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詩集「空中の書」

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誘惑


 (1)
そもそもベルの鳴り方からして妙だった。低い微かな音でありながら、目覚時計のように鋭く細い連続音なのである。
大きな油虫が素晴しい速度で、濃緑の絨緞の対角線上を疾ってゆく。六畳の居室は机の上のライトを点けたきりなので薄暗く、エナメルのような硬い光を燦かせた虫が闇の中に残像を見せたまま吸われてゆくと、もう見つけることはできない。
背筋に冷えた空気が貼りつくような気味悪さを覚えながら、幾度かの呼び出し音の後、受話器を取り上げてみた。
優雅なアルトが、夜更の電話の非礼を丁重に詫びながら、ある集まりに招待する旨即刻来場を乞うと告げた。
奇妙な性癖を持つ友人の名が二、三挙げられていたようだが、ぼんやりと油虫の消えた辺りに眼を凝らしながら不吉な予感に捉われていた。心配することはない、決して怪しい集まりではないと、電話の主が言っているかのような錯覚も覚えたが、不吉な想いは癒えなかった。というより、なおも昂進したのである。
女の声が魂を揺する性質のものであったことも一因なのだが、なによりも電話という器械を介したはずの声が器械の匂いをいささかも感じさせぬばかりか、頭脳を痳痺させてしまうような、地の底かなにやらの別世界から唐突に躍り込んできたかのような気配を漲らせていたからである。
その蠱惑的な声に酔いながら、集まりの場所が伝えられるまで、女の喋るにまかせていた。饒舌というよりも、軟質の声音で滑るようにゆっくりと語られていた。最後に目的地の住居表示が告げられる頃には、すっかりその女の声の魔力に犯されていた。行先の場所が所蔵の地図に載っていないのはすぐわかったが、なになんとか行けるだろうと考え、その招きに丁重に礼を返し、応ずることを附け加えると、体を羽毛で愛撫されるかのような妙に艶かしい笑い声を耳に残したまま電話は切れた。驚いたことに、最後の一言を除くと、電話の廻路を独占していたのは女の声ばかりであった。
魂に得体の知れないものが注がれたように、長い余韻が闇の中に滞っていた。

 (2)
地図にない場所というのは、区劃整理上のミスティフィケイションとか住居表示変更の際のケイオスなどといったものではない。また所蔵の地図が不備だというわけでもない。もちろん実在する場所が明記されていないというのは地図としての最大の欠陥だが、それはこの地図に限ったことではない。というより、完全無欠を標榜するなら、そのような地図は世界中のどこを捜してみてもあるはずがないのだ。だが、地図が実在している土地を明示することを放棄しているとき、それは地図を空想した贋物でしかない。現にこれから行こうとしている場所は、誰もが知っている場所なのに、いかに精密で権威のある地図にも載っていないのだ。
    一般に女性、というよりも少女たちは暦に関して独特の畏敬の念を持っている。それも初心な少女ほど暦の下で困惑する。それから幾年か経た後には、多情な女ほど暦と親しくなる。だが、自らの失策で痛い目にあいはじめると暦を憎むようになる。バーのマダム連が客とのデートの刻限に遅れるというのは、そのような憎しみの現われなのかも知れない。もっとも、女は自らの失敗を棚に上げて強くなってゆく。

疾りつづけると街燈がますます揺れはじめた。その街燈に貼ってある緑色の住居表示標を調べるだけで時が奪われる。息切れ、眩暈。だが、それよりも、闇の中を電信柱相手にうろついていることに、ある不審と不気味さを感じていた。騙されているのではないかという、品性の下劣さを窺わしめるような言葉もつい出てしまう。けれども、あの電話の声――そのときにはもう魂の誘惑となづけていた――を想い返すと、そのような想いがいかにもみすぼらしく思え、改めて胸を張り、ついでにネクタイを糺してみるのだった。
指定の場所に到着したのは約束の刻限を大幅に超過してからである。実は我慢できずにタクシーを拾ったのだが……。
その住所をいうと運転手は、それじゃああの辺ですな、といったきり一言も口を利かずに走りつづけた。ルームミラーを介してその男の顔を見ようとしたが、驚いたことに、そこに映っているのは深い闇と後ろに走り過ぎる街の燈ばかりであった。車は迷路のような露地を何遍も曲ったあげく、面倒臭そうにタイヤの音を軋ませて停った。
この辺ですよきっと、と運転手は語尾を濁してこちらを振り返った。そのとき帽子の下に見えたものは、それをいうのが憚られるような類のものであった。さりとて猥褻でもなんでもありはしない、ただそんなことをいいだす者の精神状態が疑われる性質のものにすぎない。世の中に魑魅魍魎の類など数限りないし、それほど気にかからなかったのだが、一瞬怯む隙を衝いて、車はバックし、料金も取らずに走り去ってしまったのである。
だが、この袋小路がその場所であるのに間違いはなかった。なぜなら、電燈の壊れたこの電信柱にはあの緑色のプレートがついていないからだ。

 (3)
闇を拒もうとするのか、あるいはそれ自体が闇そのものであるとでもいうのか、何の装飾もない冷たいコンクリートの壁に漆黒の鉄扉が貼りついていた。
建物がはたして大きなものであるのか、それともごくつまらない小さな家屋であるのか、それさえわからぬくらい、建物の輪郭は夜の色に溶けている。扉にはありうべきはずのノッカーも把手も見当らず、さりながら自働式のものでもないようであった。振り向いてみると、いまのいままで、夜の都会の喧噪がもたらす妖しい光や蒼々とした月の光を浴び、ビロードの照り返しのように並んでいた屋根屋根も、また露地の曲り角も、夜闇にすっかり溶け込んで、そこには何もなかったのである。不吉な想いの正鵠さがここに証明されたのだろうか。
ところで、そのような得体の知れない不安のうちに囚われて、何故目前の扉だけが確かなもののような印象を受けたのかというならば、それは闇の中で宙吊り状態でありながら、両の足で踏みしめている大地だけはしっかりと体を支え、そしてなによりも鉄扉そのものの色合いがいかにも深々とした暗黒の色であったからだ。
しようことなくそのきわめて暗い方向に向けて、電話の場所はここでしょうか、と頼りなげな声にして囁いてみた。すると、前に倒れたものか、それとも後ろに引かれたものか、何処かに吸い込まれでもしたのか、あれほど夜そのものであった扉が消えてしまったのである。
替りに現われたのは、なくなった扉の形に闇に浮かんだ仄白い空洞だった。惹き寄せられるようにその仄白い入口に入ろうとすると、すぐ右側に黒ずくめの蝙蝠めいた男が立っているのに気がついた。その男の背が高かったせいもあるが、ちょうど右足から入りかけていたため気配に気づいて右側を振り仰いだときは、ひどくあわててしまった。そのうえ男の顔がただの黒い影にしか見えぬに至ってはなおさらだった。何もいわれたわけではないが、そのとき、後ろの闇に戻れと意思表示されてでもいるような圧迫感すら覚えた。男の表情はいささかも判然としなかったのだが、見えない眸からはそのような威圧する力が発せられていたようだ。
電話で女の方に招かれたのですが、それははたしてお宅のことでしょうか、見当違いだったならば酔払いの譫言か狂人の寝言としか思われぬような唐突な訊ね方をして後悔していた。電信柱に対する確信の一件からすると、自分でも辻褄の合わぬ後悔のしようであるとも考えた。蝙蝠男は、ではお待ちを、と、世の中にこれほどの低音があろうかと思われるほどのほとんど聞き取れぬ声音を残すと、奥の、さらに仄白い光の暈の中に消えていった。
ほどもなく、蝙蝠男は一向にその姿を現わすことなく光の影になって舞い戻り、くるりと廻転して、背の高い痩せた後姿についてくるようにとの慇懃な仕種を見せた。廊下は全体がそれ自身で発光しているような印象を与えたが、蝙蝠男に邪魔されている向こうからの光がどの面にも均等に当たり、一様の反射の仕方をしているのだろう、多角形の宝石にみられる反射光のありようである。
    永遠の/果てしない野に/夢みる/睡蓮よ/現在に/めざめるな/宝石の限りない/眠りのように(西脇順三郎「宝石の眠り」)
歩くにつれて蝙蝠男の影の輪郭から洩れる光の強度が増していった。背の高い男の暗黒が光源に向かうにしたがい罅割れはじめ、次第に透き通るように思われた。あまりに脆い光と影との境界がゆらゆらくずおれると、たったいままで先導していたはずの男の背中が消え失せていて、替りに眩い光自体が輪郭を結びだし、ガラスの裸体をもつ女が、いつのまにかこちらを見つめている。乳房が光とともに揺れているのがわかった。

 (4)   ――土方巽の弟子にして暗黒舞踏第一のダンサー・芦川羊子に
軽い会釈をよこした女の青い瞳がかすかに笑っているのに気づいたころには、透明な裸体だと思われたのが嘘のように、絹のイヴニングドレスに身を包んだ女が美しい腕を差し伸べていた。あなたが電話の方でしょうか、あの優雅なアルトをなまめかしい女の姿態に重ねながら訊ねたが、期待とは異なって、女は澄んだソプラノで答えた。いいえ違います、けれどお招きしたのは私です、電話をしたのは妹でしょう、妹がその仕事をいたしておりますから。女はこともなげにそういうと、ホールへと(いざな) った。仕事――、その仕事とは何のことでしょうか。いささか間の悪い問い方をしたものの、女は細い鼻を少し上向きにして、あら何をいいだされるのでしょう、そんなわかりきったこと、そういってさっさとホールに入っていったのである。
ホールの中は白みがかったような淡い光で満たされていた。喧騒というほどではないが、多くの紳士淑女が上品な身装をして行き交っている。なにやら外国の賭博場にでも来たような雰囲気であった。
そもそも中二階なのか、あるいは天井から吊り下げられているのか、中空に舞台があって、そこで一人の女が踊っていた。踊りは佳境を迎えているようだった。
細い糸のようなスポットライトの光が煙の罩もる空気の襞を射通して、ステージの一点を鮮やかに照らしていた。バロック風の、繊細な、それでいて畳みかけるような旋律が静かに流れている。フットライトが徐々に光度を増していった。褐色のセロファンが貼りつけてあるのだろうか、退嬰的な淡い光の束が幾度となく舞台を舐め廻している。
気の遠くなるような幻惑の装置の中で、ダンサーの体は流れていた。流れているとしかいいようのない微細な曲線を歩いているのである。エキセントリックな、弦楽器の病的な喘ぎが聞こえ始めると、ダンサーは片足の爪先の一点に体重を注ぎ小刻みにふるえだした。獰猛な嵐に逆らって、蒼穹(たかぞら) を翔け抜けるような肉の振動。緋色の、縫目のない薄い衣裳のふるえが、なによりもその筋肉の闘いを伝えている。
ダンサーの体が栗鼠のように小さくなっていった。どこまで縮んでいくのだろうか。ついに舞台の上の一点の赤い滴となって、そして……。そして次の瞬間、白い貌だけがきわだって印象的に、深い苦悩の皺を泛べて巨大化した。ダンサーの痩せた白い貌につややかな凝脂が漲っている。
沁み入るような音楽が、そのとき破綻をきたした。女の体を包んでいた真紅のドレスが勢いよく四方に拡がり、炎のように燃え上がった。静止していたかに見えた体が独楽のように、三角形に広げられた赤い布の下端を支点にしてくるくる廻転を始めたのである。凄じい速度でティンパニーが叩かれた。聴覚に対する殴打。女は宙に躍った。四肢をいっぱいに広げる。白い肌が眼を射る。宙にありながら激しくターンした。
女の、眉のない、異様にのっぺりとした表情の中に、舞台の、ショーの、すべてが吸い取られ、強烈なライトの洪水の中で、布を介して透き通る白い体が、みるみる光沢を生じていくのだった。
関節と関節がどのような方法で折り畳まれるのでしょう、いや、まるで骨という骨が関節という接点に吸い込まれているようでしたな。人間は脆いものです、魂も脆いが肉体はもっと脆い、その脆さがあの見事なターンを可能にしたのです。私、ひとときも目を離せなかったわ、あそこではすべてが一致していたのですもの、どんな細部も看過すことはできなかった、精神と肉体が、そうですとも、思想と技術とが同じ高みにあったのですわ、それはまさしく、ただ一瞬の跳躍――。
さまざまな囁きの中に知り合いの声も混っていたようだったが、人々の顔はなぜか見定めがたかった。それでも、あちこちのテーブルの上に投げ出されたままのカードの、スーツと絵札の肖像は鮮明に見てとれたのである。

 (5)
    もちろん偶然適中することはある。それはあくまでも偶然であってそれ以外の何物でもない――。(綿谷雪『術』)
卵の内部を模して造られたホールの中央にルーレットの台があった。その周りに集まる人は数少ないのだが、それでも彼らはひどく熱中している様子だった。楕円形のテーブルそのものは白い大理石でできていたのだが、賭台の三十六までの数字が記された部分にはそれぞれ異なった色の薄い水晶の板が嵌め込まれていた。また、ルーレットの文字盤の仕切りの中も水晶かダイアモンドでできているようだった。テーブルの周縁部には雪花石膏(アラベスター) でも貼りめぐらしているのか、そこだけ粉を吹いたように見え、ゲームに参加している人たちが真赤な液体の入ったリキュールグラスを置いている。
先ほどの女主人がいつのまに持ってきたのか、きらきら光る空のリキュールグラスを差し出し、耳許で鈴のような声を鳴らして、あのルーレットは一風変っているのです、賭ける場所は三十六までの数字のうちのただ一つだけで、それ以外は認められません、まったく胴元のためにだけあるようなルーレットですのよ、まあ、見ていてごらんなさい、そういうと愛らしい唇を結んで、いたずらな仕種で空のグラスに接吻した。
いわれるままにルーレットを見つめていると、廻転盤がひとりでに廻りはじめ、同時に人々の溜息がホールに谺した。廻転する数字のあたりから、虹のような幾種類もの色彩を持つ光が筋になって宙宇に迸ったのである。光は空中の一点で焦点を結ぶようにも思われたが、紫、金色、赤、緑、薄い青色……とめまぐるしく旋回し、絡み合い、錯綜し、とりとめもない乱舞になっていった。そして賭台の水晶板の数字からも色のついた光の帯が四方八方へと放たれ、もの凄い速度で動き始めると、ホール全体があらゆる色の光の粒子によって翻弄され、洪水に遭遇したかのようである。
もちろんホールの中の紳士淑女のすべてが椅子から立ち上がり、この見事な光景を見つめていた。けれども、心を奪われている様子はありありとしていても、一様に、どこかもの寂しげな雰囲気が漂っていた。
ほどなく光の渦の廻転が緩やかになり、動きの中心に一種類の色が現われ、それが橙、藍色、ピンク、黄色という具合に順次変ってゆき、銀色の光のところで動きを停めると、それきり光の変化は見られなかった。賭台の中からも、同じように銀色の光だけが天井に向かってまっすぐ伸びていた。ルーレット盤から発せられた方の光は傾きをもっていたため、賭台から伸びている光と交錯していたのだが、中空のそのあたりが血の色を帯びているように感じたのは錯覚だったのかも知れない。
テーブルの周りにいた人々の中には賭けに勝った者は誰もいなかったらしく、皆、すごすごとその場から離れ、賭台の上には空になったリキュールグラスだけが残されていた。
素晴しいルーレットですね、そういいながら少しく腑に落ちぬところがあったので、ハンドラーはいないのですか、そういえば賭金もチップも見当たりませんね、皆さん、あれほどうちしおれているというのに……、沈んだ様子の女の深い憂いがこもった瞳を見つめて呟いてみた。
ハンドラーは必要ないのです、そしてこのルーレットにはお金など賭けないのです、賭けているものにお気づきになりませんこと、そういうと女はグラスを目の高さに掲げた。このお酒、そうです、このお酒を賭けているのです、空のグラスが酒で満たされているかのように附け加えた。
そうか、そういうわけか、それで負けるとグラスが空になるのか、そう考えると無性に嬉しくなった。それでそのお酒はよほど強いのでしょうか、私はアルコールには自信があるのですが、ひとつ銘柄をお聞きしたいものですね、招待客に酒を振舞う趣向なのかと納得したのである。
そうではないのです、あなたは思い違いをなすってらっしゃる、……あのグラスに入っていた真赤な液体は夢なのです、皆さん、ご自分の夢を賭けてらっしゃるのですわ。
なんですって、夢ですと――なるほど夢を賭けるとはうまい比喩ですね、たしかにそれは男のロマンというものだ、面白い、では私も遊ばせてもらいましょうか。
よろしいのですか、負けると夢が減っていくのですよ、女は気にかかることをいったが、好奇心には勝てなかった。
どうすればこの空のグラスに夢を注いでいただけるのでしょう、先ほどからの疑問を口に出してみた。
あの雪花石膏(アラベスター) の上にこのグラスを置くのです、そして見つめていると、じきにグラスの中に夢の液体が注がれるのですわ。
まるで手品だな、あの台の下に酒樽でもあるのだろうと考え、グラスを受け取ると、いわれたとおりにしてみることにした。しかしその前に、数字がどのような出方をするか研究しなければならない。見えざるハンドラーとの闘いである。
プロフェッショナルがどこからか操作しているのだろうと考え、賭ける者が一番多く集まったときを見はからい、光の廻転が始まった瞬間、赤い酒の入ったグラスを00と書かれた水晶板の上に載せた。ルーレットはゼロの他に米国式にダブルオーが附加されており、賭ける場所は三十八通りあるのだ。
激しくも狂おしい光の饗宴が収まる間、負けてもあの酒を呑むだけだが、万が一勝った場合にはどうなるのだろうかと考えていた。ようやく光の廻転が弱まり、原色のけばけばしい光がゆっくりと入れ替り、ついにルーレット上の光の帯がすべて失われてしまった。
光の沈黙。そしてその後に、いくら待っても何の色も現われはしない。
廻転盤を見ると、ダブルオーの上に暗黒の玉が乗っている。見事に適中したのだ。
女主人が驚きに目を輝かせて、鈴の音のような声をいっそう高鳴らせた。ああ……、と叫んだかと思うと、その声は異様に艶かしいアルトに変じた。ゼロは透明、ダブルオーは無、三十六通りの光の色の総合なのよ、そしてそれは試煉、あなたの取り分は試煉なのよ、いつのまに入れ替ったのか、目の前にはその女がいた。
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