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詩集「魔の満月」 恋の衍義 |
眷族の恋不吉な光の綾の中に青銅のロンボスがくるくる廻っている 誰に調律されたのであろうか 一対の自働人形が ラビの庭で恋を語らっている 灌水農業(ポリフノエ・ゼムレジェリエ) の大いなる成果で 甘美な液体を充した覇王樹の 妖異なる花は 日時計の運行に逼迫するであろうか 王家の数奇な物語を綴った野外劇は 数十億年の生涯を遂げた沙塵とともに 星空の彼方に溶け入り 若い主人公たちは 永遠の彫(ちょうぜん) に化している (初出 詩誌『地獄第七界に君臨する大王は地上に顕現し人体宇宙の中枢に大洪水を齎すであろうか』創刊号 略称フネ/昭和50年刊/発行人・紙田彰/初出誌では「欣席 あるいは眷族の恋」坂西眞弓作としてある 1975)
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