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詩集 「strand における魔の……」

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十時二十一分

月が曇っていた
だから妙な気がしたのだ
その時間に
眠りの光の中に
家族とともにいたのだが
苦痛は存在すると
あの人は
肉体のきわみに達しながら
その不思議な笑いを
匿しもったまま
地球の核心へ
すりぬけていったのである
だから あの人は
復活してしまったのかもしれない

 土方巽へ
昭和六十一年一月二十一日



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