ぶらり宿六ひとり旅 016 |
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12月3日 【東京】 To: LBH050 (10084:LBH050) From: UNP063 Delivered: Sat 3-Dec-88 6:00 GMT Sys 7014 (14) Subject: '3:00evening 3' Mail Id: IPM-7014-881203-054110001 Acknowledgment Sent おはようございます。本日の調子はいかがですか。 今日はどの辺まで足を伸ばしますか。地図をじっくり見ました。スコットランドは確かに遠そうですね。日本でいうとどのぐらいの距離になるのでしょう。地図だけでは、どうもぴんときません。 そうそう、きのう夜中の12時半頃、ABさん(鹿児島に住む詩人)から電話がありました。ロンドンに行ってますというと、ふしぎそうに、へー、ロンドンですかといってましたよ。遊びに行ったんですかと聞かれて、説明に困って、ええまあと曖昧にこたえました。こちらも寝たばかりで多少寝ぼけていました。帰った頃また電話をくださるそうです。 それと、お義父さんに**火災のSRさんから、所得保証の**万円を振り込んだと手紙がきました。これは毎月のXX万の分とは別ですね。 KMさん(妹の嫁ぎ先)からお歳暮に干物をいただきました。お礼の電話をしましたが、何かこちらからも送った方がいいでしょうか。送るとするとどんなものがいいでしょうか。 考えてみてね。 今度の旅で緑字斎さんはとても素晴らしい経験をしているのでしょうね。 私の方はますます英語テープが聞き取れなくなり、ますますワープロが下手になり、かなり自信を喪失してます。まあ、一人で頼らずになんでもしてみたり、コンピューターに馴れたりしているので、おあいこかな。 とにかくこちらも、緑字斎さんが帰ってくるまでしっかりやりますよ。 では、今日は子供たちがピープル(スイミングクラブ)で私も忙しいのです。 眞弓くんでした ps. jisa wa mochiron atama ni tataki konde orimasu yo mayumi 【ケンブリッジ】 mail 7014:unp063 su 7:30am cambridge 所得保証の件だけど、 …… >XX万の分とは別ですね。 と君は書いてあったので、よく分からないけど、 別の金だと、SRの手紙にあったんですか? それとも、僕に尋ねてるんですか? 別でなかったら、面倒なことになります。 どうなのでしょう。 これから、出かけます。 食事が始まっているので、急いでます。 では、今度は、おそらくハワースから。 【ハワース】 mail 7014:unp su 6:30pm Haworth まさしく嵐が丘です。 雨が降り、この荒涼とした丘の奥深く、僕はやってきました。 着いたのは5:00でしたが、黒い雲と闇に覆われ、地の底にでも突き落とされたような、そんな感じのするところです。 ケンブリッジを11:00に出て、高速道路を一路北へ。 行けども、牧草地と畑が、丘々の向こうに際限なく繰り返され、背中が赤い羊がいたり、見事な丘の稜線、林の独特の孤絶感。 しかし、次第に霧が深まり、雲が低くかぶさり、しまいには色彩という色彩が見事に失われていく。 冬枯れのオークの林が敷居のように何度も現れ、イギリスの冬の厳しさをその失われた色の替わりにとどめられた寂寥といったもので示しているようです。 両側が石積みのくねくねと複雑に折れ曲がる田舎道や、ところどころに水煙をあげて冷たい水をヒースの丘に打ちつける川の傍を通って、車を走らせました。 それにしても、途中から、なかなか目的地に着かないので、道を誤っているような気がして、その分、新しい不安という楽しみに期待もあったのだけど、どういうわけか、なんとか正しく進んでいたのです。 ただ、距離感が、地図とずいぶんかけ離れていて、そのような疑念を生じさせていたのです。 午後になると、早くも暗くなり、視力も落ちて、標識を読むのが辛くなってきました。それでも、馴れは恐ろしく、英文といえどもなんとか瞬間的に読んでいるのです。 ノッティンガムに寄るとまず向こうに着かないと踏んで、ここはやめ。またリーズも同じくやめ。 ひたすらハワースという田舎町を目指したのです。 僕はさまざまの条件から、午後3時を移動の限界としていたのですが、ここに着くのにひどく予定が狂いました。 何かの間違いかと思うほどなかなか着かなかったのです。 それでも、高速より下のランクの道路で、みな80から100キロは出しているのです。 今日は200マイルは走ったでしょう。 この嵐が丘のあたりに差しかかると、雨が激しくなり、外は真っ暗。その闇を透かして、いくつもの複雑な丘がたち現れ、僕はなんどもその丘を越えて、迂回して、とにかく車を走らせていたのです。 もちろん、車外に出ると、ひどい寒さで、この土地の辛いものが伝わってきます。 あくまで暗く、おしかぶさるような、このノーザンイングランドの冬の重なり。闇の中の広い影。…… ところで、長々書くのはやめましょう。 ホテルは、最初予定していたOld white lionは満員でしたが、そこの紹介でなんとか、確保できました。 3ベッド、シャワー、トイレ付き、もちろん朝飯付き、TVあり、紅茶のセットあり、で、20ポンドです。ちょっとなんか匂いがしますけどね。 下がパブになっていて少しうるさいですが、この辺りの連中のたまり場みたいです。 それはいいのですが、電話がついていない。公衆電話です。 だから、果たしてこのメールが送れるかどうか。 とにかくやってみます。 今日はここに5:00に着きました。 Haworth Old Hall 1号室 Haworth,West Yorkshire,BD22 8BP tel 0535 42709 明日はいよいよスコットランドです。 通信がうまくいけばいいけどね。 【東京】 To: LBH050 (10084:LBH050) From: UNP063 Delivered: Sat 3-Dec-88 13:39 GMT Sys 7014 (14) Subject: '10:40 pm 3' Mail Id: IPM-7014-881203-122870001 今ごろはどの辺を走っているのかなと考えながら、このメールを書いています。 景色はどんなでしょう。畑や森があるのでしょうか。 ところで所得保証ですが、どうもよくわかりません。いつもはショトクキホン30ニチ(送金通知の表記)と書いてあるのに、今回は6ニチで**万円というわけなのです。この他には何も書いてありません。 この6日というのがなぜなのかわからないのです。月曜日に電話して聞いてみた方がいいようですね。何か手違いかもしれないし。 紙田さんがいない間に結構いろいろなことがありますね。 それと、日産から電話で12月点検をいってきています。帰るまでに済ませておいた方がいいでしょうか。 子供たちはいま、借りてきてあげたビデオを見ながらカウチポテトしています。 借りたのは「インナースペース」、例のスピルバーグの軽いものです。僕はウルトラマンがいいといっていた聡も結構喜んでいます。聡はウルトラマンが好きですね。よく知らないはずなのに、不思議です。 鏡子はピープルのコーチが恐いといっています。1級ともなると厳しいのでしょうか。 お義母さんに胸が痛いから加湿器を出してといわれ加湿器の掃除をしましたが、なぜかうまく蒸気が出ません。できれば使わない方がいいといいましたが、やはり胸が苦しいのでしかたないそうです。 といったところで、こちらは相変わらずですね。 今日もそちらのメールを楽しみにしています。ではまた。 眞弓 【ハワース】 mail 7014:unp063 su pm7:30 3 Haworth まずいです。 親父のことだけどね。 要するに、通院した日数が少ないから、それみたことかと保険会社で金額を減らしたのかもしれない。6日というのは、5分の1だからね。 あるいは何か別の事態が発生したのかもしれない。 これは、ちょっともつれるよ。 とにかく、一度、親父に抗議させるしかないな。 下手すると、これが糸口になって保険が出なくなるかもしれない。 僕が心配していたのは、このことだ。 債務もまだ解決していないのだから、困ったことになる。 とにかく、親父に強くいってくれ。とにかく非常事態だ。 この文章そのまま伝えてくれ。 また、ここでへたな騒ぎ方をすると、債務の問題にだって波及するかもしれない。 一応、親父にSRに電話させて、おかしな計算をするなといわせるしかない。 けれど、一度だけ、それも息子と相談して、弁護士に処理させるよう考えてみる、というだけにするように。 向こうは、とにかく保険金を出さないように腹を決めたに違いないのだから、こちらもある程度やる気になるしかないよ。ただ、親父が直接やると駄目、これだけは気をつけて。 一応、弁護士の件は匂わせるくらいでいい。あんまり強くは、今のところまだいわないように。下手な動きはできないのです。 僕が帰ってから、弁護士がらみで処理する。くれぐれも、親父に喧嘩をやらせたら駄目、親父にそういってください。 それと、とにかく、病院は必ず毎日行ってください。これは自己防衛ですよ。 ここまで、この文章を読み上げてやってね。 通信は、できるけど、電源の問題などあり、これからどうなるか。 公衆電話も1台きりで、それも下のパブの連中も使うので、こちらとしても使いづらい。 もう、話題になったらしいし。 やはり、もっと大きな街のホテルに泊まらないとまずいかな。 それに、カプラーは電源がいるのです。 *** 前頁 次頁 |