ぶらり宿六ひとり旅 001



12月20日(日付は、ロンドン時間です)


【東京】
Fri 18-Nov-88 2:16 GMT Sys 7014(ここの欄はロンドン時間における発信時です)
Subject: 'TO MR.'(これは、このメールのタイトルです)

 こんにちは、そちらはいかがですか。
 こちらはみんな元気です。
 さようなら。
 眞弓(これは家内の名前です)


【ロンドン】
 やあ、まいった。
 モスクワで4時間待たされて、ロンドンに着いたのが、12:00、つまり午前0時。そちらでいうと、9:00。
 ホテルには夜中の1時に入って、あーあー疲れた。
 それでも、こうしてまず原稿を書いている。
 ホテルはボロ。しかし、お湯も出るし、暖房もあるし、電話はプッシュフォン。
 けれど、モジュラージャックが取り外せないようになっているので、しかたなしにカプラを使うことにする。これが届けば通信は成功だ。
 さて、シベリアに入った頃はやけに寒くなってきており、どうなることかと危ぶまれたが、ロンドンの真夜中はそんなに寒くはなかった。
 心配し過ぎのようだった。
 飛行機では、風邪の具合がはっきりしないことと、窓際の席ということもあり、冷え込んでくると辛かった。
 成田で薬を買って飲んだので、よくはなっていると思う。明日からは元気に動けそうだ。
 飛行機の中はひどいもので、ボロなのは我慢できるが、とにかく狭い。アエロフロートが安いのはこのせいでもあろうか。
 また思い出すが、モスクワでのトランジットで待たされた、暗く、寒い、インフォメーションのまったくない待合室の透明な檻の中というのは、本当に頭にくる。
 そうそう、変な男にあった。前に話したことがあるが、深夜映画の解説をやっていたO、昔、Kと一緒に自主制作映画の上映会をやっていた男だが、これがたまたま同じ飛行機に乗り合わせた。聞いてみると、ロンドン映画祭にきたとのこと。今や映画評論家だから、でしょうかね。
 モスクワの待合室で、こちらは鼻をrunningさせながら、四方山の話に疲れた頭でぼそぼそ。あんまり寒いので、duty free shopでロシア産のブランデー、おそらくウオツカなのだが、これを買って呑んでいた。
 そのまずいこと。いま目の前に口を開けて呑まれるのをポカンと待っている。
 しかし、そのOというのがまったく困ったもので、一緒にcabを使ったのはいいのだが、支払いを割り勘にしようという段になって、小銭がない、レシートが必要だだのと、こちらのホテルの方が遠いこともあり、面倒なので、タクシー代はこちらで面倒を見た。それだけならまだしも、荷物があったので、運ちゃんにチップを少しあげたがいいと教えると、今度は小銭がない、両替してくれないかという。こちらも小銭は少ししかないわけで、もういいよ、といって呆れてしまったのである。
 まあ、どうでもいいが、こちらも関わりになるのは面倒なのでホテルの電話なども教えないで、どこかで会ったら呑むぐらいの気持ちしかない。本当は、日本語を話す機会があるとあまりよくない気もしていたわけである。
 とりとめがなくなってきたので、このくらいにするが、ここはシングルで40ポンドとレセプションに書いてあった。しかし、従業員も行儀がいいとはいえないような連中で、面白いといえば面白そうか(このホテルは飛行機のチケットについていた)。
 今日はもう2:30でcheck outが11:00だから寝る時間もないので、もう一泊ここに泊まろうかとも考えたが、それとも頑張って明日早めにもっと安いB&Bを捜そうかな。

 鏡子(8歳になる長女)、モスクワの夜景と、ロンドンの夜景を一度にみましたよ。歴史のある世界の代表的な都市です。すばらしいながめでした。しかし、モスクワは雪が積もっていて、マイナス11度という気温です。0度というのは水が氷になる温度ですから、それより11度も寒いんですよ。
 聡(5歳になる長男)、おまえとおなじくらいのにほんじんの男の子と、イギリスじんの男の子が、長いひこうきのたびにも負けないで、えいごを話しながら元気にあそんでいましたよ。えいごはイギリスに住んでいるようだから、話すのはあたりまえか。では、またね。
 風邪ひきとうさんのコンピューターお手紙でした


【ロンドン】
Subject: telecom file look at
Text:
てれこむのふぁいるからみてくれ

ty ryoku1
ueno yoni mark kara type suru
mark towa yamagata system mode
ryokujisai
(ロンドンからのメールが無事に読まれているかどうか、まだはっきりしていないため、いろいろな手を弄している。日本の電子メールシステムからは直接ロンドンのシステムのIDにアクセスできるので、それを使って読んでくれるよう指示している。日本語を直接送るようなコマンドがロンドン側の電子メールシステムには用意されていないので、最初の手紙をロンドンの自分のメールボックスに送り、それを日本から直接ロンドンにアクセスして読ませるようにしている。そのため、ロンドン側では使えない全角文字の替わりに半角文字を入れているわけである。後からは、ファイルを一括して送るコマンドで、日本のシステムのメールボックスに送っている)