ぶらり宿六ひとり旅 018 |
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12月5日 【エディンバラ】 mail 7014:unp063 su 6:30am 5 Edinburgh おはよう。 やはり、今日は立とう。 昨日は12時に寝て、いま6時。 だいぶ体も回復したし、元気になってきた。 昨日は晩飯を10時に食べた。 外にも出たが、日曜で、しかも着いたのが夜だったため、タウンの多くの店がクローズド。 エディンバラは寒い。ほんとの真冬だ。雪はあまり降らないらしいけど、感じが札幌に似ている。 ホテルの前にエディンバラ城がある。 夜なので、照明に浮かび上がって、それはきれいだ。 Waverley公園というのだが、その中にあるのだ。 ホテルのパブでビターを呑んでいると、ひとりはスコットランドの衣装を着けたおじさん、もうひとりは5カ国後しゃべれるという男がしきりに話しかけてきて、ビールをおごってもらったのはいいが、こちらは疲れていて、どうも頭が回らない。 不思議になかなか言葉が出ない。 質問にうまく答えられない。 聞き取るのも半分以下。 それで、困ってしまった。 話しかけてきた男が延々語りかけるのだが、もう、完全に疲れて、ついていくのも嫌になっていたしね。 こんな時もあるのだ。 隣のレストランで、トラウトを食べ、haggisというものを食べた。しかし、あまりに疲れていたので、ここも早く引き揚げてきた。 きょうは、インバーネスに行こうと思う。 いわずと知れたLoch Ness、ネス湖だ。 ここまで来たんだ、どうせならもっと北上してみよう。 そう決めて、夕べはベッドイン。 僕はがんばります。 エディンバラは美しい町だけに、何も見ないのは残念だけど、それよりもやはり北へ向かう、なにか大切な旅の心みたいなものが僕を衝き動かすんだ。 こちらを早めに出て、向こうにも早く着きたい。 今度は距離が少し短いからなんとかなるかな。 昨日は10時前に出て、着いたのが6時だったからね。 【東京】 To: LBH050 (10084:LBH050) From: UNP063 Delivered: Mon 5-Dec-88 7:45 GMT Sys 7014 (6) Subject: '4:45pm 5' Mail Id: IPM-7014-881205-069840001 Acknowledgment Sent おはようございます。結局どうすることにしましたか。 今日荷物が届きました。中身が本なので、鏡子ががっかりしてました。 私は打ち合わせに行っていま帰ってきたところです。シナリオはどうやら2本出すらしく、発売日を遅らせるようです。新書判で9ポぐらいの活字、行数はできるだけ入れたいようです。13日に最終的に直しの入ったものがあがる予定ですので、また相談します。 これから聡を迎えに行ってきますので、また夜にでもメールを出します。 眞弓 ima mail wo yomimashita murishinaide ganbatte ne mayumi 【東京】 To: LBH050 (10084:LBH050) From: UNP063 Delivered: Mon 5-Dec-88 14:22 GMT Sys 7014 (13) Subject: '11:20pm 5' Mail Id: IPM-7014-881205-129410001 Acknowledgment Sent 今はどの辺でしょうか。体は疲れていませんか。ちょっと強行軍ですね。 こちらに帰ってからも仕事が待っているのですから、あまり無理はよくありませんよ。 M社から、企画料として**万円振り込まれました。このお金は何にあたる分でしょうか。 それとエプソンからvalue upの購読料4080円振り込むようにいってきたので振り込んでおきます。 今日は、天皇の1000ccの下血とか、東中野でのJR列車追突事故などで新聞はにぎわっています。 わたくしの方は緑字斎さんから送られたミイラの絵はがきを見て、突然サラダが食べられなくなりました。いままでそんなことはあまりなかったのですが、これは死者なのだと思ったとたん、なまものを食べられなくなったのです。あの姿勢はひどく不自然だと思いませんか。宗教的な理由があるのですか。死者はあの姿勢でいったい何を待っているのでしょう。 自分の魂でしょうか。どうして静かに腕を前に組んでいないのでしょう。とてもとても不可思議で、よく理解できません。 ところで、セーターの方が早くに送ったはずなのに、まだ着いていません。子供たちはてっきりおみやげだと思った当てが外れて少しがっかりしています。まあそのうち着くでしょうね。のんびり待つようにいっておきましょう。 今晩はこれから****の再校です。これであとは河内山(進行中の小説のゲラ)だけですが、いったいどうなっているのかな。ひょっとしたら(緑字斎が)帰ってくるまで出さないのかしら。 A編集部の方は文庫が出ないかも知れませんね。そうなるとあとはシナリオ2本だけということになりますが、さてどうなりますか。まあこちらはそれなりにがんばりますからご安心を。 といったところで、仕事にとりかかることにします。 眞弓 追伸 12月点検と苅込さんへのお歳暮、どうしましょうね。 【インバーネス】 mail 7014:unp063 su 6:00pm Inverness きょう、ほんとはインバーネスに昼ちょっと過ぎに着いて、好調だったのです。 それで、思い立って、予定のいくつかのホテルを探さないで、Loch Nessの直接見えるホテルをとろうと考えました。 ネス湖はインバーネスからさらに東に延びているのです。 非常に調子よく、湖岸をドライブしました。 しかし、湖岸のホテルはどういうわけか、おそらくシーズンオフで、クローズしているのでした。 この湖は細長く、かなり大きいもので、時間がずいぶんかかりました。 向こう岸も探してみようとしているうちに、山の中に入ったり、それはそれで面白かったのですが、みるみる暗くなってしまいました。 山の中で道を間違えたりもしました。 珍しく、山上は雪があり、アイスバーンになってたりしていました。 ネッシーはとうとう見かけませんでしたが、こちらもまた遅めにホテルに入ることになり、それに落ち着いてから昼飯と考えていたので、これもまだ。 山中では、ガソリンも危なくなり、ははは、これがアウトだと、どうなるのでしょうね。 まあ、ぐるっと湖を一周して、インバーネスに戻ったわけです。 すでに5:30で、暗い上に、雨。 それで、とにかく市内の適当なところに入ってしまいました。 このホテルはガイドブックにも載っていないので、どれだけかかるかと危ぶんでいました。 ガイドブックによると、この町のホテルはネッシーのおかげで高いのです。 しかし、なんとか50ポンドを切ったので、面倒になって決めたわけです。 だけど、朝飯がなし。 まあ、いいや、です。 きれいなところなのですが、電話は外せないようになっているので、カプラーのお世話です。 えーと、今日はまたセーターなど送りました。 最初のはどうなっているのだろうね。 もう届くとは思うけどね。 しかし、子供たちのおみやげをもっと真剣に選ばなければならないね。 昨日は日曜で駄目だったけど、今日はこれから出てみますか。 明日こそ、早く着いて、ゆっくりしたいな。 P*(M社の雑誌)のはもらっておいてください。 なんとか辻褄合わせに出た金です。 それと、親父の方はどうなっていますか。 また、点検はしておいてね。 苅込さんにイギリスからというのも面白いけど、そうするとみんなの分ということにもなるし。やはり、君から適当に。 では、また後で書きます。 とりあえずようやく到着。 Caledonian hotel No.301 Church St. Inverness, Scotland IV1 1DX Tel 0463 235181 【インバーネス】 mail 7014:unp063 su 9:30pm Inverness 残念なことに、この町もまた早く終わるのです。 買物をしようとして、見て回ったけど、どの店もしまっている。 食べるところだって、何もない。 いや、どこかにあるのだろうが、一介のツーリストには分からない。 結局、今夜もホテルのレストランとパブ、ま、おまけに近くのパブも一軒。雨も降るし、夜だし、今晩は仕方がないね。 しかし、ワインというのは、やはりソムリエに任せるに限る。 やはりうまい。 今晩も、ハギス、ラムの挽肉とクリーム、それとラディッシュ、二十日大根か蕪みたいな味だ、のすりつぶしたのを三つを混ぜながら食べる。ラムはウィスキーで味付けしてある。 これをアペタイザーにして赤ワインを呑んだ。 レストランの窓からは、ネス川の、いやMoray Firthという湾がイルミネーションとともに美しい夜景を見せてくれる。 そして、しつこいけど、またラム。キドニーをこれもウィスキーで煮たのか焼いたのか、とても不思議にうまかった。 知ってると思うけど、腎臓ね。 今日は山道を通ったので、羊やら、犬やら、なにかやら、いっぱい轢かれたのを見てきたが、肉体は肉体でしかないということを、君もよく分かるといい。 どういうことかいうと、肉体は待ち続けるものではない、肉体は過ぎ去るものだということだ。 こうなると、ミイラだろうがなんだろうが、自分に引き寄せて考えることもないかも知れない。 ま、日がたてば、そういうことはまた消えてしまうのだけどね。 僕も、前に、同じようなことがあったのを覚えているね。 それで、今日の飯はすべて。 多少高くても、昼の分を入れてね、なんとかさ。 さて、天皇は終わりだろうね。 時代は、見事、僕が参加しない日本で変わった。 いい気味だ。 僕は、日本なんかと関係がないやい。 天皇がどうなろうが、僕と日本との関係には何の関係もないというのが分かっただろう。 これは、君にいっているのではない、日本とかいうやつにだ。 (残念ながら、日本の医学というものは悪魔的で、小生のこの数行を無意味なものに貶めたのである) 買物が駄目だったので、明日でもこの小さな町で、何か買います、と子供たちに伝えてください。 今日は、僕は早く寝ます。 ここは、何か、人も少ないみたいだし、何か気取ってるみたいでもあるし、早く寝るしかないかな。 明日も、買物の後すぐ立ちます。 今度はグラスゴー。スペリングはまだわからない。 ところで、子供たちはあの手紙読んだのかな。 やはりドライブ中は原稿を書く量と内容が深まらないな。 疲れてるから、そのせいだ。 *** 前頁 次頁 |