繋ぐる
繋ぐる
反照の緑葉からこぼれる紙凧
繋ぐれて 夜をこぼれる
繋ぐれのままふりかえり
透明な卵がころげて……
繋ぐれよ 夏に
葉洩れる扁執をさぐり
繋ぐれる沈丁花を開いて
そこに 閃光する意識
玉藻えの炎のひと垂れ
繋ぐる
さみだれの朝を垂らせよ
繋ぐれてひしゃがれる
絶望の意志をからめて……
苛酷な発声に映えよ向日葵
繋ぐれよ
からまわりの虹から繋げ
白昼のビロードから割れて
午下れて繋ぐれる
真夜中の黒十字から石つぶて
バリケードが卒塔婆されて
空財布される
繋ぐる
乖れる肉体のアカシア未生
夏へ収まれて死が孕む
繋ぐれる早朝の懈怠から
繋ぐるざまに後遺されて――
繋ぐる 紙吹雪く死片
自動小銃からばらまかれたアンニュイ
繋ぐれる
肛門
に抱われて
愛のテーゼに括られて――
非在が 繋ぐれ……
(1972.6.12 PM11:00)
(初出 詩誌『立待』第8号/昭和48年9月刊/発行者・佐藤泰志 1973 )