものだが、つねに向こうであることを余儀なくされる。外膜、中 … 続きを読む

自由とは何か[003]

3  私から最も遠いところから、その痛みは伝わってきたのかもしれない。それとも、 … 続きを読む

(La Strada)

残酷で、絶望的で 不運ななもの 取り返しがつかかないものであるので (恋する)綱 … 続きを読む

見夢録: 2013年11月14日

 ここのところ、長篇詩を書き続けていたが、この数日は左メニューが気に食わなくてい … 続きを読む

(Cabiria)

若者たちの一団が サーカカスで (製作現場では)技術的な向上だだが 不幸のどどん … 続きを読む

自由とは何か[004]

 横たわるあなたを愛撫したとしても、私があなたに重なったとしても、私の表層が壊れ … 続きを読む

(Satyricon+)

本性でるある(だ)と賛美され (だが)はじりまりなどない ふりたりのなかは肉体を … 続きを読む

自由とは何か[005]

 ――そもそもの原因がおれにあるということはありえないが、かといって原因がもたら … 続きを読む

(Roma)

ひたりきりたい感覚が 時間も次元であるから ひたりきりたい 肉感的になつかしくて … 続きを読む

自由とは何か[006]

 私は救われることはない。彼もまた救われることはありえない。だが、何から救われる … 続きを読む

自由とは何か[007]

 ――腐りかけた足をこうして引きずりながら地を浚い、あるいは地べたを爬虫類のよう … 続きを読む

犬と人と球体

多重的な意識が引き裂かれてゆく そこまで意識が降りてゆく 死のことを考えつづけて … 続きを読む

お知らせ

既刊、未完の詩集をこのBlogに移行するつもりだが、「魔の満月」(1977, 書 … 続きを読む

自由とは何か[008]

 意識Bの分身であるB’は、Bと同時に、異なった磁場でモノローグをつ … 続きを読む

光が、思考から滑落するか

線じたいのあいまいさ で写真にこぼすといけない あいまいな差異に考えて いる塩化 … 続きを読む

自由とは何か[009]

 けれども、熱を帯びて全方向を失い飛び散っていく意識Bと意識B’は互 … 続きを読む

幾重にも囲繞されて、いる肉体

認知不能の血にまみれてつぶされ ひしゃがれた太陽が顔を出す 朝はあおくて 実在し … 続きを読む

自由とは何か[010]

10 (肉体そのものである意識)  では、足の裏にも好きなようにさせてしまえ。真 … 続きを読む

変質したり、切りきざまないで

歴史をみとめても 不吉な鳥の足跡が印されて ウツツというからには 半分は空白、削 … 続きを読む

魔の満月 0(憧れて風雪数千年の都市に至ってみれば……)

それならば とうに彼の到着は知れわたっているのだから あの最後の圧力に耐えたとき … 続きを読む

自由とは何か[011]

 数億年を経た黴臭い澱んだ空気が体内を侵してくる。なつかしい死者たちの塩が、脊索 … 続きを読む

video obscura

人々は記事をただ見つめるばかりで、それも一様に長いあいだ、穴のあくほど見つめてい … 続きを読む

魔の満月 i – 1(岩窟に刻まれた扉は……)

この光景に魅せられいたく感動したオルリー公は堰を切った情欲の虜となって 長い鞭の … 続きを読む

自由とは何か[012]

 けれども、骨格が支配しているというわけでもない。法が支配するというデマゴギーに … 続きを読む

魔の満月 i – 2(セント・ピーターに在留を……)

幾何学的なこれら巨大結晶 巨大暗号 巨大建造物群 巨大人造湖 巨人像 巨大墳墓  … 続きを読む

たちまちのきおく

ひとかげがきえるつぶれてきえる しかいがふるえてへびがくねる いしをはらむかふく … 続きを読む

自由とは何か[013]

 さて、私の生態のひとつに画家というものがある。大画家と自ら称し世に跋扈する、と … 続きを読む

見夢録: 2013年11月24日 twitterでの発言について(1)

ブログ開設と同時に、twitterを始めてみたのだが、つぶやきっぱなしというのも … 続きを読む

魔の満月 i – 3(中空でふんぞり返っている邪悪なるものの……)

最後の攻撃によって決着は早急につけられねばならないだろう まさしく今こそが圧倒的 … 続きを読む

見夢録: 2013年11月24日 twitterでの発言について(2)

アメリカも、中国も、日本も、官僚と権力はことを急ぎすぎている。なにか、共通して性 … 続きを読む

コメント欄は非使用にします

アクセス数が多くなり、コメントスパムが急増したので、当分、コメント欄は非使用にし … 続きを読む

自由とは何か[014]

「ジュゼッペ・アルチンボルドという画家は、植物や動物の絵を、増殖する部品として用 … 続きを読む

魔の満月 i – 4(闇に囁くものたちの勢力が……)

エルドレは飛び起きると部屋の隅に設けられている螺旋階段をぐるぐるぐるぐる駈け上が … 続きを読む

「SALOME」のビデオ体験(散文詩と位置づけて)

ドキュメント風に、楽屋裏の表情などから入る。形式的で胡散臭い舞台裏だ。作り物の匂 … 続きを読む

見夢録: 2013年11月26日 twitterでの発言について(3)

プログのアクセス数が増えていくにつれて、コメントスパムが急増し、これらの抑制プラ … 続きを読む

自由とは何か[015]

 そう、癌細胞だろうが宿主細胞だろうが、細胞レベルのDNAと意識は全DNAシステ … 続きを読む

魔の満月 ii – 1(世界創造説コズモガニーの窈窕な……)

あの古代の港 アテーナの像を奉じた大祭壇と二十万巻の蔵書を誇る図書館 なによりも … 続きを読む

ベルナール・パスケ(散文詩)

 パスケの自白によると、三十五年前の最初の盗みのときからある種の匂いで神経が冒さ … 続きを読む

自由とは何か[016]

 しかし、細胞の内部にあるDNAは私に何も語りかけてはこない。彼ら自身は独立した … 続きを読む

魔の満月 ii – 2(エルドレは周囲を見回して……)

相手は反撃に怯(ひる)み 慌てて拳を上向きに構え しゃくるようにしてエルドレの腹 … 続きを読む

実験的な初期詩集「浣腸遊び――Enema Game」(1974刊)の公開

連載公開中の「自由とは何か」があと数回で終了します。 そのあとに、実験的な詩篇を … 続きを読む

自由とは何か[017]

 意識は存在の本源には関与していない。私は、意識は生命体の機能であって、この意識 … 続きを読む

海をわけて、 断(裁)って!

いぴつな(乳房の)みゃくみゃく めいどの唄にひええびえす (地平線)ジツザは マ … 続きを読む

魔の満月 ii – 3(天幕を裁断する玲瓏な光が……)

寂黙の苛重の底で 一角獣やらキマイラやらゴルゴーンなどの恐ろしい化物が舌舐(した … 続きを読む

自由とは何か[018]

 私は広い土地に連れて来られた。平原の向こうには、山と海と川がすべて備わっている … 続きを読む

ある男の日記 (犬雲)

あのとき、クロは吠えつづけ、私のズボンの裾に三度咬みついた。一度目は、浮遊する街 … 続きを読む

魔の満月 iii – 1(頭脳から天球が生ずる……)

エルドレは横たわったまま地下の空を眺める 緩やかに彎曲する壁が繞らされている 天 … 続きを読む

自由とは何か[019] 【最終回】

 ――意味と価値があるかどうかはわからないが、生きるべし、死ぬるべしという意志に … 続きを読む

魔の満月 iii – 2(至高の秘儀ともいうべき王家の……)【詩篇「魔の満月」最終回】

エルドレは 女が女でなくなる時は死を迎えるのだと知る 五番目の最後の徳とは その … 続きを読む

季節 (詩集「浣腸遊び」, 1974)

雪崩て直覚を吠え タブローに花吹雪け りるっ りるっ りるっ 瞬ける神の瞥見され … 続きを読む

お知らせ

「自由とは何か」連載、終了しました。 これに続いて、初期詩集「浣腸遊びを」連載し … 続きを読む

復活してから

匿しもった粘液を がらすの血液を舐める 突くかまえの刃物は 一本の、血のかさなる … 続きを読む

魔の満月 詩篇「河図洛書」(低く垂れた倉庫のゆくりなくも……)

だがその裂目に厖大な空洞を造り数億に及ぶ痛点の網羅に侵蝕してゆく頭足類 おお眩暈 … 続きを読む

お知らせ: 詩集「魔の満月」収録の散文詩

詩集「魔の満月」収録の散文詩を公開するにあたって。 本編の詩篇「魔の満月」と同様 … 続きを読む

見夢録: 2013年12月01日 防空識別圏問題

見夢録: 2013年12月01日 防空識別圏問題 秘密保護法が成立してしまう前に … 続きを読む

影の山脈 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

噴出せよ 固形の死 星渉り 百合の虹反射 ああ 山脈の翔ぶ 海すれすれの 睡りに … 続きを読む

お知らせ

ブログ立ち上げのために、毎日、かなりの点数の記事を投稿しましたが、もう一月を越え … 続きを読む

魔の満月 詩篇「見夢録」(マミ夢メモ……)

皆既蝕は電話魔の横行である 王侯貴族といえども結末には微粉末の華燭である 夢とは … 続きを読む

無数のもの、ひとつのもの、限りのある……

「一回きりの全体性。ただ一瞬だけの全体性の回復」「あなたとわたし。個別性と全体性 … 続きを読む

七色分割 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

榊架けて 筒粥る世界を 野ざらせる虹オー ロラ群 泥鰌を宿れて 雨をふれる意志に … 続きを読む

唄の唄の唄 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

唄のずれてゆく爪跡の 柔らかな道端に暮れて いまだ 日輪の翳ることばうら そのう … 続きを読む

見夢録: 2013年12月04日 特定秘密保護法で「裁判なしで処刑され、歴史から抹殺される」ことも

特定秘密保護法は、官僚の活動の隠蔽、軍事・外交情報の漏えいについての管理的な法律 … 続きを読む

魔の満月 詩篇「楽天地」(栄光は薄暗い小部屋の中で……)

侵入者にとって事態はどのように作用するのだろう 十九世紀の深更を告げるミサの鐘は … 続きを読む

うらうらの声 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

微分の虹のほんの輝き 零のうら声は その時の 背に 貼りついて その時を待っても … 続きを読む

お知らせ

カテゴリーを調整しています。 また、それにともないメニューも変更します。 徐々に … 続きを読む

魔の満月 詩篇「貝殻伝説」 (ゆけども間断なく書物は……)

柄に鞣皮を巻きつけた黄金の剣こそ切っ尖鋭く時を支える振子である 腐った海産物が黎 … 続きを読む

浣腸遊びエネマ・ゲームのための十干 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

オスはメス呑め、できるだけ。メスは会陰部が妙に剥がれそうだ。 瓠(みずのと)。見 … 続きを読む

〈火〉の装飾性について (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

渦を巻いて 吹き溜りに到達できない 〈焦げる海〉は 蝕まれた化石によって 炎をあ … 続きを読む

魔の満月 詩篇「恋の衍義」 (蝸牛の胎には女が宿っている……)

恋の衍義 蝸牛の胎には女が宿っている 糠雨の茵(しとね)で 妖しい濛気に擁かれる … 続きを読む

ある男の日記 (失われる記憶)

ひとりの女は長く伸ばした爪に、同じく真っ赤なマニキュアを塗った隣の指を重ね、エナ … 続きを読む

生魂荒らし (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

おれの生魂はおまえの生魂で 代置されるのだ 荒らし野の荒れ育つづく荒らし世に 生 … 続きを読む

デリュージョン・ストリート 01 1 (九段の坂を登っていた)

1  九段の坂を登っていた。テルミヌスが宿っているあたりにさしかかり、これからこ … 続きを読む

魔の満月 詩篇「眷族の恋」 (不吉な光の綾の中に……)

眷族の恋 不吉な光の綾の中に 青銅のロンボスがくるくる廻っている 誰に調律された … 続きを読む

孤島 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

羽毛のそそる 永劫の白夜 無数の空洞から墜とす 水平線 乾いた水音の 昂い動悸 … 続きを読む

デリュージョン・ストリート 02 2 (年の瀬の、寧日もない頃おい)

2  年の瀬の、寧日もない頃おい土師(はじ)姓のタユイ神からの招待状が舞い込んだ … 続きを読む

水のくぎり

「多重的な意識が引き裂かれてゆくことで立ちあらわれる批評性というものが、感性とか … 続きを読む

デリュージョン・ストリート 03 3 (粧いがあらためられ)

3  粧いがあらためられ、街の姿がいかほど移ろおうとも、道のありようにさまでの変 … 続きを読む

魔の満月 詩篇「恋の柩」 (炎のうちにどんな秘儀が……)

恋の柩 炎のうちにどんな秘儀があるというのか 媾合の壁画と古代神の立像とが 高窓 … 続きを読む

デリュージョン・ストリート 04 4 (師走の空というのは)

4  師走の空というのは、いかに晴れた日であっても、なにとはなく白々とした空虚さ … 続きを読む

春の街だよ (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

そのうちに朝の乾いた鐘が落ち 虹が融け出してきては 龍吐水の皮膜でできた壁の 厚 … 続きを読む

魔の満月 詩篇「神の手」 (その色彩を愛するものにとって……)

神の手 その色彩を愛するものにとって 深い夜は幸福である 天文台の円天井は四大に … 続きを読む

デリュージョン・ストリート 05 エメラルド

エメラルド  くすんだ緑色の路面電車が軌道の継目で轍の音を響かせている。たれこめ … 続きを読む

デリュージョン・ストリート 06 祝祭という詩篇――加藤郁乎頌

  果実は熟れ過ぎないやうに手で考へながら   はじめに傾きがある/手足を食べる … 続きを読む

デリュージョン・ストリート 07 (妄想ノート) 序 妄想ヲ生ズ

序 妄想ヲ生ズ 彼ハマズ世界ニ対シテ復讐ヲ敢行ス。ソレハ己レノ存在ヘノ断罪デアル … 続きを読む

見夢録: 2013年12月15日 北朝鮮の今後についてのフィクション

張成沢の処刑は8月の女優・玄松月処刑が布石のようだが、これで金正恩の周りには金正 … 続きを読む

デリュージョン・ストリート 08 (妄想ノート) 妄想宣言

妄想宣言 我らの時代はあまりに遠くへ押しやられてしまっている。 我らの時代は永遠 … 続きを読む

デリュージョン・ストリート 09 (妄想ノート) 妄想ノート

〈時間の停止〉〈歴史時間の停滞〉歴史が現実的時間とは無関係、あるいは絶対的な関係 … 続きを読む

魔の満月 詩篇「降神術」 (少年は凍れる雪を抱いて……)

降神術 少年は凍れる雪を抱いてめざめる 熱い唾液のこぼれる彼方に 夜の森がひろが … 続きを読む

デリュージョン・ストリート 10 (妄想ノート) 妄想分析

三島由紀夫の人民への愛、絶大なる共感は、洩れそうになればなるほどに陳腐化され、諧 … 続きを読む

デリュージョン・ストリート 11 (妄想ノート) 妄想の破片

このように一宇宙の創造が一神にかかるということは、宇宙が無限の神の数だけ存在する … 続きを読む

デリュージョン・ストリート 12 曰く

 ここで文化ということに話を戻すと、たとえホームオートメーションが完成し、ニュー … 続きを読む

小品 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

 磁気あらし 鳥の羽が地底の奥深い場所に秘 されている 極光がそのためそ こで彎 … 続きを読む

デリュージョン・ストリート 13 かぎりのないはじまり――土方巽をかさねて

かぎりのないはじまり――土方巽をかさねて  あの人が見ておきたかったものとは何か … 続きを読む

真夜 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

空に 一文字の掻き跡が 睡眠(ねむり)の 海崩れて 烏が 銜えるほそい光束の ふ … 続きを読む

デリュージョン・ストリート 14 夜が準備され、はじまりが……

夜が準備され、はじまりが……  その夜、濃紺の夜空を背景に、金星と北極星の造りだ … 続きを読む

詩集「緑字生ズ」表紙

詩集 緑字生ズ 全172篇 題字=加藤郁乎 純粋思考の次元によれば、神、宇宙、全 … 続きを読む

緑字生ズ 001 (nerve fiberの先に)

1 nerve fiberの先に 太陽がある 雲がある 空はまた黄金 海には静謐 … 続きを読む

緑字生ズ 002 (Vの字になって発狂する)

銀色の毛皮に抱かれるころ 初雪はふるさとを訪れたろうか 月の涙は蒼きもの 昼間か … 続きを読む

デリュージョン・ストリート 15 ああうるはしい距離デスタンス

 この作品集は、距離を空間から自然の擬態へと転じ、さらに時間そのものに転身させて … 続きを読む

魔の満月 詩集「魔の満月」跋 (「紙田彰の詩」入沢康夫)

紙田彰の詩(抄録)  入沢康夫 (略)  紙田彰氏の詩が、ずばぬけて豊かなエネル … 続きを読む

輝く夜 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

虫の経緯であって もはや 生きても死んでもいない 虫は 輝く夜 奇しくも鏡に 夜 … 続きを読む

緑字生ズ 003 (地平線が破裂する)

3 地平線が破裂する みはるかすばかりの原野 切れ間なく降る雪 夜はいっかな明け … 続きを読む

緑字生ズ 004 (死体が雪の中を走っている)

4 死体が雪の中を走っている 満員電車のスパーク こま切れにされた死体が 糊のよ … 続きを読む

デリュージョン・ストリート 16 窗櫺譜そうれいふ  視線の造型――物質創造のドラマ

 そのような意味で、バイエルン博物館のアダムとイヴの彫刻を素材にした作品は周到で … 続きを読む

緑字生ズ 005 (函館山、西の浦、宇賀の浦)

5 函館山、西の浦、宇賀の浦 腰まで濡れて告白室を出る 鴎と北極星 櫺子窓に凍り … 続きを読む

緑字生ズ 006 (女よ、まなざしだけの女よ)

6 女よ、まなざしだけの女よ 妄想のほほえみ 一秒が百年となる 赤い唇が永遠に去 … 続きを読む

ある男の日記 (奇妙な断片 その一)

「舌にも変調をきたし、白湯の熱刺激が独特の味覚となり、アルミニウムの電解性からは … 続きを読む

光の夜 (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)[PDF]

特殊な組版なのでPDFにしました。 chromeで表示できないので、次のリンクを … 続きを読む

緑字生ズ 007 (人が生きているというだけの手)

7 人が生きているというだけの手 悲しみの涙をぬぐうだけの手 あたしの手を握った … 続きを読む

緑字生ズ 008 (悩みに敢然と立ち向かう苦い魂)

8 悩みに敢然と立ち向かう苦い魂 ただ激しく生きるこの苦さ ミューズ アフロディ … 続きを読む

襞おとし (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

辿りつく者 血の道筋を見失う 荒涼の河口 氷塊に閉ざされた 海原に 帆船の残骸 … 続きを読む

緑字生ズ 009 (夜の影)

9 夜の影 書物の病よ 夏がかすかに開いている あつい欲望につらぬかれている そ … 続きを読む

緑字生ズ 010 (足をとらえる氷)

10 足をとらえる氷 道路はゴム棒のようにはねている 真珠の中の声 恋唄にこたえ … 続きを読む

註記:(作品成立期) (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

註記:(作品成立期) 生魂荒らし 1971.4.22 季節 1972.6.16 … 続きを読む

緑字生ズ 011 (しぐれる墓の)

11 しぐれる墓のどくろのじじい しぐれる墓のどくろの踊り やみの話 不思議なく … 続きを読む

緑字生ズ 012 (歯ぎしりする)

12 歯ぎしりする 棘が深く刺さっている 針のない時計 恐ろしいものが靴の中に潜 … 続きを読む

緑字生ズ 013 (深き御山の彼方)

13 深き御山の彼方 精霊どもの踊りの輪に 靄ともつかぬ御身の姿 さまよい歩き訪 … 続きを読む

緑字生ズ 014 (locustが跳躍する)

14 locustが跳躍する 栄光の灰が降る 賭博場の隅でぎらぎら光る幸運 深ま … 続きを読む

緑字生ズ 015 (ぼくの脚は)

15 ぼくの脚は一つしかない ぼくの眼は一つしかない けれども 夜が暗いからでは … 続きを読む

緑字生ズ 016 (真夜中の夏)

16 真夜中の夏 紺碧の空にトランペット 犬族の遠吠えを聴く 女の目の中にある雨 … 続きを読む

緑字生ズ 017 (涙するグアナコ)

17 涙するグアナコ スケートに乗る異国の少女 この世のlimitを あの世のl … 続きを読む

緑字生ズ 018 (豊かな農園が)

18 豊かな農園が 海をへだてた半島にある 子供らの奇怪な成長が むくむく黒雲と … 続きを読む

緑字生ズ 019 (落葉松と遺跡監視人フィラックス

19 落葉松と遺跡監視人(フィラックス) 赤土には 秋風とともに ファルスが生え … 続きを読む

緑字生ズ 020 (銅鑼が鳴る)

20 銅鑼が鳴る メルポメネー ああ 秋の深い湖 裸女の像が永遠を見つめる眼で … 続きを読む

緑字生ズ 021 (乱に曰く)

21 乱に曰く 稲架も取り払われ 農夫も土地に埋れる 田の土は 凍った白夜

緑字生ズ 022 (たちもとおる)

22 たちもとおる 君に会えたのも 月のモノのなせるわざ そも梅のいらたか 幸せ … 続きを読む

緑字生ズ 023 (寂しい夕暮とセレナーデ)

23 寂しい夕暮とセレナーデ 枕言葉に冷や死んす 美女の足下に 人も知らない秋の … 続きを読む

緑字生ズ 024 (クレイオーよ)

24 クレイオーよ 地球儀が欠けている 眼は半月だ クルティウスの分類は デルフ … 続きを読む

緑字生ズ 025 (宗教とはジャイロ効果)

25 宗教とはジャイロ効果 午後 稲妻が疾った みぞれが夜半までつづいた あたた … 続きを読む

緑字生ズ 026 (狂気の)

26 狂気のはじめとおわりが永遠だ いまは塩汗 肌合わせ はじめとおわりが違って … 続きを読む

現代詩論 悪魔の受感 慶應大学『文連新聞』, 1974

 作品言語は訴えたり、まして感動させたり、意味を与えたり、人間に価値あるものとし … 続きを読む

緑字生ズ 027 (ウィスキイが死んだ)

27 ウィスキイが死んだ グラスのかわりに 骸骨をつかんだ 黒衣の女が エンゲー … 続きを読む

緑字生ズ 028 (もろい骨が)

28 もろい骨が ガラス細工のように 鋭く突き出たかかと 貞操帯と卵 冷たいアス … 続きを読む

現代詩論 徴候としての現在〈上〉 『明治大学新聞』, 1973

「それに関連して考えるとすれば、〈沈黙=人間的受苦(ライデン)〉が有意味性を獲得 … 続きを読む

緑字生ズ 029 (りりりり四季)

29 りりりり四季 愛が愛であるから (未来の歯茎を破って) 花のみの奇怪ふる … 続きを読む

緑字生ズ 030 (崩壊辞典と)

30 崩壊辞典とべにしょうが 猫の死骸が吊られている 肥料にもならぬから 小便を … 続きを読む

現代詩論 徴候としての現在〈下〉 『明治大学新聞』, 1973

 この文章において、果たされるべき作品―情況の洗浄作用は、だが初期の目的から少な … 続きを読む

緑字生ズ 031 (雨上りの夜)

31 雨上りの夜 ハヴァナの吸口を噛み切る 畑の中に 童女の顔が浮かぶ その幻を … 続きを読む

緑字生ズ 032 (老いた額と古い都市)

32 老いた額と古い都市 ヴィーナス 時の外側を歩く者たち 少年の息をとめる者

現代詩論 〈岐路・迷路〉 その1 『明治大学新聞』, 1974

 だが、「――現実らしさを仮構するような『方法』が必要とされる。」(同)という岡 … 続きを読む

緑字生ズ 033 (歩いているときに)

33 歩いているときに、なにげなく後ろを振り向いたことがおありでしょうか。そう、 … 続きを読む

緑字生ズ 034 (無記名の日記の)

34 無記名の日記の中の名前の あなたの隣に腰かけて 水仙は革命家である 草笛を … 続きを読む

緑字生ズ 035 (アルティスへとやって来た)

35 アルティスへとやって来た 心あたたまる辛さ やりばのない眼 瞼の裏 瞳孔の … 続きを読む

緑字生ズ 036 フイーレの傍らで)

36 門(フイーレ)の傍らで 聖マリア像が砕けている 生と死で区別できないから … 続きを読む

現代詩論 〈岐路・迷路〉 その2 『明治大学新聞』, 1974

「私たちは、すでにみてきた『成熟』に伴う、ことばと表現者との宿命的な自己放棄=自 … 続きを読む

緑字生ズ 037 (?鬼の目おちて)

37 〽鬼の目おちて  冥土の唄にひえびえと  ああア お腹の首の … 続きを読む

緑字生ズ 038 (ルーキーナよ、聞け)

38 ルーキーナよ、聞け 宇宙の裂目から 巨大な蛆虫が涌き ドン・キホーテが凱旋 … 続きを読む

緑字生ズ 039 (熔接工の家を訪ねると)

39 熔接工の家を訪ねると 小さな煖炉に ヴァシリキ式の陶器 燃える水晶時計 雪 … 続きを読む

緑字生ズ 040 (己れの造物主が)

40 己れの造物主が己れだと知った人形が いささかくたびれはて 死体のふりして … 続きを読む

緑字生ズ 041 (朝を抱きしめるように)

41 朝を抱きしめるように 冷えたビールを呑んだ それからいとまごいをし ほとぼ … 続きを読む

緑字生ズ 042 (夕陽が溪間に)

42 夕陽が溪間にとどまっている 呆れガラスのはばたき 時忘れのなめくじ 樹々の … 続きを読む

緑字生ズ 043 (くりなされた空)

43 くりなされた空 (闇の空模様) 猛禽類が翔ける その飛跡が尖っている 鋭い … 続きを読む

緑字生ズ 044 (弦のような肋骨)

44 弦のような肋骨 ブナの木蔭で 死体の手の甲が重ねられる 下草に埋れて爪が光 … 続きを読む

緑字生ズ 045 (frogよ 跳躍よ)

45 frogよ 跳躍よ つながりにたたみかけ まらが抜けたり刺さったり きちが … 続きを読む

緑字生ズ 046 (ずいぶん深い思考に……)

46 ずいぶん深い思考に浸っていたときに、急に目の前がぼんやりして視点が定まらな … 続きを読む

緑字生ズ 047 (火の時間の火)

47 火の時間の火 手のつけられぬ立体

緑字生ズ 048 (やはり女は……)

48 やはり女は開かれていた なぜなら 黝んだ乳首が冷たい ゆで卵を剥きながら … 続きを読む

緑字生ズ 049 (ヤマトネコ)

49 ヤマトネコ 光はアルコールの匂いを放つ 言葉つきの怪音波 詩が書けないので … 続きを読む

緑字生ズ 050 (海面に、辷り落ちるもの)

50 海面に、辷り落ちるもの 時へ向かう時の皮質 また人骨が出てきた 突堤を駈け … 続きを読む

緑字生ズ 051 (僧院でコーヒーを……)

51 僧院でコーヒーを淹れる 特別な日 ドイツの農村では 花々が枯れる ホフマン … 続きを読む

緑字生ズ 052 (死装束の姉を……)

52 死装束の姉をかき抱く少年 銃と毒 筋肉のわななき 彼らは追放されていたのだ … 続きを読む

緑字生ズ 053 (ひとりひとよのふかなさけ)

53 ひとりひとよのふかなさけ ふたりふたなりうしろがみ さんにんさんずのかわわ … 続きを読む

緑字生ズ 054 (眇の売笑帰に……)

54 眇の売笑帰に地図をさしだした 市場の隅に 夜の脂がたまっている 彼は旅に出 … 続きを読む

緑字生ズ 055 (山間の自然道のわきに)

55 山間の自然道のわきに 朽ちかけた雑木林と 寂れたせせらぎがある ロートレア … 続きを読む

緑字生ズ 056 (晋書に)

56 晋書に 大禹観於濁河、而受緑字 唐詩訓解に 洛書、五十六字、皆緑なり 張説 … 続きを読む

緑字生ズ 057 (おおNemesis……)

57 おおNemesis 神々の憤り 会陰部が妙に剥がれそうだ

緑字生ズ 058 (曲がる指……)

58 曲がる指 溶ける軟骨 ランボーのことを考え 味噌汁をすする 霧よ 汝のしめ … 続きを読む

緑字生ズ 059 石床スティロバテースの蔭で)

59 石床(スティロバテース)の蔭で 勁くしなう竹を埋める 月が射すと処女 竹の … 続きを読む

緑字生ズ 060 (アンテロースよ)

60 アンテロースよ 敵は味方の顔をしながらも敵 なれば、味方は第一の敵である … 続きを読む

緑字生ズ 061 (幻の童顔)

61 幻の童顔 鬼ごっこをしている子供の肉が腐っている 礼魂に長無レ絶兮終古とあ … 続きを読む

緑字生ズ 062 (?風の吹くまま……)

62 ?風の吹くままあら田の畔(くろ)で   喰うも喰わぬも雨まかせ   おいら … 続きを読む

緑字生ズ 063 (耳を尖らす馬を……)

63 耳を尖らす馬を買おうと うすむらさきの橋を渡った 夜の街には白い首の女たち … 続きを読む

緑字生ズ 064 (真珠を噛み砕くと)

64 真珠を噛み砕くと いま、ぼくは狂う えいのはだらにしっちゃっちゃ れるっば … 続きを読む

緑字生ズ 065 (樹木の睡り)

65 樹木の睡り 国家はどこにもないという嘘 嵐の夜に強姦された娘は 捨てられて … 続きを読む

緑字生ズ 066 (方舟にわく蛆)

66 方舟にわく蛆 噴水で沐浴するカエル 彼らはポロス石の泡を啖う もう、夜だか … 続きを読む

緑字生ズ 067 (断食者の首、……)

67 断食者の首、鎖の鳴る音、うたたね、しのび笑い、音にならぬ声、地下の泉への道 … 続きを読む

緑字生ズ 068 (長い旅の果てに)

68 長い旅の果てに フィラリア病の老人が 樹木の睡りを眠る 黄色の雲がひとがた … 続きを読む

旧作:19901216: サトシという少年の冒険

サトシという少年の冒険 サトシという少年の 頭脳の向こうにある頭脳 誕生しつづけ … 続きを読む

緑字生ズ 069 (街外れで)

69 街外れで 隊商の列を幻想した ミイラの顔した男たちに どこまで行くのかと訊 … 続きを読む

緑字生ズ 070 (サルボウガイよ)

70 サルボウガイよ 錨は永遠に錆ついている 菫色の小宇宙よ 星々の間が広がって … 続きを読む

旧作:20030605: 画家になる少女

画家になる少女   ――初めての個展で 水に溶ける 絵の束を抱えた 少女が ふり … 続きを読む

擬宇宙論:5001: 母胎としての無

母胎としての無 次元は対象を措定して初めて存在する。対象(他者)がなければ次元は … 続きを読む

緑字生ズ 071 (銀の首輪をつけ)

71 銀の首輪をつけ 腹をふくらませた牝犬のいる公園で 薄い色の体をもてあました … 続きを読む

緑字生ズ 072 (愛の現場での……)

72 愛の現場での燦々たるerotic 刺青師は年老いて 姦淫にまたたく股間で … 続きを読む

緑字生ズ 073 (新聞配達人の……)

73 新聞配達人の投函でめざめる 土の家、水の庭 靴底に鍵をしのばせ びっこをひ … 続きを読む

緑字生ズ 074 (脂の浮いた甲を……)

74 脂の浮いた甲を包む、赤いエナメルの靴 地下鉄が空を走るなんて! まつわらぬ … 続きを読む

擬宇宙論:4901: ものの誕生と復元力

ものの誕生と復元力 何もない状態からまず二つの状態に引き離されるためには、何もな … 続きを読む

〈存在と宇宙論〉20060428: 「宇宙音楽」の事象地平ビッグクランチ

「宇宙音楽」の事象地平(ビッグクランチ) 僕はmicaのように 剥がれ落ちるべき … 続きを読む

緑字生ズ 075 (妖しの声に窓の月)

75 妖しの声に窓の月 指につたわる汗も淫らな

緑字生ズ 076 (涙をどこかで……)

76 涙をどこかで暖めようと 声を紐にして 音のない窪地を歩く 土の景色は黄ばみ … 続きを読む

擬宇宙論:5201: 内部に向かって

内部に向かって 宇宙は増殖・拡大しているのではなく、つねに一点のまま、内部に向か … 続きを読む

緑字生ズ 077 (マゲイは……)

77 マゲイは棘だけの生き物 棘でつくった針と糸 鋭い味の酒 鋏がカランチョのよ … 続きを読む

緑字生ズ 078 (鞍型の頂から)

78 鞍型の頂から 星に向かう星 (宇宙の空腹って何のこと? そう訊いて旅立った … 続きを読む

擬宇宙論:4851: 現実とは何か

現実とは何か 絶対的な現実があるのではなく、存在の周囲の日常レベルという距離があ … 続きを読む

旧作:198402: 水の眠り

水の眠り なでしこの散るホタル 器と器の重なり 骨のつながり かすれた色の花びら … 続きを読む

緑字生ズ 079 (下駄の歯を)

79 下駄の歯を 風の裂目に蹴り上げた 湘南電車で太陽を見よう 少女の黄色い肌を … 続きを読む

緑字生ズ 080 (少女が叢で……)

80 少女が叢で強姦されたと知り 旅に出ていた 地むぐりの神話はどこにでもある … 続きを読む

擬宇宙論:4891: 現実について

現実について 「現実」ということばは、どうも卑近な絶対性の手垢にまみれているよう … 続きを読む

緑字生ズ 081 (なにものかに死が……)

81 なにものかに死が拐(さら)われた スナモグリのように 君は十字路から駈ける … 続きを読む

緑字生ズ 082 (闇の凍りつく……)

82 闇の凍りつく動悸に冒され 離婚して、若い女と暮した男 音楽の器械をつくり、 … 続きを読む

擬宇宙論:5301: 情報宇宙とブラックホール

情報宇宙とブラックホール 宇宙はすでにブラックホールの中にある。 事象地平には全 … 続きを読む

旧作:197302: 拒否方程式

日時計の白光する崩壊 雷雹による午後の破砕 かすかな夢にともなう夢の 不連続 ( … 続きを読む

擬宇宙論:5295: 記憶とは時間、因果律

記憶とは時間、因果律 時間次元もついにはかたまりとなって、全宇宙の中の閉じられた … 続きを読む

緑字生ズ 083 (尖った強迫観念)

83 尖った強迫観念 down townのとあるバーで 手を洗う酔払いのニグロ … 続きを読む

緑字生ズ 084 (うちよせる波。……)

84 うちよせる波。巌の暗い穴に。人の波。海原でふたたびこわれてうちよせる波。白 … 続きを読む

擬宇宙論:5191: ただ一点に

ただ一点に あらゆるものがただ一点に重なっている。 空間も時間も、さらにはすべて … 続きを読む

擬宇宙論:5291: 現在ポジション

現在ポジション 一個の人間存在をミンコフスキー図の現在ポジションとすると、絶対未 … 続きを読む

旧作:1980: (グァダルーペの傾いだ教会)

(グァダルーペの傾いだ教会) グァダルーペの傾いだ教会 陽気なメキシカンと騒いだ … 続きを読む

緑字生ズ 085 (倡に曰く)

85 倡に曰く 人生は無敵、ただ鉄片 Orionの光が 男の眠りを照らす こわれ … 続きを読む

擬宇宙論:5293: 時間のスケール

時間のスケール ミンコフスキー空間によると、空間は光の世界面の鏡映として存在する … 続きを読む

緑字生ズ 086 (アポロポスの鋏のままに)

86 アポロポスの鋏のままに 男は旅に出るだろう アラウカニ帝国の末裔に出会うだ … 続きを読む

旧作:1980: 暗い風

暗い風 「定稿」   ――――アルゼンチン・タンゴの曲詞 一 窓を開ければ 深い … 続きを読む

緑字生ズ 087 (運河の見える駅で……)

87 運河の見える駅で下車する 街には針が流れている その家を訪ねると 青い柿の … 続きを読む

緑字生ズ 088 (ポーモーナ、……)

88 ポーモーナ、果実の奴隷 幼きもの美しきものの肉市場 透明な白樺 ニンジン色 … 続きを読む

緑字生ズ 089 (にわたずみ)

89 にわたずみ 反射鏡の向こうに さざらめの気圏 天円地方、チューリップが立つ … 続きを読む

緑字生ズ 090 (首には歯型、……)

90 首には歯型、象牙の肌 天門を照らす眸、掌は産卵期の貝 はまふゆくくたりよ、 … 続きを読む

擬宇宙論:5281: 質点

質点 質点はこの世の実在である(n > 0)。 つまり、実在を質点、基点とするこ … 続きを読む

擬宇宙論:4899: グラビトン=宇宙背景放射

グラビトン=宇宙背景放射   三次元球面での表面張力のイメージ ただ一個のグラビ … 続きを読む

緑字生ズ 091 (三百六十五人のムネーモジュネー)

91 三百六十五人のムネーモジュネー 穴居人は知らない 少女をかどわかす暗黒を … 続きを読む

緑字生ズ 092 (夢精の夢のejecta)

92 夢精の夢のejecta 野ごしらえの花、花びら 白い牡鹿、スリッパ 鍾乳石 … 続きを読む

擬宇宙論:4895: 複雑系

複雑系 エントロピーの増大という観点において、複雑系が生命システムを、またさらに … 続きを読む

緑字生ズ 093 (元気とともに生まれる)

93 元気とともに生まれる 奇妙な野菜のジュース 雨降りの日、大陸では 赤と黒の … 続きを読む

緑字生ズ 094 (安楽椅子と加速度……)

94 安楽椅子と加速度 胸のうち アルファにmarijuanaベーだよガマン 想 … 続きを読む

擬宇宙論:4893: 身体というかたまり

身体というかたまり かたまりというのはレベルがあるようだ。 量子というのはかたま … 続きを読む

誘惑

 あの雪花石膏(アラベスター) の上にこのグラスを置くのです、そして見つめている … 続きを読む

緑字生ズ 095 (神仏不合……)

95 神仏不合 粘膜のような魔性 時間とににω子の聖体拝受 ω子といえば θ子と … 続きを読む

緑字生ズ 096 (クジャク!……)

96 クジャク! という声に振り返ると 太陽が破裂しそうな勢いで落ちている 女は … 続きを読む

擬宇宙論:48970: 池田龍雄氏への書簡1

さて、成果物としての「思考」は、これを生み出した意識や身体が消滅しても存在するの … 続きを読む

雑体:00100 : (さかしまに)

(さかしまに) さかしまに溶けゆく匂ひのラワンデル 美酒(うまざけ)が立つ その … 続きを読む

雑体:00200 : 句 つらるゝ舞姫

句 つらるゝ舞姫   ――土方巽の第一番の弟子にして、稀有の舞踏手・芦川羊子の誌 … 続きを読む

緑字生ズ 097 (単つの瓦礫からなる島の)

97 単つの瓦礫からなる島の ヒカリゴケ、 アナアオナ ふたりで海を渡る ひとり … 続きを読む

緑字生ズ 098 (蝉ゃ腹でぇ鳴くのだが、……)

98 蝉ゃ腹でぇ鳴くのだが、敵娼の骨を抜き取り賽の目切りに百三十六、それをテーブ … 続きを読む

擬宇宙論:48980: 池田龍雄氏への書簡2

別のアイデアがあります(いろいろな考えが輻輳しているのです)。 先に、時間と空間 … 続きを読む

雑体:01000 : 句集 睡りつづけるものらよ

      八月二十八日 空中の病室 空中の時間 結ばれる夢の皮膚       … 続きを読む

擬宇宙論:5195: 線は境界または理想化された1次元(ひも)

線は境界または理想化された1次元(ひも) 境界としての線は位置の不確定なあいまい … 続きを読む

緑字生ズ 099 (ひきかたむうすい骨盤)

99 ひきかたむうすい骨盤 壁をへだてて 女の首筋が燃える ――忘れたのよ、大切 … 続きを読む

緑字生ズ 100 (一九七〇年……)

100 一九七〇年十一月二十五日

〈解離手帖〉20010702: 吟行 7.2

吟行 7.2 花の名を 知るから花の香りあり (バラの花壇での「花名」を見ること … 続きを読む

擬宇宙論:5401: 次元を折り畳む

次元を折り畳む 折り畳むということは、スライスしてクランチすることになるのだろう … 続きを読む

緑字生ズ 101 (絵画的な静寂)

101 絵画的な静寂

緑字生ズ 102 (死刑執行人ゲーよ、……)

102 死刑執行人G(ゲー)よ、おれは求愛した 死者の街、師走の、革命のべル お … 続きを読む

雑体:00300 : 自由なるかなはるかなり

      ぞくりとする対面 一本の刃物 一本の光   胃に落ちる香水 糸のごと … 続きを読む

緑字生ズ 103 (おれは対称形だ)

103 おれは対称形だ 皺の中に躯が埋まる 生者はいない、生者は!

緑字生ズ 104 (偶然の死、真実の嘘)

104 偶然の死、真実の嘘 首と涙 月光崩壊! いかな断片をも忘れ去るべし

擬宇宙論:48960: 意味と絶対的外部客観

意味と絶対的外部客観 あらゆる実在に意味を求めるということは、外部からの規定、つ … 続きを読む

旧作:19720530: 裂ける

裂ける 裂ける 意志を孕む下腹を裂ける 早熟な朝の儀式を裂ける 裂けながら 礫石 … 続きを読む

緑字生ズ 105 (涙を流す人の罪深さ)

105 涙を流す人の罪深さ 君たちのやさしさのびっこの靴音 自由であると信ずるに … 続きを読む

緑字生ズ 106 (気の遠くなる夜と……)

106 気の遠くなる夜とbandoneon いのちの狂おしさ、むしばまれた夢 あ … 続きを読む

擬宇宙論:4905: 〈存在と宇宙論〉引き離されて

〈存在と宇宙論〉引き離されて   ――対称性について 引き離されて 引き離されて … 続きを読む

擬宇宙論:5285: 〈美術衝動〉10-36

〈美術衝動〉「10-36秒」L, R Super-string 10-36秒 ( … 続きを読む

雑体:01600 : 公園

公園   ――2007年10月29日の吟行から     蚊柱や 木洩れ日とよむ秋 … 続きを読む

緑字生ズ 107 (空気をそそのかす)

107 空気をそそのかす 死人形 花人形 水人形 意味ありげなふくみ笑い 仏壇の … 続きを読む

緑字生ズ 108 (世の中の寝静まるのを待ち)

108 世の中の寝静まるのを待ち 声高らかに、奈落の恋人を呼び出そう (いつしか … 続きを読む

緑字生ズ 109 (躯が人形のように……)

109 躯が人形のように透き通り 心臓に緑色の杭を打ち込むもの 汝、ああ、この疲 … 続きを読む

緑字生ズ 110 匹如身するすみの間男の死に似せて)

110 匹如身(するすみ)の間男の死に似せて 白い手袋を叩きつける 尊属を殺せ! … 続きを読む

旧作:19720529: 顫える

顫える 顫える 顫えて粉る 薬物溶液から培養されて 骸骨まで冷える 泥かむりの青 … 続きを読む

擬宇宙論:5390: 次元のかたまり 3

次元のかたまり 3 実在が有限であるならば、次元は曲率を持つために円環を結んでい … 続きを読む

擬宇宙論:5501: 思考と「見方の問題」

思考と「見方の問題」 意識は身体に属する機能であると思われるが、精神、魂などとい … 続きを読む

緑字生ズ 111 (?蔭に日向に声かけて)

111 ?蔭に日向に声かけて  叩き起こして死するなり  おれはおれの死を叩き売 … 続きを読む

緑字生ズ 112 (庭掃除。……)

112 庭掃除。水の流れる暗黒。ふたたび、夢は時間じゃない。冷蔵庫、牛乳の中で猫 … 続きを読む

旧作:19720531: 繰れる

繰れる 醒めた記憶庫のさざめき 宇宙を悪意される 鸚鵡の一瞬 繰れる 繰れながら … 続きを読む

〈解離手帖〉200112: (無明とは)

(無明とは) 無明とは椿のごとく寒雨なり 裏道の溝塀の底 見えざりき  立つこと … 続きを読む

旧作:19720612: 繋ぐる

繋ぐる 繋ぐる 反照の緑葉からこぼれる紙凧 繋ぐれて 夜をこぼれる 繋ぐれのまま … 続きを読む

緑字生ズ 113 (cinnamonの喉ぼとけ……)

113 cinnamonの喉ぼとけ―草色の貌―哀しみの恋―物質の肉体的特性―撃鉄 … 続きを読む

緑字生ズ 114 (方)

114 方 格 規 矩 鏡の渓谷〔prismの内容物〕鏡の平原 の山腹 乱反射  … 続きを読む

擬宇宙論:5380:重ね合わされた次元

重ね合わされた次元 包含-被包含の構造を、芯のない、外部のない、タマネギの皮のド … 続きを読む

旧作:19720614: 添える

添える 添える 吹きこぼれる感傷 添えられて夜を識り 拒なな情行をとぎられる 添 … 続きを読む

緑字生ズ 115 (永遠に鳴りつづく楽器)

115 永遠に鳴りつづく楽器 忘れかけた革命 白い腕がいちだんと強く、腰を抱く … 続きを読む

緑字生ズ 116 (ありふれた恋には……)

116 ありふれた恋にはせじと かわいた舌で口ずさむ 流るるは 灰色の脚のさすら … 続きを読む

擬宇宙論:5283: 〈美術衝動〉解放衝動の探求

〈美術衝動〉「解放衝動の探求」I,II   制作: 2006.4, oil, c … 続きを読む

緑字生ズ 117 (老ゆるものの醜い肉体、……)

117 老ゆるものの醜い肉体、ふるき世界 痩せほそるいのち、はかないいのち それ … 続きを読む

緑字生ズ 118 (老ゆるものはその生涯で、……)

118 老ゆるものはその生涯で、あらゆるものを畏れていたか、畏れの対象になど出遇 … 続きを読む

擬宇宙論:528290: 〈美術衝動〉Super-string Theoryシリーズについて

2) 「存在とはどういうことか」という問題  構造としての肉体の詳細化は、その究 … 続きを読む

緑字生ズ 119 (汽水よ……)

119 汽水よ 赤褐色の海藻がからまる 青く光る小魚の群が岩場で餌を 泡立つ波間 … 続きを読む

緑字生ズ 120 (獣たちよ、……)

120 獣たちよ、海をみたすものよ、崖の切尖 湖から森へ 街を渡り さらに山脈を … 続きを読む

擬宇宙論:528292: 〈美術衝動〉Super-stringもしくは立ち上がる解放衝動

〈美術衝動〉Super-stringもしくは立ち上がる解放衝動 それぞれの存在、 … 続きを読む

緑字生ズ 121 (紫色の肌に……)

121 紫色の肌に白い斑点をもつ貝が、夕焼けに染まった海の中を流れていく 渦がそ … 続きを読む

緑字生ズ 122 (海猫の飛び交う崖よ……)

122 海猫の飛び交う崖よ 涸いた血の色をした岩壁よ 狼の吠える崖 幼い人魚の集 … 続きを読む

〈存在と宇宙論〉20060419: (選択的実在というはがれが)

(選択的実在というはがれが) 選択的実在というはがれが 幾層ものめくれからこぼれ … 続きを読む

旧作:19720615: 鬩ぐる

鬩ぐる 鬩ぐりながら熾烈される 宿運を復讐され 茫々する橄欖 いつか 海原から流 … 続きを読む

緑字生ズ 123 (荒涼!……)

123 荒涼! 荒涼たる海よ おお、革命の蘇生を願うなかれ 砕かれしこころのまま … 続きを読む

緑字生ズ 124 (灰色の砂を眺めていた少女が、……)

124 灰色の砂を眺めていた少女が、老人の話に眉をひそめる 蟹が砂を噛むのはかた … 続きを読む

擬宇宙論:48985: 〈美術衝動〉浮游するオブジェ

〈美術衝動〉浮游するオブジェ 巨大な絵(平面)の前で かすかに廻転する 粘土製の … 続きを読む

緑字生ズ 125 (獅子のように……)

125 獅子のように咆哮を放ちながら泣いている少年 薄暗い地下道を行き交う人々が … 続きを読む

緑字生ズ 126 (一九六九年十一月……)

126 一九六九年十一月 冷たい部屋の眠り さめざめと泣いていた少女は 女に変身 … 続きを読む

擬宇宙論:5297: 恐るべき瞬間の時間サイズ

恐るべき瞬間の時間サイズ   第14回展「10-36秒」に寄せて 僕らはある日、 … 続きを読む

緑字生ズ 127 (少年よ、君は)

127 少年よ、君は 部屋の隅で小さくなって暮らす 蝋燭のゆらめきが、君の夜をお … 続きを読む

緑字生ズ 128 (季節はギロチン)

128 季節はギロチン 精神が粉々に飛ぶ ラッキョウのように 死に接吻し 青い静 … 続きを読む

緑字生ズ 129 (この皮袋を通じて)

129 この皮袋を通じて 線路上で爆発し 橋桁の滴となる

緑字生ズ 130 (冬になると人死にが出る。……)

130 冬になると人死にが出る。そんなことを思い出していた。「やっぱり不謹慎だよ … 続きを読む

旧作:197404: 魔の満月 第一部(習作)

* 〔異稿〕I 数世紀も地平線に転がる物体が低い息切れをおとしていく 枝が重く地 … 続きを読む

緑字生ズ 131 (門札の夜叉が)

131 門札の夜叉が 西洋風の笑みを洩らす

緑字生ズ 132 (旅館の長い廊下。……)

132 旅館の長い廊下。途中、壁の漆喰を噛みしめ、突き当たりの仕事場に。竈の燈影 … 続きを読む

旧作:197403: 魔の満月 第二部(習作)

なにげない朝ばかり。希望も、欲望も、消化され排泄されている。 髪の毛には、毒虫が … 続きを読む

緑字生ズ 133 (夜を記憶しない日々。……)

133 夜を記憶しない日々。煙と湿度。鳥に変身する。強い翼で都市に嵐を。塩、ガス … 続きを読む

緑字生ズ 134 (鉛の焦げる古都。……)

134 鉛の焦げる古都。匂い。肥大した河。褐色の指、腕、緑の胴体が。長雨の中で燃 … 続きを読む

〈解離手帖〉2001: (交感神経に)

(交感神経に) 交感神経に作用する薬物を服用している。 面妖なことに、脳の活動部 … 続きを読む

擬宇宙論:5298: 〈存在と宇宙論〉タマネギ理論

〈存在と宇宙論〉タマネギ理論 包含-被包含の連鎖の構造を、タマネギの皮をドーナツ … 続きを読む

緑字生ズ 135 (ガラス張りの部屋で。……)

135 ガラス張りの部屋で。世界の空気と疲労、冷酷と美貌と。躯にそそがれる時間、 … 続きを読む

緑字生ズ 136 (parrotの一瞬、……)

136 parrotの一瞬、鉄塔が切り崩され、地面に叩きつけられ、地球の内部を発 … 続きを読む

擬宇宙論:5480: 〈存在と宇宙論〉思考と意識

〈存在と宇宙論〉思考と意識 意識は身体に帰属している。身体は機構であると考えると … 続きを読む

緑字生ズ 137 (白雨あり。……)

137 白雨あり。踏切警報。異常な緊縮。秘匿すべきことば。青い死の光を搗く金属。 … 続きを読む

緑字生ズ 138 (ギボシムシと火縄銃アルクビューズ!)

138 ギボシムシと火縄銃(アルクビューズ)! 潮の核心(ほと)を貫通する から … 続きを読む

緑字生ズ 139 (はたたく海鷹)

139 はたたく海鷹 生命の暗渠、円形墓地(エプシロン) 存在の滴化

緑字生ズ 140 (Jacobの杖、……)

140 Jacobの杖、パレステイラよ 下着に醤油がこぼれている またしても光の … 続きを読む

擬宇宙論:5388: 次元のかたまり 2

次元のかたまり 2 次元とは何であるか。1次元、2次元、3次元の空間次元という日 … 続きを読む

緑字生ズ 141 (光は敵だ!)

141 光は敵だ! そらいろの鳶が翔ける 虹は見えるものではない ヒッポドロモス … 続きを読む

緑字生ズ 142 (麝香とビュラン)

142 麝香とビュラン しめた! 声高にひと声吼えてorang-utan 下腹を … 続きを読む

擬宇宙論:5385: 次元のかたまり 1

次元のかたまり 1 多次元は「n次元, [(n-1)次元..1次元]次元」という … 続きを読む

緑字生ズ 143 (もはや腰などは臀部、……)

143 もはや腰などは臀部、音だけが立つ 倒立する肉体 苦難にあふれる路上、世界 … 続きを読む

緑字生ズ 144 (疲労と睡り、……)

144 疲労と睡り、絶望と苛立ち。みもだえすることとふるえあがることと泣き立つこ … 続きを読む

擬宇宙論:5300: 〈存在と宇宙論〉実在というプランク・サイズ

〈存在と宇宙論〉実在というプランク・サイズ 光速度がゼロであって、次元の塊がマイ … 続きを読む

擬宇宙論:4904: あらわれ

あらわれ 次元があらわれるのは 重力が生まれてからに違いない なぜなら 真空であ … 続きを読む

緑字生ズ 145 (はだけがみ。)

145 はだけがみ。 うららかにむれつく樹脂の匂い。 裸のまま遠ざける。女はうが … 続きを読む

緑字生ズ 146 (霧の方のエオスよ)

146 霧の方のエオスよ 幻の頭蓋骨を造形せよ その暁の蟻酸、若い肺を抉る…… … 続きを読む

緑字生ズ 147 (ねぶるるものらのねむり)

147 ねぶるるものらのねむり はだかのOrchis しりだちからからみねへ ね … 続きを読む

緑字生ズ 148 (迷い猫の後をつけて、……)

148 迷い猫の後をつけて、眼は見ず知らず ガラスの破片の浮かぶ都市や 天袋を覗 … 続きを読む

緑字生ズ 149 (アジサイに包まれて)

149 アジサイに包まれて 涸れはてたものを密葬する夜 伸スレ眉ヲ 月影の女の純 … 続きを読む

緑字生ズ 150 (倒立した円錐図形)

150 倒立した円錐図形 シャクナグの可憐な綱渡り 秋篠寺の黒い石が汗をかいてい … 続きを読む

緑字生ズ 151 (寝息をまねて脈をとる)

151 寝息をまねて脈をとる 顔のない顔 その皺の中を躯が流れる 交わりではなく … 続きを読む

緑字生ズ 152 (猫の耳と称ばれる)

152 猫の耳と称ばれる ヒマラヤ杉の下蔭から 玄関(プロピレイア)に入ると 股 … 続きを読む

緑字生ズ 153 (人台の前で……)

153 人台の前で尾を置き忘れた両棲類 梟のように頬をふくらませた男の死亡通知  … 続きを読む

緑字生ズ 154 舷梯ギャングウェイを跳び降り、……)

154 舷梯(ギャングウェイ)を跳び降り、夏の空は眩しい マドロス帽をあみだにか … 続きを読む

Large Work 01: D-brane

 

緑字生ズ 155 (握力と鮮血)

155 握力と鮮血 羊水があふれ 地球が母の姿を現わすと 寸前の胎児が死にかける

緑字生ズ 156 (黄金の木枯し、……)

156 黄金の木枯し、骨だらけの枝 樹液のひからびた幹 唇と放尿 反目の首が嗤い … 続きを読む

Large Work 02: Occurrence of liberating impulse

緑字生ズ 157 (その壁画は)

緑字生ズ 157 (その壁画は) 157 その壁画は アカンサスの葉飾りのある … 続きを読む

緑字生ズ 158 (星からの悪い知らせだ)

158 星からの悪い知らせだ ねえ、 マスター! 太陽は衰弱をきわめた the … 続きを読む

Large Work 03: Super-string 10-44sec. ―重力の発生

緑字生ズ 159 そそげ、隕石)

159 溌(そそ)げ、隕石 撥ねよ、両棘矛(パルチザン) 不軌をはかるべし 燃え … 続きを読む

緑字生ズ 160 (旺盛ナルメシア)

160 旺盛ナルメシア 反抗期ノヒエラルヒー 勝利ヲ目前ニシタアルコーリック 神 … 続きを読む

緑字生ズ 161 (ラレースよ)

161 ラレースよ 黴毒の源、方舟にわく蛆よ 乱気流の中を移動するアジビラが 火 … 続きを読む

擬宇宙論:528293: 〈美術衝動〉作品「転移」1, 2

〈美術衝動〉作品「転移」1, 2  相転移phase transitionとは、 … 続きを読む

緑字生ズ 162 (一億の首を吊る……)

162 一億の首を吊る目のさめるような夢 未来という濃淡にさらされた銀河が、音の … 続きを読む

擬宇宙論:4700: 〈存在と宇宙論〉単位と包含

〈存在と宇宙論〉単位と包含 閉じ込められている存在のあらゆる単位。単位はつねに包 … 続きを読む

擬宇宙論:4690: 〈存在と宇宙論〉存在の単位

〈存在と宇宙論〉存在の単位 体の中にあるあらゆる単位、それらが自己を持つ。 自己 … 続きを読む

寄稿: 金石 稔 「卯月に花嫁となるひとへの祝いに」

  (2014.4.12の紙田彰の娘の結婚の祝い) 卯月に花嫁となる女 … 続きを読む

画家になる少女(娘の結婚に寄せて)

画家になる少女   ――初めての個展で 娘の結婚式, 2104.4.12 水に溶 … 続きを読む

緑字生ズ 163 (アルメニア産の粘土で……)

163 アルメニア産の粘土でできた男が (窃かに夜を見て) かぎろう月のあおく匂 … 続きを読む

擬宇宙論:4750: 〈存在と宇宙論〉(存在は)

〈存在と宇宙論〉(存在は) 存在は包含という構造を余儀なくされているかに見える。 … 続きを読む

未刊行詩集『strandにおける魔の……』01: 十時二十一分――土方巽へ

十時二十一分 月が曇っていた だから妙な気がしたのだ その時間に 眠りの光の中に … 続きを読む

緑字生ズ 164 (サーカスの来た朝)

164 サーカスの来た朝 鏡の中によりかかるものら ポゾランにまみれた火の鳥のあ … 続きを読む

緑字生ズ 165 (忘れさられた砂場の……)

165 忘れさられた砂場のトンネルが 半分崩れたまま 風にさらされている 街の生 … 続きを読む

緑字生ズ 166 (銀色の頭髪……)

166 銀色の頭髪 タコブネと虹 象徴画法に目くじら立てるな 魚の瞳孔が光り 蛇 … 続きを読む

未刊行詩集『strandにおける魔の……』02: 魔女の翔く

夜空をめがけて乱反射する 萎れきった脂の河が ふたたび世紀をとりもどす 銀の釘を … 続きを読む

擬宇宙論:52965: 〈存在と宇宙論〉無限点について

〈存在と宇宙論〉無限点について 物質(エネルギー)が無限点になりえないということ … 続きを読む

緑字生ズ 167 (魂くぐりの電車が)

167 魂くぐりの電車が 時間の濃淡を呑み込んでゆく いとおしき大地、つらなるう … 続きを読む

Large Work 04: initial stage

擬宇宙論:52815: 〈存在と宇宙論〉世界面

〈存在と宇宙論〉世界面 世界面のスライス 世界面の不連続 物質情報のコピー 物質 … 続きを読む

未刊行詩集『strandにおける魔の……』03: 女陰

よこしまの魔の はりはりはり…… 肥大する唇が 地下に封ぜられた下肢を ふたたび … 続きを読む

緑字生ズ 168 (八重桜)

168 八重桜 夜の契りの炎の滴 別れ霜 墓地はだらなり灰まみれ お粥腹、お粥腹 … 続きを読む

緑字生ズ 169 (黒ずんでもおらず、……)

169 黒ずんでもおらず、澄みきってもいない 佇んでも、駈け出してもいない 肩を … 続きを読む

Large Work 05: Super-string Theory

〈美術衝動: 文〉(作品に取り囲まれるということが)

〈美術衝動: 文〉(作品に取り囲まれるということが) 作品に取り囲まれるというこ … 続きを読む

擬宇宙論:4892: 〈存在と宇宙論〉(実在とは)

〈存在と宇宙論〉(実在とは) 実在とはエネルギーのことである。 また、そのものか … 続きを読む

Large Work 06: initial stage 2

緑字生ズ 170 (神が神であることから……)

170 神が神であることから始まる神への愛 汝を絶望する汝への愛 愛が愛であるか … 続きを読む

緑字生ズ 171 (最後の夜に、……)

171 最後の夜に、匂いやかな異物 出生は膣をくぐった時からまどろんでいた

擬宇宙論:48915: 〈存在と宇宙論〉(死ぬまでに知りたいことは)

〈存在と宇宙論〉(死ぬまでに知りたいことは) (死ぬまでに知りたいことは) 人間 … 続きを読む

〈美術衝動: 文〉息を吹きかけたとき

〈美術衝動: 文〉息を吹きかけたとき 奥行きがあるように見えるが、向こうは平坦で … 続きを読む

Large Work 07: Super-string 10-36sec.

〈美術衝動: 文〉作品“Super-string Theory”についてのメモ

〈美術衝動: 文〉作品“Super-string Theory”についてのメモ … 続きを読む

緑字生ズ 172 (梁に吊られたトウキビ、……)

172 梁に吊られたトウキビ、タカノツメ 爆(は)ぜる白樺 少女の煙 田舎を懐旧 … 続きを読む

未刊行詩集『strandにおける魔の……』04: 魔の系図

消炭だ 消炭 星たちの叛乱だ 狙撃者だ 火気に中られた空は 灼熱の暗黒へ 夜の彩 … 続きを読む

〈美術衝動〉「偶然の連鎖と消失」シリーズ [I](無から)

〈美術衝動〉「偶然の連鎖と消失」シリーズ [I](無から) 無から偶然にも力が生 … 続きを読む

Work: initial stage: The chain of the accident and the disappearance

〈美術衝動: 文〉「偶然の連鎖と消失」シリーズ(始まりに)

〈美術衝動: 文〉「偶然の連鎖と消失」シリーズ(始まりに) 始まりに始まりの命名 … 続きを読む

〈美術衝動〉「偶然の連鎖と消失」シリーズ [II] (まず、偶然にも)

〈美術衝動〉「偶然の連鎖と消失」シリーズ [II] (まず、偶然にも) まず、偶 … 続きを読む

〈美術衝動: 文〉「偶然の連鎖と消失」シリーズ [偶然]

〈美術衝動: 文〉「偶然の連鎖と消失」シリーズ [偶然] 偶然は「全智全能」であ … 続きを読む

〈美術衝動〉「偶然の連鎖と消失」シリーズ [III]偶然の連鎖と消失

〈美術衝動〉「偶然の連鎖と消失」シリーズ [III] 偶然の連鎖と消失 〈偶然〉 … 続きを読む

〈解離手帖〉2002: イメージ情報

イメージ情報 夢は情報断片の小さなセンテンスの分散集合であるが、夢を見るものは、 … 続きを読む

〈解離手帖〉200112: (光は命を)

(光は命を) 光は命を奪い 暗黒は心を奪う 窓を閉めろ 今すぐ 厚いカーテンを降 … 続きを読む

〈美術衝動〉「偶然の連鎖と消失」シリーズ [IV] 無の消失

〈美術衝動〉「偶然の連鎖と消失」シリーズ [IV] 無の消失 ○無の概念、抽象化 … 続きを読む

未刊行詩集『strandにおける魔の……』05: 忍び笑う魔

失神しつづける樹木や草 翅を凍りつかせた虫は とじこめられた腺という腺をしめなお … 続きを読む

〈解離手帖〉20011010: (俺の描く絵が)

(俺の描く絵が) 俺の描く絵が ずっと並んでいた まず星が降る 光の繊細な渦 強 … 続きを読む

〈解離手帖〉200105: (見るものは)

(見るものは) 見るものは重なる 見えざるものが自ずから現れんと欲する [作成時 … 続きを読む

〈解離手帖〉2001: (トマトという水)

(トマトという水) トマトという水 レタスという水 水の野菜が流れてゆく [作成 … 続きを読む

〈解離手帖〉200105: etude群について

etude群について 稲光のような切実な白昼があって油絵具を買うことにした 八号 … 続きを読む

Large Work 08: The ambition and greed of DNA living entity

〈解離手帖〉2001: (もの思わしげな)

(もの思わしげな) もの思わしげな男の うつむく角度の首の線 夕暮れの薄雲の色に … 続きを読む

〈測定ノート〉200201: (こちら側から)

(こちら側から) こちら側から突き出ていくものと、向うからやってくるものとがキャ … 続きを読む

Large Work 09: B(a|o)ndage

〈美術衝動: 文〉物質創造の大版画家・小口益一 (追悼)

「黒いかたち」を前にして滂沱しながら立ち尽くす私に作家が話しかけたのはそのときで … 続きを読む

〈測定ノート〉200101: (芸術が)

(芸術が) 芸術が永遠なんてのも嘘 芸術は人類とともに滅亡する 音も、像も、言葉 … 続きを読む

〈測定ノート〉200201: (化学反応)

(化学反応) 化学反応 不完全な存在であるところの 人間は ただの化学反応の集合 … 続きを読む

Large Work 10: Remote power

未刊行詩集『strandにおける魔の……』06:

館は 強靱な一対の鋼 どろどろの炎を その痴呆を 弾頭部に装填すると ものものの … 続きを読む

未刊行詩集『strandにおける魔の……』07: 棘という神話

棘。こうして、棘は砂漠ででも、大洋上ででも、棘という棘に侵入していく。外部のもの … 続きを読む

Large Work 11: Scope

〈測定ノート〉200201: (私にとってみれば)

(私にとってみれば) 私にとってみれば 私の死は 生の終わり 宇宙の終焉 永遠の … 続きを読む

〈測定ノート〉200201: (過去を)

(過去を) 過去をふり返ることが恐ろしいことのひとつ 未来はあるかないか分からぬ … 続きを読む

旧作:1980/(触れうるもの)

(触れうるもの) 福原哲郎に 触れうるもの 生ずべきもの 動かざりしものの移動 … 続きを読む

旧作:1980/車座の中の通夜

車座の中の通夜 ――常ならむ 憂世の闇をたち逝かば     かぎらう月の蒼く匂ふ … 続きを読む

Large Work 12: Search for liberating impulse

未刊行詩集『strandにおける魔の……』08: 宛名の魔(名宛ての魔)

雑種犬の赤い眼にとらえられ (とらわれ) (スピーディに)(見捨てられる) 急速 … 続きを読む

〈測定ノート〉200201: (死のことを)

(死のことを) 死のことを考え続けているから 生きているという実感があるのかも知 … 続きを読む

〈美術衝動: 文〉フラグメントの独立

フラグメントの独立 形、線、色を現すことを作家という行為主体に求め、あるいは同調 … 続きを読む

未刊行詩集『strandにおける魔の……』09: strand における魔の……

透きとおる方舟 綿密な計画という頭痛 眼の形をした星が 膜の重なりをすりぬけて … 続きを読む

Work: Super-string: Universe sheet

[資料] アピール! 天安門事件: 01(直江屋緑字斎)

 この資料は、25年前の1989年にパソコンネットワーク「PCS」で公開したもの … 続きを読む

[資料] アピール! 天安門事件: 02(中国人活動家・著)

 つづいて万潤南社長が挨拶した。中国の新興中産階級の声と願望を代弁して、10年間 … 続きを読む

〈存在と宇宙論〉primitivity: 原初性

primitivity: 原初性   ――ないものを創造することの充足 存在と宇 … 続きを読む

[資料] アピール! 天安門事件: 03(中国人活動家・著)

 天安門広場で警備にあたった三十八軍の将官、兵士たちは学生の列が天安門に入るやい … 続きを読む

[資料] アピール! 天安門事件: 04(中国人活動家・著)

 何東昌の発言に対して、北京大学では「鄧小平は中央委員会と一致していない」という … 続きを読む

[資料] アピール! 天安門事件: 05(中国人活動家・著)[了]

 趙紫陽は次のように自分の意思を表明した。「学生運動の鎮圧だけは私にはどうしても … 続きを読む

[資料] 戒厳令下の北京を訪ねて【上海篇】[01](直江屋緑字斎)

戒厳令下の北京を訪ねて【上海篇】[01]  1  6月3日の深夜から、私は次のよ … 続きを読む

[資料] 戒厳令下の北京を訪ねて【上海篇】[03](直江屋緑字斎)

戒厳令下の北京を訪ねて【上海篇】[03]  3  1989年6月21日  中国民 … 続きを読む

[資料] 戒厳令下の北京を訪ねて【上海篇】[04](直江屋緑字斎)

 右も左も分からないので、最初の一泊はしようがないと思っていたので、おそらくその … 続きを読む

[資料] 戒厳令下の北京を訪ねて【上海篇】[05](直江屋緑字斎)

 割れたガラス窓の奥にある狭い部屋で、家族が小さなテーブルを囲んで食事をしている … 続きを読む

未刊行詩集『strandにおける魔の……』10: 秋禊

秋禊 あああああ ああ これほどの これほどの んんん まっさおな夜 主よ! 御 … 続きを読む

[資料] 戒厳令下の北京を訪ねて【上海篇】[06](直江屋緑字斎)

 1937年から1945年までのこの日本軍の侵略戦争による中国軍の被害は戦死、負 … 続きを読む

〈解離手帖〉200206: (巧くなりたいから描くのではない。)

(巧くなりたいから描くのではない。) 巧くなりたいから描くのではない。表現したい … 続きを読む

〈美術衝動: 文〉〔イメージ〕

〔イメージ〕 光の波長。増幅・干渉・減衰 反射:吸収〔強度・明度〕 角度、スペク … 続きを読む

擬宇宙論:5485: 〈存在と宇宙論〉思考的直観

擬宇宙論:5485: 〈存在と宇宙論〉思考的直観 存在は何ものかに収斂されていく … 続きを読む

[資料] 戒厳令下の北京を訪ねて【上海篇】[02](直江屋緑字斎)

*この章、脱落しました。以降のタイトルの番号訂正しました。 戒厳令下の北京を訪ね … 続きを読む

[資料] 戒厳令下の北京を訪ねて【上海篇】[07](直江屋緑字斎)

 この上海一つを取っても、人口1200万の人の海を見せつけられた私にとっては、強 … 続きを読む

未刊行詩集『strandにおける魔の……』11: 眼の街

その牙が噛み砕くのは誰の腕か 姉さん! 飢えた胃の荒れた粘膜を乾板にして 必ずや … 続きを読む

Work: initial stage: Blotting Method, watercolor on paper

[資料] 戒厳令下の北京を訪ねて【上海篇】[08](直江屋緑字斎)

 だが、この日……。  北京放送は、「上海市中級人民法院は同日午後、上海ビール工 … 続きを読む

[資料] 天安門事件: 内側から見た恐怖政治[01] (佐丸寛人)

「佐丸さん、今日こそ来るべきだったんですよ」 「しかし、これで中華人民共和国も大 … 続きを読む

[資料] 天安門事件: 内側から見た恐怖政治[02] (佐丸寛人)

 かくして、「あれは本当に暴乱だったのかもしれない」と思うようになるのである。私 … 続きを読む

〈美術衝動: 文〉(地下室といえども)

(地下室といえども)   ――2003.6.6 初めての個展で 地下室といえども … 続きを読む

[資料] 天安門事件: 事件直前の記事等の翻訳[01] (佐丸寛人・訳)

 現在の文化論争は、重点を前近代伝統文化への非難・批判・整理に置くより、むしろ「 … 続きを読む

未刊行詩集『strandにおける魔の……』12: 徴候きざし

届きうべくもなく 宛先人死亡 種族を告げる滴よ その滴の中にもぐりこむ もぐりこ … 続きを読む

[資料] 天安門事件: 事件直前の記事等の翻訳[02] (佐丸寛人・訳)

 科学的理性と人道主義との統一が体現できるような現代的マルクス主義を創造し、それ … 続きを読む

[資料] 天安門事件: 事件直前の記事等の翻訳[03] (佐丸寛人・訳)

 著者紹介  王鵬令  1945年生まれ。祖籍: 遼寧省。1969年、西南交通大 … 続きを読む

擬宇宙論:4900: 〈存在と宇宙論〉もの(存在)が

〈存在と宇宙論〉もの(存在)が もの(存在)が光の多様性を開示している 光は何も … 続きを読む

旧作:0007/イタンキ浜

イタンキ浜 海岸の砂山に登る五歳の子ら これから記憶を積むこれらの子らの 取り戻 … 続きを読む

〈美術衝動: 文〉(直線、矩形は)

(直線、矩形は) 直線、矩形は 人間のみが生成した抽象 つまり、存在していないも … 続きを読む

[資料] 天安門事件: 事件直前の記事等の翻訳[04] (佐丸寛人・訳)

 問: それでは、今日、我々の身近で、どんな所に科学主義の特徴が出ているか、ずば … 続きを読む

未刊行詩集『strandにおける魔の……』13: 遮断機 気泡の……

遮断機 気泡の…… 気泡の あてどない気泡の 斜行するあてどない気泡の ふぞろい … 続きを読む

[資料] 天安門事件: 事件直前の記事等の翻訳[05] (佐丸寛人・訳)

 問: お聞きしたところ、「国粋」が東アジア経済の成功に尽くした役割をより強調し … 続きを読む

[資料] 天安門事件: 事件直前の記事等の翻訳[06] (佐丸寛人・訳)[了]

 改良主義・修正主義。中国人は前近代に数々の立派なものを作った(思想に於ける諸子 … 続きを読む

未刊行詩集『strandにおける魔の……』14: astérisque

裏がえる肺 めくられる嚢 のたうち のたうち 何処! 渇き! 響く! 闇こそ枕! … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』01: (窓から覗くと)

(窓から覗くと) 窓から覗くと 沐浴する異国の女のような 幽霊だった

見夢録: 2014年05月14日-31日

■2014/05/31 2014/05/31 07:12: 【かけら】 [資料] … 続きを読む

見夢録: 2014年06月01日-13日

■2014/06/11 2014/06/11 03:44: 【かけら】 SENT … 続きを読む

ビデオ通話をしながら コスモロジーもどき

海鮮で食した鰺は絶品で もう半年もこのことを 発表していた 夢を見て 天候のせい … 続きを読む

Work: Kuala Lumpur I, acrylic

 

Work: Think A, acrylic

未刊行詩集『空中の書』02: 満月

満月 夜は来た 妖しい吐息が裾野に広がってゆく 頭上に爛々とかがやく紅蓮の月 お … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』03: 肉体の運命

肉体の運命 死者の肉を 刺身にして弔う風習を知ったのは 露地裏で少女と遊んでいた … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』04: 贖罪

贖罪 古来、夜の使者と馴染み、悪逆非道の律法を糧とし、巻貝の好餌として封印された … 続きを読む

擬宇宙論:528296:〈美術衝動〉 Occurrence of liberating impulse: 解放衝動の発生

〈美術衝動〉作品「Occurrence of liberating impuls … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』05: 声の届かぬ部屋 I

声の届かぬ部屋 I 魂と肉体を分つ術を用い 窖(あなぐら)の中で修練する 静止し … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』06: 声の届かぬ部屋 II

声の届かぬ部屋 II 頭蓋骨にしまった 罌粟(けし)のうすい花びら インクのかす … 続きを読む

Work: Think B, acrylic

 

擬宇宙論:528291: 〈美術衝動〉作品「10-44sec.―重力の発生」

〈美術衝動〉作品「10-44sec.―重力の発生」  この作品は、横浜市・Ban … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』07: 声の届かぬ部屋 III

声の届かぬ部屋 III 青鹿毛の馬の背に 咒文の書かれた服を着て 闇に溶ける者が … 続きを読む

旧作:1988/The impression, Scotland

The impression, Scotland げんこの形をした山塊がどしんど … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』08: 声の届かぬ部屋で

声の届かぬ部屋で 包みを開封すると 押花の罌粟と 頭蓋骨の破片とが 雪のように … 続きを読む

擬宇宙論:52825: 〈美術衝動〉作品「Uncertainty Principle」1?4

〈美術衝動〉作品「Uncertainty Principle」1?4  M6号サ … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』09: 透明な卵

透明な卵 球体の中に世界が視える 老いた書誌学者の説によれば つがいの巨人族の … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』10: 頭蓋骨モデルから伝わるもの

頭蓋骨モデルから伝わるもの 闇の傾斜を、張りつめた糸が重なるように、かさかさに涸 … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』11: 古い砂

古い砂 砂上の皺に数十億の蜜蜂が群っている 独り涸いた丘陵を駈けたのは瞬時の眩惑 … 続きを読む

飛翔する肉体(追悼)――演出家・只石善士に

飛翔する肉体(追悼)   ――友であり、先輩である只石善士兄に捧ぐ アンダーグラ … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』12:

道 夕暮どきともなると、樹々のざわめきの奥に見え隠れする獣の対になった姿をみとめ … 続きを読む

擬宇宙論:52821: 〈美術衝動〉作品「CMB(Cosmic Microwave Background)」 1?5

〈美術衝動〉作品「CMB(Cosmic Microwave Background … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』13: 脣の赤い少女

脣の赤い少女 睡りの前に少女のかかとを見る ガラスのように尖った神秘が眼の中を疾 … 続きを読む

擬宇宙論:52826: 〈美術衝動〉作品「反-次元のかたまり」1?5

〈美術衝動〉作品「反-次元のかたまり」1?5  ひもエネルギーが単純化された配置 … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』14: 魂の滋養

魂の滋養 受話器から洩れる魂の誘惑 あくことない耽溺 室内の細い光が街路へ抜ける … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』15: (林檎の研究を)

(林檎の研究を) 林檎の研究をしている友人に次のような話を聞いた 虫が涌くときに … 続きを読む

Work: Super-string: Universe sheet(small)

 

未刊行詩集『空中の書』16: 酔眼の微笑

酔眼の微笑 眼の中に点々と注がれるものが純水であるとするならば、おまえたちの滂沱 … 続きを読む

Work: Super-string: ψ i – iii

 

未刊行詩集『空中の書』17: エリニュスの裔

エリニュスの裔  眷属の声 幽霊を見ていた。 肉体と魂の分離の術を試みていたとき … 続きを読む

雑体:020131110 : 「それでも一歩、ちかづく」の詩中句

「それでも一歩、ちかづく」の詩中句 ○炎る夏かさねて夜もあかさたな ○年の瀬のあ … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』18: 静謐のひととき

静謐のひととき 静かな睡り、ときとして凍るような夢 幼年期の薄墨色の景色から、渦 … 続きを読む

Work: Super-string: Pieces of D-brane 1-3

 

未刊行詩集『空中の書』19: 人類の鉱脈

人類の鉱脈   ――薄倖の叔母・大迫静子に 最初に出会ったのは優しい眼をした狂女 … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』20: 人類の鉱脈

人類の鉱脈 烟草のあるところにライターがあると決めてかかって、書物の蔭の烟草の箱 … 続きを読む

Work: Super-string: Pieces of D-brane 4-6

 

未刊行詩集『空中の書』21: 砌の下に  ――澁澤龍彦氏に

砌の下に   ――澁澤龍彦氏に 石仏の首が 際限なく転ってゆく 賽の目も数えずと … 続きを読む

〈美術衝動: 文〉(光が折り畳まれ)

(光が折り畳まれ) 作品とスポットライトの間に ときどき空間が抉られたような わ … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』22:

滴 時計の針を 神話の錘りとする いまや聖霊たちの夜宴 星は 都市の遺構にまで … 続きを読む

Work: Super-string: small work a, b

 

未刊行詩集『空中の書』23: 人形たち

人形たち 人形が数体 稽古用のバス・ドラムの腹に 沙の涸いた喉笛に 詩人の義眼の … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』24: 岸辺

夢が波のように偏在している 光はより大きな光のために 捩じ曲げられ 永遠の渦を巻 … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』25: 誘惑

あの雪花石膏(アラベスター) の上にこのグラスを置くのです、そして見つめていると … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』26: 鏡子

    少女が草笛を指のあいだで鳴らしていると、向こうにみえるひかりものから信号 … 続きを読む

未刊行詩集『空中の書』27: 水の眠り

水の眠り なでしこの散るホタル 器と器の重なり 骨のつながり かすれた色の花びら … 続きを読む

見夢録: 2014年07月01日-08日

2014/07/06 23:54: 【かけら】 ついでに、日本時間の日付が変わる … 続きを読む

見夢録: 2014年07月16日-27日

日録■2014/07/16-07/27 ■2014/07/16 2014/07/ … 続きを読む

見夢録: 2014年08月02日-26日

日録■2014/08/02-08/26 ■2014/08/02 2014/08/ … 続きを読む

雑体:020140918 : 最近の「おりおりのかけら」から

最近の「おりおりのかけら」から ○炎る夏かさねて夜もあかさたな ○齢ほど妖しくな … 続きを読む

見夢録: 2014年09月01日-29日

日録■2014/09/01-29 ■2014/09/01 2014/09/01 … 続きを読む

Work: Super-string, Mass of dimension 1-10, Oil on canvas

見夢録: 2014年10月1日-21日

日録■2014/10/1-21 ■2014/10/1 8:20 【かけら】 in … 続きを読む

見夢録: 2014年11月01日-27日

日録■2014/11/01-27 ■2014/11/01 23:39 【かけら】 … 続きを読む

(こわれゆくもののかたちシリーズ) さなぎ

 ちょうちょうが。ほら、  いもうとのかんだかい声が。いねむりしていたわたしをゆ … 続きを読む

(こわれゆくもののかたちシリーズ) 銀色の蝶

 はだかのはだがみょうな違和感につつまれているような。はげしいじんましんにおそわ … 続きを読む

見夢録: 2014年12月01日-30日

2014/12/23 23:13 【かけら】 今日は廃棄マシンを点検、HDDの処 … 続きを読む

雑体:020150408 : 最近の「おりおりのかけら」から

○自己抑圧したり、魂を抜かれると、般若集団や能面集団になりしか ○権力者たちの民 … 続きを読む

骨量をはかると

骨量をはかると 最初の航海が試される 父と母の骨片を わずかに器に移し 秘密の場 … 続きを読む

見夢録: 2015年01月01日-26日

■2015/01/09 02:16 【かけら】 引越しをゆっくり楽しもうか。 三 … 続きを読む

見夢録: 2015年02月24日-25日

日録■2015/2/24-25 ■2015/2/24 05:36 【かけら】 い … 続きを読む

見夢録: 2015年03月02日-25日

■2015/03/28 15:01 【かけら】 昨日はBukit Bintang … 続きを読む

(こわれゆくもののかたちシリーズ)しもばしら

 やけどのあとがへこんだといっても。ちかくでみると、ひどく醜悪で陰惨な。蛋白質の … 続きを読む

Work: Kuala Lumpur II-1, acrylic and ballpoint pen

 

Work: Kuala Lumpur II-2, acrylic and ballpoint pen

 

見夢録: 2015年04月08日-30日

■2015/04/25 14:41 青いマンゴー。 話には聞いていたが、甘酸っぱ … 続きを読む

見夢録: 2015年05月02日-31日

■2015/05/29 10:07 【かけら】 ペナンから戻って、最初の作品。 … 続きを読む

見夢録: 2015年06月01日-29日

■2015/06/29 10:39 【かけら】 さてと。いよいよ明日帰国する。 … 続きを読む

見夢録: 2015年07月02日-11月26日

日録■2015年07月02日-11月26日 ■2015年07月02日 17:09 … 続きを読む

見夢録: 2015年12月01日-31日

2015年12月31日 18:25 【かけら】 acryl_2015_12_B5 … 続きを読む

アジアのディズニーランド化

 その場所は貧困層の集まるところではない。大きな道路の交叉するあたりである。   … 続きを読む

雑体:020150502-0629: 最近の「おりおりのかけら」から

○これを剥くとなんとみづみづしい果実なのだらう ○毛むくぢやらの外皮のなかに眠つ … 続きを読む

擬宇宙論:5510: 層状宇宙

層状宇宙 宇宙面を球体の表面になぞらえたとき、この球面が重層しているとすれば、こ … 続きを読む

寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その1)」

【skr??l】(その1) 金石 稔 桃の実が枝になっている(走っている)遠景 … 続きを読む

Work: Phnom Penh-1, acrylic and ballpoint pen

悪魔にささやかれたあの道

ネットワークに囚われているかに見えても 頭の中に原稿用紙とペンがある 囚われない … 続きを読む

Work: Phnom Penh-2, acrylic and ballpoint pen

ある男の日記 (時間洗濯屋)

どの人種の子供たちを殺戮するかで会議が揉めているのだ。何をしようというのか。鼻歌 … 続きを読む

Work: Acrylic works, polishing by sandpaper, 001

舞台があれば

じゅう疎うのうみ め能登うからはせいれいの滑降 みなみじゅうじのいれ澄み芬わりお … 続きを読む

Work: Acrylic works, polishing by sandpaper, 003

Work: Acrylic works, polishing by sandpaper, 004

寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その2)」

【skr??l】(その2) 金石 稔 アルメルメリ 左右のひでり抜けて 仮名づか … 続きを読む

Work: Acrylic works, polishing by sandpaper, 005

寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その3)」

【skr??l】(その3) 金石 稔 昨日(平成26年3月1日) 純白の風に包ま … 続きを読む

擬宇宙論:5520: 重力のリバウンド

空は高エネルギーのゆらぎであるから、ここで量子論的確率でそのエネルギーの収束とし … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子 「石の囁き」

石の囁き 佐藤裕子 緑灰に斑が入った卵を呑むと目礼がひとつ走り野の始まり  日向 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子 「傍ら」

傍ら 佐藤裕子 誕生日右側に視野を分け与え眠る一人に一人が譲る羽根枕  影と光の … 続きを読む

Work: Acrylic works, polishing by sandpaper, 007

寄稿: 佐藤裕子 「風信」

風信 佐藤裕子 スポイト状の杖は衰えた巻き舌馴れぬ喧騒が心拍を上回る  蝋燭のシ … 続きを読む

見夢録: 2016年02月02日-29日

2016年02月28日 14:42 【かけら】 しかし、脳の中にそれがあるという … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子 「紅筆」

紅筆 佐藤裕子 遠雷を避けても虫籠が顫える雄を食う雌を子が食うも言伝  静止した … 続きを読む

Work: Acrylic works, polishing by sandpaper, 006

Work: Acrylic works, polishing by sandpaper, 002

寄稿: 佐藤裕子 「鳥は知らなくとも」

鳥は知らなくとも 佐藤裕子 高熱で拐かされ行方が知れぬ手足は順路を食み出し迷い子 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子 「七月の便り」

七月の便り 佐藤裕子 イタドリの根元で風の切れ味を試すカメレオンの舌は蒼い  悪 … 続きを読む

雑体:020160202-29: 最近の「おりおりのかけら」から

○群体として 生物学的あるひは人間的機能を形成できるのかもしれない ○意識とは「 … 続きを読む

寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その4)」

【skr??l】(その4) 金石 稔 夢の上を走る馬にゆだねた五体満願の 首すじ … 続きを読む

まだらなはなもよう

わたし(わたしのさいぼうたち)は、これら薄い膜、境界のすべてに封じ込められ これ … 続きを読む

寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その5)」

【skr??l】(その5) 金石 稔 ただに 夢の遊びがことばになり 謎は奥の戸 … 続きを読む

寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その6)」

【skr??l】(その6) 金石 稔 ここでは水さえ尖っている 一部分(やはり透 … 続きを読む

寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その7)」

【skr??l】(その7) 金石 稔 陽の鳩尾に深く 暗くなるひかりの指をかけ … 続きを読む

見夢録: 2016年03月01日-31日

■2016年03月29日 20:00 【かけら】 三浦海岸のマクドナルド2Fの素 … 続きを読む

寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その8)」

【skr??l】(その8) 金石 稔 姿見に 素肩を見せ ことさらに《鏡》の海を … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「帰還 I」

帰還 I 佐藤裕子 正装に選ぶ冠は黄ばむ花から紙屑に変わり老いて太陽が躄る 浮腫 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「帰還 II」

帰還 II 佐藤裕子 肉腫であろうと火脹れであろうと張り詰め受容ごと未生の時 星 … 続きを読む

雑体:020160416 : 「擬宇宙論」から(1)

○「見方」自体が物質を作つてゐるのではないか。「見方」が測定者の位置(位相)での … 続きを読む

Work: et cetera I, ballpoint pen & pencil

寄稿: 佐藤裕子「帰還 III」

帰還 III 佐藤裕子 撫子一輪を添え朝霧が取り出す楽器は目覚めを遅らせる曲線 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「帰還 IV」

帰還 IV 佐藤裕子 松林が一方向へ靡く海底から掬った漂砂に噛まれる船を曳く 手 … 続きを読む

寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その9)」

【skr??l】(その9) 金石 稔 もたれて はじまる 雨だれ 青 海 光跡 … 続きを読む

寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その10)」

【skr??l】(その10) 金石 稔 森あがれば 左手から抜けていく 69のこ … 続きを読む

寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その11)」

【skr??l】(その11) 金石 稔 ふだらくにおちてみんかの あるまじろあり … 続きを読む

寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その12)」

【skr??l】(その12) 金石 稔 それから眼球までの海域 白い風のような薔 … 続きを読む

寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その13)」

【skr??l】(その13) 金石 稔 気配はあるがその てのものは なく 色の … 続きを読む

見夢録: 2016年04月06日-30日

■2016年4月30日 15:25 【かけら】 acryl_2016_04_01 … 続きを読む

寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その14)」

【skr??l】(その14) 金石 稔 某日某時刻 室内は水で満たされ そこに〈 … 続きを読む

寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その15)」

【skr??l】(その15) 金石 稔   暗黒の空に架かる月の下に世界は幻惑の … 続きを読む

風が

風が わたしの細胞の間を 風が吹く 細胞の分子構造の間を 風が吹きわたる 分子の … 続きを読む

見夢録: 2016年05月05日-31日

■ 2016年5月27日 04:06 【かけら】 このことは、意識とクオリアとの … 続きを読む

参院選と都知事選後の雑感

つまりこの先、電力消費者の原発反対が昂じるのを見越して、強烈な不買闘争が展開され … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「バッドランドから」

バッドランドから 佐藤裕子 単調な声音は綴りに換え流れ出す頬骨の辺りで心許ない靄 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「砂の上の休日」

砂の上の休日 佐藤裕子 油断は容赦しない囀り憧憬が裏返ると焦燥だけが目に付く   … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「女狐」

女狐 佐藤裕子 襟元の斑が物憂いドレスは湿原で染めた裏絹夏毛を遊ばせ  獲物を分 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「十日特急112便」

十日特急112便 佐藤裕子 都市間バスの路面には発車時から並走する花がある白白と … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「廃園」

廃園 佐藤裕子 摩擦で剥がれ冷熱で砕けた月の箔が降り掛かり見る静けさ  ラジオは … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「籠の中」

籠の中 佐藤裕子 鋼造りの扉を指紋だらけにした指腹の躊躇いで口唇に怪我  明るむ … 続きを読む

未刊行詩集『コスモロジー・デッサン』(2007年4月)

⇒詩集『コスモロジー・デッサン』(紙田彰 2007年4月、全141頁、PDF 5 … 続きを読む

Work: Super-string: Universe sheet 1, 2

Universe Sheet 1, 2: 宇宙面1, 2, 2007.5, oi … 続きを読む

見夢録: 2016年07月01日-31日

■2016年07月26日 15:14 【かけら】 電通、NHK、東京電力の蜘蛛の … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「遠い処」

遠い処 佐藤裕子 北極点の上空から月の軌跡を避けながら糸を掛ける大蜘蛛  故郷を … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「金婚式」

金婚式 佐藤裕子 潮騒から分かれたコーラスが天鵞絨を敷く緩い勾配を上り  庭先で … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「迂回の渦」

迂回の渦 佐藤裕子 群れ成す木霊を引き連れて像は目覚める鍵盤を削る金属音  不滅 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「日誌」

日誌 佐藤裕子 既視は何処から聖像から頭陀袋の口を締め邪気のない笑み  近付く距 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「天気雨」

天気雨 佐藤裕子 劇薬を盛り刀身をなぞるなぞった滑らかな飴色の指に触れ  平衡に … 続きを読む

見夢録: 2016年08月01日-31日

2016年08月26日 10:21 【かけら】 Super-string 10- … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「空白」

空白 佐藤裕子 無人の通りの一日を午後三時で終いにする疲れ切った太陽  後ろは前 … 続きを読む

見夢録: 2016年09月01日-30日

■2016年09月25日 07:05 【かけら】 (“12&#824 … 続きを読む

見夢録: 2016年10月01日-12月31日

■2016年11月30日 11:27 【かけら】 オリンピックを返上するという伝 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「月蝕の姫」

月蝕の姫 佐藤裕子 疫病に関する舞踏劇に於いて非常口消灯閉鎖全ての波遮断  烈日 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「小猫」

小猫 佐藤裕子 土砂降りに震えていたのは皿の上の溶き焼き卵プチトマト  公園の休 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「また」

また 佐藤裕子 あの場所からどのくらいここへ来るまでこんなに掛かった  蟻を払う … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「桜」

桜 佐藤裕子 赤茶けた泥濘を突き生えて来る椅子には叔母が掛けていた  駄目その本 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「ものごころ」

ものごころ 佐藤裕子 動揺を露にすることや感情を口に出すことは見苦しいもの  微 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「宝石箱」

宝石箱 佐藤裕子 喉も嗄れた迦陵頻伽貝殻細工の比翼鳥彫金のマーガレット  帯留に … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「いつかここに」

いつかここに 佐藤裕子 訝しそうな顔付きで辺りを見回す自問に応じる寂しい笑い   … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「絵図阿蘭陀船」

絵図阿蘭陀船 佐藤裕子 画であれば欺く女達は呪縛であれ笑みの種類は幸福であれ   … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「クーラーボックス」

クーラーボックス 佐藤裕子 家の前でサイレンが止まる水溜りを踏んだ泥だらけの長靴 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「ムーンライトピクニック」

ムーンライトピクニック 佐藤裕子 無人駅へ行ってはいけない発電所の空地には犬捕り … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「平行空間」

平行空間 佐藤裕子 定住しないように傷付けないように細かい鑢を掛けた深爪  平日 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「アンテナ」

アンテナ 佐藤裕子 背信ではなく前進迷いは裏切り命取り絶望に手を貸す怠惰  訳知 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「十六夜」

十六夜 佐藤裕子 見納めになる岬の塔も鏡の水場も初めて眺めたものばかり  他人の … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「ゆくりなく」

ゆくりなく 佐藤裕子 古い行李で棘を刺す四季の半襟帯締め端切れで拵えた巾着  鎖 … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「ティールームで」

ティールームで 佐藤裕子 根の息は繊細で聡い否定すれば罰を受ける身に付けた心得 … 続きを読む

不眠の森――「dance obscura(仮)」へ

 癌細胞「なるほど。しかし、それはおまえの自己陶酔だ。おまえは物質としての世界と … 続きを読む

寄稿: 佐藤裕子「トロイメライジギタリスプラシーボ」

トロイメライジギタリスプラシーボ 佐藤裕子 冬眠する娘たちが鼻歌を奏でながら不調 … 続きを読む

棘の海――「dance obscura(仮)」へ

 それは治療の古い歴史に沿うことでもなく、治癒という概念に囚われることでもない。 … 続きを読む

草稿●遠いところ

 たしかに生命は自己複製、自己増殖が可能な有機的生物を対象にしたもののように見え … 続きを読む

草稿●夢のつづき

 原意識、基底意識という肉体意識、身体、人格、精神という統合体意識の二重構造は統 … 続きを読む

草稿●チューブリン

 この収束が、次元の皮膜に無数の泡をつくり、この泡のかたまりの形態が通路の性質に … 続きを読む

草稿●相反する類似

 重力は、エネルギーの総体をつくるものであるから、これらの段階のそれぞれに関与し … 続きを読む

草稿●没入

 ドーパミン系とセロトニン系の機能調節が不順なのだろうか。順調にいっていれば、統 … 続きを読む

草稿●hallucination

 病棟にいたときに、あたしは、未来とも過去とも、あるいは別の次元、別のあたしの人 … 続きを読む

草稿●multiverse

 彼は奴隷にはならない、家畜のように使役されたり、食肉に供されることもない。国民 … 続きを読む

妻・紙田眞弓を恋うて
  2017年の眠りつづける人に

闘病の話はやめよう 最後の苦しさと悲しさはかぎりがないから ぼくには 君との47 … 続きを読む

mediastinal
   ――散文詩による小説「dance obscura」から

 最初の電話は、早朝だった。明らかにパニック状態の若い女の声だ。何の電話だ、危険 … 続きを読む

添い寝する妻

 私は先日、「私と妻の長い闘病の暮らしが思い出されることにいたたまれなかったのだ … 続きを読む

覚醒

夢。 その夜、病室のカーテンに幼児の姿をした天使が数体浮かび上がっていた。 翌日 … 続きを読む

連詩 迷い未知 一

距離のことだ。 距離を取り込むという。 圧縮。という人生観。 物理的な世界史には … 続きを読む

連詩 迷い未知 二

 ニ

重なった記憶はあまりに乾涸びて、欲望に溢されるかどうか。

ああ。夢の中でさえ、俗事に囚われてしまった。覚醒した状態で見ているはずなのに。

こんな明確なのは初めてだ。

あ、この話を鏡子と電話アプリでトークをしていると、光の玉が左目の端に顔を出した。

あのころから、わたしは心からテロリストになることを夢見ていた。

こんな当たり障りのない告白

もっとも小さなものこそ世界の入り口だとささやくと、瞳を光のかたまりにして、きみはぼくの眼の中に宿り始めた。そうだったね。

現実にないものが小さないくつかの光になって、目のまわりを三十分くらい回っていた。

シャボン玉のような泡が眼の端からこぼれて、金色の球体となって浮かぶ。

すごい! その数とその不規則性が凄
いのだ。

そうなんだね。お母さん、お父さんの側にいるよってことだね。 続きを読む

連詩 迷い未知 三

おはよう!
お母さんが亡くなってしばらくして、わたしの誕生日にわたしも同じもの見たよ。おかあさんだね。

朝から、現実にありえない物質の意志と光が生きているんだ。
私は、そのようなあの世があると思う、しかない。

覚醒した状態で見ているからね。
こんな、明確なのは初め 続きを読む

連載【第001回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: Invisible 1

 Invisible 1  私は私の属しているものを知ることはできない。また、私 … 続きを読む

連載【第002回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: Invisible 2

Invisible 2
 来たるべきものはたしかに「部分」のうちにあるのだろうし、あなたはその来たるべきものに違いない。しかし、来たるべきものは来ることはないし、いつも私の外側にあるものだ。
 また、それは無垢というものと関係があるのだろうか。私が無垢でなければあなたが無垢であろうし、あなたが無垢でなければ私が無垢であるということなのか。そもそも無垢であるということは許されざるものなのか。そして、そのことが侵襲される理由であるのか。それはこちらとあちら、私とあなたがひとつになることを拒むもの。
続きを読む

連載【第003回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: Invisible 3

Invisible 3
 このことは次のような問いかけでも同じである。「私にはあなたが見えるのか?」「あなたには私が見えるのか?」私はあらゆる場合においてあなたを見ることはできないし、あなたは私を見ることはできない。
 では、私はあなたに問いかけることは可能なのだろうか。また、私はあなたに問いかけずに私としてありつづけることが可能なのだろうか。もっとはっきり述べるなら、私が私に問いかけるということはありえないし、それは不能な事象なのだから、あなたに問いかけることが不可能なら私は絶対の沈黙を余儀なくされる、私のあらゆる問いかけが存在しなくなる。


(見えざるもの)
続きを読む

連載【第004回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: microtubule 1

 microtubule 1  あなたは私に属しているのか? 私がそのような疑問 … 続きを読む

連載【第005回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: microtubule 2

 microtubule 2  Aは「私自身にとっては、肉体の欠落感というものは … 続きを読む

連載【第006回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: pain speed

 pain speed  私にとって最も遠いところから、その痛みは伝わってきたの … 続きを読む

連載【第007回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: breath melts 1

 breath melts 1 ――わたしが囚われているのではないことを、あなた … 続きを読む

連載【第008回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: breath melts 2

 breath melts 2  私は私の軟らかい部位に温かな吐息を感ずることで … 続きを読む

連載【第009回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: darkness 1

 darkness 1
 それは、ある青みを帯びた灰色の夕刻。その灰色の濃霧の向こうに薄黄色の光芒が垣間見えるが、こちらの側は絶望の濃紺の帳に蔽われているだけだ。さらに時間はくつがえり、かすかな光も忘れ去られていくに違いない。
 私の底部の秘められた闇、稲光がたえず閃くように、抑えきれない衝動的な葛藤がつらぬく暗黒(ダークネス)。そのような憤りの生成が何によるのかを知るものが、いったいどこにいるというのだろう。
続きを読む

連載【第010回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: darkness 2

 darkness 2
 知りえぬということの罪障、根深い疑い、想起するにいたらぬための焦燥。つまり、古いもの、気の遠くなるような底部に、そもそもから用意されているはずの空虚というイメージに起因しているもの。だが、たしかに私自身がその意味するところの真実とその正体を知ることは不可能なのだ。
続きを読む

連載【第011回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: internal trees 1

 internal trees 1
 灰色の夕暮れの第二景。ふるえる心臓。このとき、つきぬけるような戦慄を、私はたしかに感じていた。
 だが、それは実現不能な範疇にある行為なのである。自らを放棄することで生起する衝動、自らを拒否することによってのみ可能な敵意、自らを犠牲的につらぬくつらなり全体の無化への企み、それはあまりにも無意味な行為の突出であるからだ。それゆえ、すでに行為ではなく、切り離された行為の断片なのである。
続きを読む

連載【第012回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: internal trees 2

 internal trees 2
 世界は外についても、内についても、何も知ることはできない。世界は時間と空間の幾何学だから、時間の階層にしても同じことである。過去の時間も未来の時間についてもほんとうのことは知ることはできないし、現在についても知っていることなどなにもないのかもしれない。生きているというのに、存在しているというのに、何も知ることのできないこの不条理。物理的宇宙は知性において、私を抑圧するものなのだ。 続きを読む

連載【第013回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: internal trees 3

 internal trees 3
 私は救われることはない。彼もまた救われることはありえない。だが、何から救われるというのか、何が救うというのか。 続きを読む

連載【第014回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: flat living 1

 flat living 1
 地表すれすれで棲息しているのは私ばかりではない。蛇のように低い吐息を這わせているおまえたち、闇の匂いを蓄積させた路地の、地べたの種族――。
続きを読む

連載【第015回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: flat living 2

 flat living 2
 おまえたちは私を呪縛する。しかし、私はその呪縛が私に属しているのか、私を属しているものに関係しているのかを知る術がない。懐かしい匂い、体の奥が引きずられるようないとおしさ、脂にまみれた感触、体をくるむ体毛の記憶、何も考えることのない安逸さ、身をゆだねることの持続――。
続きを読む

連載【第016回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: flat living 3

 flat living 3
 支配するものを受け入れることは許されない。屈服することは許されない。私はそのことを忘れているわけではない。権力は何にもまして狡猾なのだ。私を招き入れて抱き寄せる。そして骨抜きにして暗い夜に放り出す。重い鎖を首に巻きつけ、足枷さえも括りつけて。さらには、血のつながりをつくることであまたの奴隷を生み出すのだ。
続きを読む

連載【第017回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: blood wedding 1

 blood wedding 1
 地面を引きずって徘徊するその意識は、決して地面に引きずられてはいないのだと叫ぶ。だが、天井からは継母の祝福されざる黒い血が滴り、屋根裏部屋の床一面には重力の破産を示す熔解した天体の落下の痕跡が見られる。痕跡は鉱物の形をとるのか、植物の姿となるのか、あるいは生々しい肉そのもの……。すでにこの世を後にした意識は、物質と物質との関係は、意識と物質、意識と意識の関係でもあるのだと言い残していた。その意識が向かったのは、向こうから押し寄せてくるものがとうてい看過することのできない反撥と激突とでもいうべき鋭い亀裂。
続きを読む

連載【第018回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: blood wedding 2

 blood wedding 2
――まさに〈私〉が息を終えようとしているその刹那に、〈私〉を唆して飛び立たせようとするものがいるのだ。〈私〉は羽撃くものではないし、翼、鰭、跳躍に適う強い脚をもつものでもない。天使のように無残な光輪も、醜く硬直した幼児的な微笑も持たない。ただ、たしかに深い憎悪と鋭い敵意を抱きながら囚われつづけている、まさにその接触面にいるのである。〈私〉を解放しようするものが現れたとしても、〈私〉はその欺瞞と悪意を見破り、何ものに対しても完全な侮蔑と敵意を失うことはないだろう。〈私〉はあなたに対してさえも、またこうした自分自身の重複せざるをえない意識の連鎖に対してさえも、〈私〉を囚えているものに対する反抗と同質の〈反抗への意志〉を欠かすことはないだろう。
続きを読む

連載【第019回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: all gravity 1

 all gravity 1
 皮膜などはたしてあるのか。BはB´に対して方向性を持っていると仮定すべきだ。なぜならBとB´には互いに異なった磁力が存在しているからだ。BとB´の引力と斥力の混沌は極大に達しているかもしれない。そうだとすると、それは何に起因しているのか。
続きを読む

連載【第020回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: all gravity 2

 all gravity 2
 皮膜は確かにあるのだ。BにおいてB´は隔てられたものだ。重力と磁力が溶融しているような状態ではすべてが見えなくなってしまうように、皮膜のあちらとこちらの磁場がそれぞれに高温にさらされているのかもしれない。その安定しない状態にあることで、あらゆる事象との結合が容易になっているのだ――あるいは散乱現象。Bにとっては皮膜が熱によって混濁すればするほど、内部に押し込められることからいっそう離れた場所にいることになるのだから。
続きを読む

連載【第021回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: missing acts 1

 missing acts
 必要なのは破裂することばなのだ。地核での眠りから地表に上り、地面を伝って中足骨からいくつもの関節を跳び越え、脊椎から頚椎、頭骨へ、さらに骨格にまとわりつくあまたの血管を辿り、太い大動脈を引き裂いて、脳漿を膨れ上がらせ、ついにすべてを粉々にして、破裂すること。寝静まって、だれにも見つけられない真夜中のいたるところで、一瞬の、激しいひきつりが発現する。それらを起点にしていくつもの痙攣が波動となって打ち続き、その長い長い苦痛こそがことばのprimary tumor。粉砕された輝く無数の細胞の切片を巻き込み、熱く滾る血液、脳みそ、肉片の飛び散る渦、気化する状態のタイフーン。なによりも切実な痛みの群体! 続きを読む

連載【第022回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: missing acts 2

 missing acts 2
 その部分は遊離しているのではなく、無知であるために包括的に独立しているのかもしれない。それは知的な認識という回路を必要とせずに、たんに気づかないでいるというだけ。気づかないふりをしているということとは違うのだが。あるいは純然として気づかないということ。だから、君が誰で、そのときどこにいたのかと問うたところで、その質問ははぐらかされ、ただ吸引されて、反問されることはない。無視されているのではなく、空っぽの向こうに吸収されつづけていくのである。
続きを読む

連載【第023回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: narrative of revenant 1

 narrative of revenant 1
 その形象が訪れたのはそのときだった。音もなく開く扉。爛々と光る眼球の気配。薄汚れた長い布を肩からすっぽりまとった何ものかが暗い空間に漂っている。
続きを読む

連載【第024回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: narrative of revenant 2

 narrative of revenant 2
 どれほどの長い時間が経過していたのだろう。ほんとうはわずか寸秒のことだったのかもしれない。浮游する顔は初めから色彩を失っていたが、首だけになると、褪色した薄い皮膚はみるみる涸び、ついにはかさかさになって剥落していくのである。鼻梁や耳朶もその形を崩し、軟骨がこぼれ落ちる砂のようにさらさら音をたてて空中に四散していく。ただひとつその姿をとどめているのは、剥き出しになった裸の眼球である。網目状の毛細血管に絡みつかれ、燠火や鬼火を思わせる血の塊となって膨んでは萎む眼球が、闇の中で妖しく炯っていた。
続きを読む

連載【第025回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: narrative of revenant 3

●narrative of revenant 3
――おれは頭蓋骨だけで生き永らえているのだ。おれの輪廻転生はこの頭蓋骨に凝結し、おれの呪いも、おれの残虐無比も、ここにきわまっているのだ。
続きを読む

連載【第026回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: fluctuating fabric 1

 fluctuating fabric 1
 それは、空虚という実体を内包したものなのかしら? 意識が物質過程に関与するということは、そのような見方が必要なのではないか、そしてそれはすでにそれ自体がエネルギーでなければならないとも考えられるわ。
続きを読む

連載【第027回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: fluctuating fabric 2

 fluctuating fabric 2
 嬰児というのが妥当かどうかはわからないけれど、声の主が操っていた塊は形の定まらない筆記具とでもいったもので、始まりは回転体であるけれど、振り子のように円錐状に振り続けると、中心部からさまざまの色光が長い線分となって発するというものだった。そして、その糸状の光つまり網の目は時間と空間と重力のそれぞれの発生点らしく、それらの交点からさらにけばだったゼンマイのようなヒモ空間をゆらゆらとのばしていくように見えた。
続きを読む

連載【第028回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: grillo 1

 grillo 1
 嬰児はすでに幼児となって、ひとつの形を表しているのかもしれない。そのグリロという名の器具は光の線分をまとめて冠状波紋を撥ね上げ、その尖端を結びつける糊のように粘着的な接合を不規則に続けていく。それらの接合箇所はとげとげしい光を帯び、ギザギザの閃輝暗点のカーブをつくり、幼児をその奥に囲い込んでいる。光はグリロの筆先になっているのだ。幼児は井戸の中の意識の鏡体とでもいいえよう。閃輝暗点を生み出した脳内中枢の血管の瞬間的な収縮が、血流を一時的に変化させる。そのときに意識の鏡体となり、絶対反射の球面となるのだ。
続きを読む

連載【第029回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: grillo 2

 grillo 2
 ここでは意識は物質であるのか、そうでないのかを考えているのだが、物質であることと物質でないことにどのような境界をもたせられるのだろう。境界がないか、あまりに詳細化されて境界というには困難な状態であるならば、それは物質とはいえない力学、つまり量子的な光子間におけるある種の重力場といえるのかもしれない。境界自体が空間状態であるとか、境界自体が重力状態であるというような問題である。
続きを読む

連載【第030回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: light cage

 light cage
 それにしても、クオリアは身体の全体的な認識領域なのだろうか。それも、単一の。それこそ、質の異なった、サイズの違った、別の領域を複数個持つと考えられないだろうか。そして、それぞれの世界の関係は矛盾に充ちたものであると。
続きを読む

連載【第031回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: fascism without the summit

 fascism without the summit
 つまり、システムレベルではこの内部にある限り自己なのである。所有を知らない単純集団は細胞の組織構成と同一の結合関係を持つといえる。所有は共有であって、私有の概念はない。いや、所有の概念がないともいいうる。集団的。あるいは階層的。または幻想的統合システム。
続きを読む

連載【第032回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: bourbon cask

 bourbon cask
――わたしは何について考えたらいいのかしら。何かを愛しているという錯覚、それとも憎しみについての物語?  つまり、肉体の猥雑さをいとおしむべきなのか、身体機構のヒエラルキーに反抗すべきなのかしら。それとも、わたしはわたしから見ることのできないからだの外側の世界、からだがいくつも重なっている世界を愛しているのかしら、許せないでいるのかしら。無限に重なりつづける宇宙のからだ、わたしの性器が受け入れられないもの。
続きを読む

連載【第033回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: spinning sea 1

 spinning sea 1
 わたしがその兆候に気づいたのは、東南アジアの古い都市の旅から帰り着いてすぐのことだった。眠りから目覚めると、後頭部に何かしらの違和感を感じたのだ。簡単な打撲だと思ったのだけれど、嫌な気がしたのも確かだった。内部に向かった棘、触るとぐにゃりとしていて。
続きを読む

連載【第034回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: spinning sea 2

 spinning sea 2
――うわーっ、なんだ、痛いじゃないのぉ。だれか助けて! 嘘ね、医者はうそつき、目が回るくらい痛いのよ。萎んだ体が力なく緩んで、頼りなく覚醒を訴えてつづけているのに。
続きを読む

連載【第035回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: sleepless forest 1

 sleepless forest 1 その森に迷い込んだときに、ある種の体系に毒された執拗な夢が送られてきた。それは、攻撃といってもいいかもしれない。その夢は、たしかに脳髄と神経システムの根幹を支配するDNA生命体がつくりだしたものである。 続きを読む

連載【第036回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: sleepless forest 2

 sleepless forest 2
 取りつかれた細胞の戦闘は、無尽蔵の死体を作っていくのではなく、相手の細胞膜から攻撃物質を侵入させ、核にある標的物質を変化させて、それを基点に相手を解体し、さらに細胞膜の外に漏出させ、血流やリンパ管の中に昇華させるのである。 続きを読む

連載【第037回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: sleepless forest 3

 sleepless forest 3
 癌細胞「そもそも自分が質的に異なる生物なのか、あるいは分類学的に別種なのか、それともたんに異物なのか、侵入者なのか、どの立場から評価されて修復の対象になっているのだろうか」
続きを読む

連載【第038回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: sleepless forest 4

 sleepless forest 4
 サディ現象「サイズの大きくなったマクロ的世界では空間認識、時間認識の巨大な組み合わせを抽象化することで、風変わりな作品行為として実在するのだろうか。しかし、素材それぞれの場所からはその大きさの世界の把握は不可能で、作品といわれるものの存在も無意味であり、実在してはいない。実在は経済だからだ」
続きを読む

連載【第039回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: life genes 1

 life genes 1
神の秘密、Der Alte würfelt nicht(神は賽を振らない)
それとも、彼らは一擲乾坤、乾坤一擲に賭けたのだろうか。
私をこの深い闇に閉じ込める。あてどなくさまようヒッグスの暗闇に。だれが?
続きを読む

連載【第040回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: life genes 2

 life genes 2
 癌細胞はさらに続ける。

――自分は負のベクトルとされているが、それはあくまで生体の側からの見方なのではないか。〈がんという生体〉の側からは、生命活動というDNAシステムの構築性を否定し、宿主を無に帰するばかりか、自らをもって死の淵へダイビングする〈反生命活動〉という〈正方向性〉を有している。それならば。
続きを読む

連載【第041回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: life genes 3

 life genes 3
 昂揚し、陶酔しきった癌細胞。それにしても、いっさいの生命が装置として存在するとは……。身体という機構の内部にあるものを見よ。たしかに、肉体の細胞はその独自性と身体システム機構とに軋轢がある。細胞の個々の意識も身体システムと対峙している。しかし、ある塊となり部位を形成したとき、身体システムに圧倒的に支配されるに違いないのだ。だが、本当にそれだけか。 続きを読む

連載【第042回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: struggles 1

 struggles 1
 魂というものがあるとはどうしても思えないのだが、その形態ということなら思い描くにやぶさかではない。なぜなら、それは受胎空間のように見えるからだ。
続きを読む

連載【第043回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: struggles 2

 struggles 2
 しかし、なぜ、彼らはこの惑星を超えることができないのだろう。あるいは超える能力に欠けているのだろうか。それが生物というものの限界構造なのかもしれない。外宇宙に飛び出せば、超高温と超低温のケルビンの熱温度の世界にさらされるだろうし、平坦かつ永遠に存在する時間と空間の、普遍的であることによって何もないというような場所に生物が棲息なぞできるはずがないからだ。 続きを読む

連載【第044回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: struggles 3

 struggles 3  しかし、細胞の内部にあるDNAは私に何も語りかけては … 続きを読む

連載【第045回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: far away

 far away 1
 たしかに生命は自己複製、自己増殖が可能な有機的生物を対象にしたもののように見える。そして、有機的な生物は脳神経系統を基軸に、化学反応による電磁気の信号によって情報交換がなされている。また、細胞間、遺伝子間で未知の通信がなされているかもしれない。それらの情報は、生理、感情、感覚、知覚などに分類され、脳内レベルで意識として統合されているのだろうか。 続きを読む

連載【第046回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: far away 2

 far away 2
――問題は意識であるのかもしれない。
 私は、肉体と身体に対して、意識が自立的な存在かどうかに疑問を抱いている。なぜなら、意識も肉体がなければ存在できないからだ。意識も脳神経機構がなければ現れることは不可能だ。だとすれば、結局は肉体と身体に属しているものなのではないか。 続きを読む

連載【第047回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: continuation of dreams 1

 continuation of dreams 1
 もうひとつの夢から逃れようというのか、だれのしわざか、肩先から吐息がふっとこぼれ落ちてくる。直観が破片のように舞い降りて、あるいは霜柱のように湧いてくる。
続きを読む

連載【第048回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: continuation of dreams 2

 continuation of dreams 2
 無間の底なしの暗闇からその濃淡の樹脈は重なり続けているとはいえ、それと比較するかのように、意識の表層などという明晰かつ捏造された精神の歴史など、本当にあるのだろうか。 続きを読む

連載【第049回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: continuation of dreams 3

continuation of dreams 3
 はたして意識は、その生成の原因とは別に、生命体にしか存在しないのだろうか。あるいは、意識を生命体と区別することは可能なのか?  続きを読む

連載【第050回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: continuation of dreams 4

 continuation of dreams 4
 基底意識は表層に対して基底層を構成していると考えるとすると、深層意識とか深層というものはただ暗部につきまとう幻想性なのかもしれない。 続きを読む

連載【第051回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: tubulin 1

 tubulin 1
 素粒子が磁気嵐の中で散乱していく。存在はスライスされていく。反粒子と反存在が散乱しながら充満する。エントロピーとはこれら双方向性についてのそれぞれの見方ともいえる。見方自体が宇宙の内容物を満たしているのだ。
続きを読む

連載【第052回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: tubulin 2

 tubulin 2
――ある思考実験。
 チューブリン(微小管細胞)の次元イメージ。(次元f(x))、回路の切断面。
 マイクロチューブルの次元イメージf(x)をそれぞれの回路の切断面とする。チューブルは管であるから、穴という内部の範囲がある。
 ニューロンのチューブリンから次元同士の接地面イメージ。
続きを読む

連載【第053回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: conflicting similarities

 conflicting similarities

――層状宇宙。
 宇宙面を球体の表面になぞらえたとき、この球面が重層しているとすれば、重なるような形で膜状宇宙が複数、波のようにゆらめいて存在しているというイメージが浮かぶ。物質の発生が、真空のゆらぎから物質・反物質の量子過程を経るとするなら、この高エネルギー状態の真空がその前提にあると考えることは無理なことではない。
続きを読む

連載【第054回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare I: 〈reminiscence〉

 nightmare I

 〈reminiscence〉
 私はいつの間にここに佇んでいるのだろう。それにしても、この場所とはどこか?  特定できない場所、特定できない状態。私はひとつの仕事を終えて、一挙に老衰に襲われているのだろうか。
続きを読む

連載【第055回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare I: 〈inflexibility〉

 nightmare I

 〈inflexibility〉
 ここはすでに現実と思われるところではない。。しかし、それは非現実ということでもない。視点の定まらないところに、あるべきではない空白が広がっているのかもしれない。 続きを読む

連載【第056回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare I: 〈advertising〉

 nightmare I

 〈advertising〉
 空に突き出たスカイスクレイパーをつなぐ槍型モノレール、大気圏外までカプセル席のまま昇降するエレベーター。色とりどりの透明フードを反射させながら、人々は各階のテラスに張り出された乗降口から高層ビルの中に吸い込まれる。 続きを読む

連載【第057回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare I: 〈skeleton〉

 nightmare I

 〈skeleton〉
 富裕な階層、特権的な人種、マジョリティの中の数少ない上位者、悪を悪とも恐れぬセレブリティ。発現する万物を吸い取る暗い眼窩、その奥で光る瞳の数だけの欲望。出現するものすべてに価値と等級を与える者たち。汝らの人生とは経済だけだ。その魔手が川底を浚いつづけて。
続きを読む

連載【第058回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare I: 〈immersion〉

 nightmare I

〈immersion〉
 ドーパミン系とセロトニン系の機能調節が不順なのだろうか。順調にいっていれば、統合能力が低下するはずはない。だが、私の世界観はますます傾斜していく。薬物からの離脱など、許されるはずもない。私はますます依存を深めるのだろう。私ははとどまる者。狭い部屋でうずくまり、動くことを自らに禁じた精神。分裂することを禁じた人格。私は環境に捕縛されている、人間の皮に押し込められている。細胞膜に閉じ込められている。人間というもの、その外側の世界という妄想を構築してしまった、静止した精神なのだ。
続きを読む

連載【第059回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare II: 〈arabian night〉1

 nightmare II

 〈arabian night〉1
 あたしは長い睡眠障害から薬物への傾斜を深めていく。いつのころからか、体がだるく感じはじめ、次第に関節のいくつかが軋み、そのうちに頭の内側と外が乖離していく感覚が訪れていた。体の表面からは鬱状態が蒸気のように発散し、頭の内部では分断された夢に従って脳組織の部分部分に妄想状態の塊がどろりと湧き出していた。いつもベッドに忍び寄る恋人からは、ブルーな女だと言われていたような気がする。
続きを読む

連載【第060回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare II: 〈arabian night〉2

 nightmare II

 〈arabian night〉2
 その日は昼前から朦朧としたまま、半日が過ぎた。migraine auraのギラギラした太陽は視野から薄れ、片頭痛と脳血管のバイブレーションが続く。気がつくと、巣穴から弾き出され、都心部の雑踏へと吸い込まれていた。
続きを読む

連載【第061回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare II: 〈stigma〉

nightmare II

 〈stigma〉
 私は、不定形なビル群の個々の壁面ディスプレイに表示される巨大な顔たちが、ただひとりの、無彩色の暗黒の布を巻きつけた女を監視しているのに気づいていた。しかし、単つ眼の海鼠のような女は、痛めつけられた腔腸類が、黒い皮の内部でシェークされて分解されるように、ぐにゃぐにゃと形を変え、さらに外皮さえ溶け出して、ついには細胞それぞれに存在する核が無数の眼となって、巨大広告の幻影たちの全体と細部を監視する。 続きを読む

連載【第062回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare II: 〈hallucination〉

 nightmare II

 〈hallucination〉
 病棟にいたときに、あたしは、未来とも過去とも、あるいは別の次元、別のあたしの人生を見ていたことがある。
続きを読む

連載【第063回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare II: 〈dismantle〉

nightmare II

 〈dismantle〉
「あたしが病院送りになった原因を作ったあの兄弟は右翼に違いないから、あたしが国家を愛していないばかりか、国家を害していると決めつけていたのよ」 続きを読む

連載【第064回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare II: 〈negative symptom〉1

連載【第064回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare II: 〈negative symptom〉1

 nightmare II

 〈negative symptom〉1
 何日も何日も寝てばかりいる。私はまるで植物だ。ここからはどこにも出られない。頬がこけ、青白い顔にどんよりした眼球が落ち込んでしまって。それでも、ただ動かないでいるのが、穏やかな暮らしなのかもしれない。多少の感情の起伏は生ずる。バイタルサインは平板化していき、思考の力が衰退しても気にならないほどには。
  続きを読む

連載【第065回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare II: 〈negative symptom〉2

 nightmare II

 〈negative symptom〉2
 暴力と悪徳にまみれた略奪者と閨閥と豪族がシードとなり、原始宗教というペテンと祭事と搾取が支配の礎となる。富や貴賤や貨幣が生まれたときから詐欺師が横行し、法や国がでっちあげられる。国家とは幸福な家だとされるが、それはでたらめだ。国家はあらゆるものを奪うためにあるのだ。
続きを読む

連載【第066回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare II: 〈negative symptom〉3

 nightmare II

 〈negative symptom〉3
 幼児化とエセ芸術はグローバルな経済現象だ。金を増やすことにしか頭の回らない連中は、脳味噌の使い途を忘れてしまったのだ。だから、単純な刺激とあまりに単純な欲望に取り込まれる。同時代に生きているほとんどの人類のことが見えずに、忘却を決め込んでいる。模造品や玩具、美術館や銀行ごっこ、オリンピックやSMごっこ。
続きを読む

連載【第067回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare III: 〈magnetic material〉1

 nightmare III

 magnetic material〉1
 空中を高速度の地下鉄が走っている。高層ビルをつないで銀色に光る電車が建物内のプラットホームで停まると、乗客はあわただしく吐き出される。監視カメラのアングルがかすかに変わり、レンズが光った。私は顔の角度を変える。
続きを読む

連載【第068回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare III: 〈magnetic material〉2

 nightmare III
 〈magnetic material〉2
 あやうい吹き溜まりのような商圏を抜けて周りを見ると、その辺りは丘の中腹で、古い小型店舗や建物が密集し、さらに進むと昔ながらの下町を抜けて、塀のある高級住宅街が現れる。そこに至るまでに、細い路地や方向の定まらない曲がり角を何遍も通ってきていた。次第に、私は電柱やブロック塀に貼り付けてある住所表示が、よくわからなくなっている。
続きを読む

連載【第069回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare III: 〈toenail claw〉

 nightmare III

 〈toenail claw〉
 おまえを逮捕する。よけいなことを考えているから、おれたちが出張る羽目になったのだ。公安とは別に、非公然の秘密組織があるなどとは知らないだろう。おれたちは秘密保護法と共謀罪法によって、国家保安本部4局に属する、国家の敵を対象にした防諜、摘発組織なのだ。
続きを読む

連載【第070回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare III: 〈multiverse〉

 nightmare III

 〈multiverse〉
 世界が個人的に分割されていくとはどういうことなのか。現実、宇宙、あるいは次元とは、〈見ること〉が経験することであるなら、その事象を〈見ること〉自体が判断したり、選択することで多宇宙が生み出されていく。粒子が自己という鏡を見ることで反粒子として分割させるように、多宇宙をすべからく経験していくのだ。そして、複数宇宙(マルチバース)から見ると、分割宇宙は同時に並列して存在し、粒子そのものから見たときには()宇宙は分割されずに単一宇宙である。つまり、単一宇宙の経験を終えることで、別の()の宇宙に切り替わり、次々に別の世界体験を経ていくのである。見る主体は全宇宙の存在の全可能性を知るのだ。
続きを読む

連載【第071回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare III: 〈ant’s nest〉

nightmare III

 〈ant’s nest〉
 蟻の巣の屋敷から、私は目隠しと猿轡をされて、どこかの病院に連れて来られた。箱詰めにされて、黒塗りの霊柩車のような車に乗せられ、そこは古い運河べりの公立の総合病院であるようだった。病院自体は新しく建て替えられた近代的な建物だが、空気全体が古く厳めしく、どんよりと濁っていた。 続きを読む

連載【第072回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare III: 〈transformation〉

nightmare III

 〈transformation〉
 たしかに微熱を帯びていて、心理状態がすこぶる悪化している。そしてその状態が全身の関節から神経を伝って、ネットワークを作っていくのだろう。神経システムに攻撃を受けているのだ。そのことに、もはや抗えないことが腹立たしいのかもしれない。呼吸を繰り返せば腫れた扁桃腺が引き攣るように重く反応するし、何よりも末端の神経が軋むと瞬時に伝播する疼痛が思考を裁断するのである。 続きを読む

連載【第073回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare III: 〈peninsula〉

 nightmare III

 〈peninsula〉
 そのときの私は、敗戦直後の関東軍にいて、通化事件に遭遇していた。この虐殺事件は、関東軍、国民党軍、中国共産党軍、朝鮮人民義勇軍の引き起こした謀略戦であった。それぞれが裏工作でつながり、武器を持たない日本の哀れな居留民や無力な兵卒たちを欺き、利用して、四つの勢力の利益分配を画策したものである。 続きを読む

連載【第074回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare III: 〈chrysanthèmes〉

 nightmare III

 〈chrysanthèmes〉
 それはDNA生命系の夢、その破片。光る砂のようにさらさらと舞い落ちて、その侵襲がやむことはない。永遠に生きられないのだから、生きているものを貪り尽くそうとする。か弱いのだ。そのか弱い意識は、細胞と魂を飽食し、魔物のような国家を通じてファシズムの夢を見ているのだ。孤立した一匹だけが支配する世界のために。その生命系は配下に、どんなに膨大な数の自己複製の個体があっても、ただ収斂され続ける一個の生命体でしかない。 続きを読む

連載【第075回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare III: 〈ritual〉

 nightmare III

 〈ritual〉
 そのような土地で菊の花の祭りが始まっている。fascisme de chrysanthèmes dans fleur pleine(満開の菊のファシズム)が押し寄せる。満開の花。黄色い花びら。山や丘の彼方から海が押し寄せるように、大量の菊の花びらがやって来る。花の祭り、死の祭り。大地震の後の大津波。すべてを根こそぎにして菊の花びらが呑み込んでしまう。
続きを読む

連載【第076回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare IV: 〈sea crime〉

 nightmare IV

〈sea crime〉
――わたしは助かることのできないところに来てしまった。いろいろな新薬を使ってみたけれど、どれも効果は出なかった。辛うじて通院しながら治療は続けているけれど、医師たちの表情は冷めていった。匙を投げるように、医師はわたしを次の病院に送り込んだ。 続きを読む

連載【第077回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare IV: 〈fusillade〉

nightmare IV

〈fusillade〉
 肺の縦隔腫瘍の増大に対して、呼吸器科では放射線科の医師たちに、照射治療を委託した。あなたは白い胸にマジックインキで何箇所も目印を書き込まれていた。美しい乳房が無惨にも汚されていく。 続きを読む

連載【第078回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: nightmare IV: 〈mediastinal〉

 nightmare IV

〈mediastinal〉
 最初の電話は、早朝だった。明らかにパニック状態の若い女の声だ。何の電話だ、危険な状態なのか。当直医と話してください、とにかく来てください。危篤の召集なのか、はっきりしろ! 女の声は、ドクターに聞いてくださいで終始する。病院はリスク回避のために即答を避けているのだ。ドクターが電話に出ることもなかった。
続きを読む

連載【第079回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: dance obscura 0:

 dance obscura 0

 私たちは「肉の広場」ともいえるdance obscuraに集まっていた。私たちはそれぞれ。それぞれの部位であり、細胞、意識。独立したそれぞれ。孤立したそれぞれ。
続きを読む

連載【第080回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: dance obscura 1: 〈dance〉1

 dance obscura 1

 〈dance〉1
 あれは母さんだ、わたしのお母さん。子供たちはざわめく。子供たちは、淡い光の波に漂うごとく、泳ぐように、光に溶け込んでいるあなたの薄い色のからだを懐かしむ。 続きを読む

連載【第081回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: dance obscura 1: 〈dance〉2

dance obscura 1

 〈dance〉2
 私たちは考える。あらゆるものがただ一点に重なっている。空間も時間も、さらにはすべての次元も、あるかないかを問わずに、ただ一点に重なっている。 続きを読む

連載【第082回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: dance obscura 2: 〈cogitation〉

 dance obscura 2

〈cogitation〉
 思いとは忘れ去られていくのだろうか。それとも深く根を張ってまた花を咲かせるのだろうか。私は、そのいずれも正しいし、両者とも誤っていると感じている。なぜなら、それは形を保っているからだ。 続きを読む

連載【第083回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: dance obscura 3: 〈revelation〉1

 dance obscura 3

 〈revelation〉1
 私たちは、それぞれペアになっている若い男女の傍らに佇む。彼らは私たちの父と母となるはずの生命の樹木。そこにそれとしてある、ただそれだけだ。粒子と反粒子とは力の均衡、力の衝突の現場なのだ。
続きを読む

連載【第084回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: dance obscura 3: 〈revelation〉2

dance obscura 3

 〈revelation〉2
 密林が切り拓かれ、叢も刈りそろえられた土地の中央は、平坦な広場となっていた。その中に、校舎か工場のような建物が並び、白い光の下で灰色の区画を保っていた。誰かが静かに声をあげた。
続きを読む

連載【第085回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: dance obscura 4: 〈astral body〉

 dance obscura 4

 〈astral body〉
 素敵ね、あなたの歌声は。隣のベッドで死期の間近な同病者に優しく声をかける。自分はすでに喉を痛めて掠れた声なので、そう書いた手紙を渡してくれと。私は翌日に死期を迎えるあなたの優しい最後のメッセージを、隣人に手渡すことになったが、よもや、あなたが翌日に命が絶えるなどとは思いもしなかった。
続きを読む

連載【第086回】最終回: 散文詩による小説: Dance Obscura: dance obscura 5: 〈expression〉

 dance obscura 5

 〈expression〉
 私は幼い少年になって、若い母親と父親のかたわらで、子供の姿になった他の乗客たちと同じに、昔のとても懐かしい気持ちに浸っていた。私の目の前に現れた新しい両親は、やさしく清々しい心と体で私を導いてくれる。 続きを読む