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【詩篇】紙田彰



繰れる


繰れる
繰れづけて
命を繰れて ひきかえに花
横恋慕や
的外れの罵言を

繰れる
生命線の膨張系数
たゆたふ蟻酸の毒素を

深夜の階調と
暗転する航路
繰れてから
魂繰ぐり
白笹の沼を翔ける

繰れながら
鮮血が放尿

繰れる
忘れ菜の血縁や
破爪する 酒精 アルコオル

デモ隊の昂ぷる蠕動
梅雨に散るアジビラや
死線の浮游や

生命原線を脂ぎるア・ラ・カルト
敗北通知書の蒼ざめた朝

繰れて――

繰れる
醒めた記憶庫のさざめき
宇宙を悪意される
鸚鵡の一瞬

繰れる
繰れながら
タブローの系列がおちる
畸型の時間が消えかけて

白光した呪縛に
未来史の断片が
繰れて……

革命闘争が逃走している
黄体ホルモンを過激に繰れる

非在が――
非在が繰れて……

(1972.5.31 PM5:00)
(初出 詩誌『立待』第8号/昭和48年9月刊/発行者・佐藤泰志 1973 )


(c) Akira Kamita

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