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詩集 「strand における魔の……」

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徴候(きざし)

青いGomorrha 青いSodom  青い夜
伝説の卵の中の 黄色い虫
こびりつく鍋と宇宙
炙られどおしの数週間

七つ星の数珠つなぎ
七つの文字盤の毛が
七つの括弧を撫でる
夜の深い呪術に
紙製の白い眼がふりそそぐ

うす黒ずんだ肉襞
このかすかな街の地図
ふたまたみまたよつまたの
あおあおあおとわかれゆく
入口出口入口の
この海洋をたたえる壜の中には
うすっぺらなハトロン紙の
生命の起源の封印

液体の街に
文体は閉じられていく
綿密な区画整理の中を
妄想的な足どりで
ひょいと振り返ると
影が影の中へ流れ込む

睡る樹木の
燃える林檎のように吊られた首は
発送人不明
光と彼方の力の
人類と毒虫の間に埋められた食物図鑑は
届きうべくもなく
宛先人死亡

種族を告げる滴よ
その滴の中にもぐりこむ
もぐりこんでは言あげる
たらたらたらと繰り返される
インク壷の燔祭に
部族の夜は
とば口をぬけでて朝となる

麻痺する街
軽快に燃える熱気球
そして鎌首
暁を翔る古代鳥類
ああ この痙攣する胃!

海洋からほとばしる 語の断面図
形象の解体 薬物の跡形もないbluesよ
濃紺の満月が
娘らの肌に滲み込ませる音楽
言葉のイメージのない
ぬかるみの熟睡
まどろむ事件夢もない

脱色された造花
ちぢみあがった舌のミイラ
軽妙な語句のひらひら
この淫らな思考の野を
行方不明の
郵便配達夫が彷徨っている



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