ぶらり宿六ひとり旅 the impression, Scotland



げんこの形をした山塊がどしんどしんと地にばらまかれ、その上に雪がかぶさっている。
そしてその底がglenだ。スコッチの頭にくるやつだ。
両側から、前から、後ろから、天から、降りそそがんばかりの急峻な山稜が迫り、もう、道の先や後ろがどこにあるか分からない。
二度とこの谷底からは出られないのだ。
日は遮られ、突然暗くなり、冷たい風がさらに冷たさを増した。
岩の塊があちこちに転がり、瓦礫が転がり、赤い土がはだけ、だが土はまるで溶けているように、存在感がない。
ヒースの株がいたるところに根を下ろし、強い風に姿勢を傾かせ、あとは濡れて凍ったごつごつとした光る岩肌、白と黒の混じった石やその塊。
僕はそんなとてつもないロケーションの中で、擂鉢の中の、なにか、地の果てのぞくぞくするような古代の荒涼の中にいるような気がした。

the impression, Scotland




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