ぶらり宿六ひとり旅 014



12月1日

【東京】
To: LBH050 (10084:LBH050)
From: UNP063 Delivered: Thu 1-Dec-88 1:19 GMT Sys
7014 (7)
Subject: '10:15 am 1.dec.'
Mail Id: IPM-7014-881201-011870001
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 まず、ローストビーフ、いいなあ、おいしそうだなあ。それに空いてるときにボーイと話しながらのんびりとボジョレーを呑む。さぞ優雅だったでしょう。
 ところで、旅に関しては、いまいちぴんときません。
 やはり遠く隔たっていると、文章や手紙でどんなに感動を伝えてきても、どうも質のいい紀行文を読んでいる感じが拭えません。感動を自分のものとして捉えることは、もちろんできないことなのですが。ただ、やはり働きにいっているのではないというのは、とても違ってくるだろうと思います。かといって、もちろん遊びにいったのではない。つまり感動を自分のものにして、そこから膨らませていく何かをつかまえようといったことだと思っています。その意味では、まさに見たもの感じたことの全てが、理にかなっていると思います。エネルギーとして、いまそこにいることが膨らんできているなと感じられます。これはとてもすごいな。このことに一番の羨望を感じている次第であります、はい。
 といったところで、どうも日常生活に埋没していて、頭がますます悪くなっております。この意味でも、私も刺激されたい。ではでは、起きた頃また書きますから。
 眞弓


【東京】
To: LBH050 (10084:LBH050)
From: UNP063 Delivered: Thu 1-Dec-88 7:01 GMT Sys
7014 (11)
Subject: 4:00pm
Mail Id: IPM-7014-881201-063290001
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 まず、お知らせから。IDOQから手紙でバージョンアップのお知らせです。期間が3月31日までなので、帰ってからでいいと思います。
 それと、今日、年賀葉書を買ってきました。200枚です。
 ここのところほとんどニュースらしいニュースがありません。相変わらずリクルートです。Xデーの発表もありません。
 MIFESの本を読み始めましたが、まだ最初でよくわかりません。とにかく早いので便利だと思いながら使っています。いろいろ覚えれば、もっと便利でしょうね。
 こうやって毎日文を作るというのは、いままでなかった経験で、かなり勉強になります。一日にあったことを考えたり、子供たちからお父さんへの伝言を聞いたりして書くことを決めます。馴れないのでうまく文が作れず、どうしても短くなってしまいがちです。
 まあ、こうやって少しずつうまくなっていくのだと鞭打っているわけです。
 今日はこれからジャスコへ子供たちをつれていきます。きっとうるさいでしょうね。
 では、またね。
 眞弓


【ロンドン】
mail ar 7014:unp063 su 8:10am 1 Dec london

 君の方もいろいろ大変ですね、ご苦労さん。
 しかし、これで、君も結構コンピューターに馴れることができる。
 これは、実にいい傾向だ。
 いま僕の使っているラップトップが、だいたい君専用になるだろう。
 マニュアルの読み方は、分からなくてもいいのです。ただ繰り返して読み、実際に実行するのみです。
 そのうちに、コマンドのアルゴリズムが分かってきます。
 分からなければ、繰り返せ、です。

 今日はこれから交渉事がいくつかあるので、会話の腹案を練らなければならない。

 昨日は、結局、12:00頃に帰りました。
 予定のところが早くに終わっていたり、同じ番組だったりで、大したところに行かなかった。
 酒も大したことがないのに、今日は少しからだが重い、頭がぼーっとする。もう少し寝なければ駄目かな。

 荷物を今日送ります。
 うまく届けばいいけどね。
 コンピューターの本も、読む時間もないので、入れときます。

 子供たちに
 さて、とーさんは、きのうは古いイギリスのおしろを見てきました。
 ここは、王様や、王妃などがとじこめられていたところです。
 どうしてかというと、王様どうしのけんかやなんかがあって、自由に外に出しておくと、けんかに負けた王様がまた力をとりもどすかもしれないからです。
 ざんこくなこともおこなわれました。
 負けた王様や、家来や、王妃たちが、このしろの中で殺されたのです。
 今でもゆうれいが出るといわれています。
 テームズという大きな川のほとりにある、ロンドン塔という700年以上も前にできたおしろのお話です。
 でも、ここは宝物もいっぱいおいてあって、アフリカの星というダイヤモンドは世界一の大きさで、小さなおにぎりくらいの大きさでした。
 王様たちの世界って、へんなところだね。


【ロンドン】
mail ar 7014:unp063 su 2:00pm 1 london

 頭にきました。
 3度ハングアップしたのです。ATOKのせいなのです。
 それで同じことをまた書きます。
 速くしないと、君が今晩読めないよね。

 用事は午前中に全部簡単に済みました。
 もう自信ものですね。

 マダムはいない分の差額をどうも引いてくれるみたいだし、というのは、ノーとか、ノットとか言っていない、ははは、この程度の語学力でやっていけるのですよ。
 また、帰ってきてからの部屋のチェンジを申し出ると、差額の2ポンドでできるみたいです。
 もっともここにいたいわけじゃなく、この辺りの生活環境に馴れたものだから、新しく近所の様子を覚えるのも面倒だからです。帰ってきたら、フランス行きの計画を立てねばならないのです。

 郵便局から本を送りました。
 プリンテッド・マターズで送ろうとしたのですが、6キロ以上あったので駄目。包み直して二つにするのも面倒なので、普通で送りました。
 27ポンド、送り賃の方が高いみたい。
 しかし、今度は切手を貼るだけで簡単に済みました。
 昨日の局員が意地悪なわけではなく、印刷物と言ったので、税関のチェックの必要がないと判断したのでしょうか。
 また、ラッピング・ペーパーを買っておきました。

 車の手配も済みました。1.4リットルのフォードです。
 明朝、いよいよ出発です。

 今は、近くの惣菜屋で買ってきたマッシュルームのオムレツとヴィール・パイを食べながら書いているわけです。書き直しているうちにもう食事は終わりましたがね。

 なんか、喋ることに自信とはいかないまでも、なんとかなるという気持ちを強くしています。
 特に、読む力がずいぶんついたと思います。単語を改めて勉強しているわけではなく、とにかく、完全に分からなくても、書いてあるものが読める、そしてなんとなく中身が分かってしまうのです。
 だから、ガイドブックや雑誌を買ってきて、必要な情報を結構引き出せるわけです。
 前は、途中で投げ出すようなものでも、必要から文字を結構読みますね。

 さて、旅行の計画ですが、大ざっぱにいうと、2日午前中に出発、ケンブリッジに向かいます。目的地は、スコットランドのグラスゴーくらいまで。やはり時間の関係で、ノーザンイングランドとサウザーンスコットランドということになります。
 泊まる場所は適当に午後3:00をめどに決めます。
 帰りは9日を予定しています。このへんの時間はこちらの時間です。気をつけて。
 この間、場合によっては連絡不能になるかも知れません。
 パソコンが駄目なら、電話をしますからそうでもないか。
 まだ、地図を研究中なので、今のところこのくらいでしょう。
 ロンドンを出るのに、どうも戸惑いそうな気がするんだけどね。

 でも、どこかに動こうとするときのこの興奮はいいものです。
 やる気がぐっと出てきます。

 君の方の時間で、朝方に着くように、次のメールを出します。
 一応、旅行中の打ち合わせのつもりでね。
 君の方も何かあったらメールしておいてください。


【東京】
To: LBH050 (10084:LBH050)
From: UNP063 Delivered: Thu 1-Dec-88 14:32 GMT Sys
7014 (16)
Subject: '11:30 atnight'
Mail Id: IPM-7014-881201-130840001
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 今日はどちらへ行きましたか。
 明日からの旅行の準備で忙しかったのでしょうね。
 ここのところ少しがんばりすぎではありませんか。疲れていませんか。
 また帰ってきて不調になりませんか。文面からみると少し疲れているなと感じられますよ。とにかく体はお大事に。
 今日は私も少し不調です。薬(ホルモン剤)を飲み終わったので、そのせいかも知れません。
 鏡子の個人面談があるのですが、希望制だということでやめることにしました(僕たちは学校教育というのが好ましいとは思っていないのです)。とくに相談することも、聞くこともないですものね。
 二人ともとてもいい子にしています。あー、おかあさんのいうことがきけないのねというと、仕方なくでも、とにかくいうことを聞いてくれます。
 何とかなるものですね。
 といったところで、今日は不調でもあり、もう寝ることにします。
 眞弓 でした

 ps. mail yomimashita iyoiyo shuppatsu desune yoi tabi wo inotte masu
asu no asa mata renraku matte masu             mayumi


【ロンドン】
mail 7014:unp063 su 6:00pm 1 london

 僕もたしかに疲れてしまいました。
 この部屋の照明は暗いのです。
 そのため、原稿を書いたり、調べ物をしたりして目を使うと、てきめんに疲れます。
 きっと目が悪くなっているでしょう。

 えーと、とりあえずの予定を決めました。
 午前10:30にここを出発。
 ケンブリッジを最初に目指します。
 ロンドン市内を抜けるのに時間がかかりそうですが、ほんとにここの街の道はよく分からない。地図が悪いせいもあるのでしょうか。
 僕の予定では、ケンブリッジはそれほど遠くないので、ここは宿泊しないと思います。
 ノッティンガムを最遠の目標にして、途中にあるペーターボロかグランサムのどこかでホテルを見つけます。
 強い味方があるのです。RAC Hotel Guide 1989、8.95ポンドもしたのですが、これが全英のホテルリストになっており、この中には主要都市の道路地図もあるのです。
 別に地図はたくさん買いましたが、これが一番使いやすいかな。
 何しろナビゲーターがいないのが辛いな。
 午後3時をめどにドライブをやめ、すぐホテル探しに入ります。まあ、車だし、これはこの間の香港みたいなことはないでしょう(以前に香港で宿を探して苦労したことがある。あそこはホテルが常に満室のようだ)。

 アクセスの仕方ですが、一応できるものとして考えます。
 まず、到着して、午後6:00(日本時間午前3:00)頃に一本入れておきます。
 ここでできなければ午後12:00(日本時間午前9:00)頃に入れます。
 後は、出発前の午前10:00(日本時間午後7:00)までくらいでしょうか。
 ですから、用事がある場合はこちらのアクセスタイムを考えて送ってください。
 また、ホテルの部屋に電話がない場合、公衆電話でやることになります。
 うまくやれるかな。
 どちらにしても、1200ボーではできないかな。
 国際電話だけではなく、市外電話がつながるかどうかも分からない。
 このホテルは市内だけダイレクトにかけられるのでいいのですが、今度はロンドンは市外になるはずですし、またパケットの中継地点もありますが、電話番号の関係でどうなるやら。
 とにかく、最悪の時は国際電話。しかし、これは通信するときはこちらで払わなければならないから、それもキャッシュで、だから無理でしょう。
 次は、ロンドンに対する市外電話。これでしょうね。
 しかし、泊まるのは中程度のホテルにするつもりなので、大丈夫かもしれない。今度は1泊50ポンドをめどにさせていただきます。
 これは了承ください。

 今日は早く眠るつもりです。
 だからアクセスは夜10:00くらいにします。ところでもう日本時間を書かなくていいですか。君もなんとか分かってきたでしょう。
 それと、あとは明朝7:00くらい。
 この2回ですので、そのつもりでいてください。

 それから、仕事の件ですが、S君と、K君(彼には、S君のできないとき、Mさんの方で人を手配してもらうことになっているので、そのことを確認してほしい)に電話して、P*の代打の件、再確認してください。
 Tが帰ったら、彼に相談して決めてくれるようにと念を押しておいてください。
 また、P*のHさんにも電話して、Tが帰るまでK君の方で事態を掌握していると伝えてください。一応、S君が引き受けるとも伝えてね。
 H氏に電話するのは、P*編集部で、副編のHさん、と言えば取り次いでもらえます。
 あるいは、Uさんに電話して、この上の件を伝えて、彼からH氏に伝えてもらっても結構です。Uさんにも、どちらにしても電話はしてもらおうか。
(以上、仕事の打ち合わせです。何が何やらわからないでしょうが、このメールのやりとりで、結構仕事もできることを感じとっていただきたいわけです)

 事故だけは起こさないようにしたいものです。

 旅先で、今度はおみやげを買いますよ。
 子供たちに楽しみにといってくれたまえ。

 ところで、どうも舌先からお腹の中まで、脂がべとっというような感じがして食欲がないのだが、やはり西洋人の食事についていけないのかな。
 それとも肝臓でもいたんでいるのかな。

 日本料理屋で日本酒でも呑もうか。なんて、やっぱりばかばかしいか。
 とにかく、明日は知らない道路を久方ぶりに運転するのだから、今日はおとなしくしよう、と。


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