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詩集「空中の書」

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人類の鉱脈

烟草のあるところにライターがあると決めてかかって、書物の蔭の烟草の箱に手を伸ばすとライターの影も形もない つまりこういうことだ たしかに烟草と一緒にライターを置いたのだが、それは新聞の蔭であってこちらではない 烟草は二つあったのである なにやら嫌な気がして頭を軽く左右に振っていると、耳の奥で澄明な鈴の音がした 耳朶はやわらかくて気持のいいものだが、あの洞窟はいくぶん気色が悪い ひとりで侵入してみたが、誰もいないので閉口した たしか帆柱をあげて素晴しい勢いで航海したのだが、いまや寸秒 そうこうするうち燦然とした都市に着いていた このときは鈴の音が高楼のてっぺんに突き出た尖塔に発していると知っている