ぶらり宿六ひとり旅 021



12月8日

【東京】
To: LBH050 (10084:LBH050)
From: UNP063 Delivered: Thu 8-Dec-88 6:27 GMT Sys
7014 (13)
Subject: '3:30 evening'
Mail Id: IPM-7014-881208-058140001
Acknowledgment Sent

 おはようさん、きのうはゆっくり眠れましたか。今、隣で鏡子がごちゃごちゃいっていますよ、うるさい、まったく。
 土曜日に友達の誕生会があるとかで、振替でこれからピープル(スイミング・クラブ)に行くのです。
 ではドレスのお礼をひとこと鏡子より、

 お父さん、ドレスありがとう!!?!?
 ぴーぷるもしもコーチが優しかったら、もくようびにしたいと思います!?!?!

 ということでした。
 お義母さんは風邪をひいたらしく、胸が苦しいといっています。これから近くの病院へ行って薬をもらってくるそうです。東京では風邪が大流行。気をつけないとね。
 聡はここのところ、保育園を休みたいといっています。少林寺もいやなのだそうですが、両方とも、行ってしまうと楽しかったよとけろっとしてますよ。
 鏡子は、今回の自由研究の発表会も選ばれたと大はりきりなのです。どうしてもやりたい人というときに、はいっと手をあげたそうです。何しろ6年間の全発表会出場を狙ってますから、大変です。
 わたくしは、あいかわらずです。毎日、仕事や家事に追われてます。きのうは眠る前にナショナル・ギャラリーの絵を見ました(ロンドンからカタログを送ってある)。ずいぶんたくさんの数ですね。X線をあてたものがかなり載っていましたが、このごろの画集には多いのかな?(下絵をX線で透視した写真がついている)
 下に描かれたものが見えるのは、なかなか面白いですね。
 では、今日はなぜか眠い母さんでした


【リバプール】
mail 7014:unp063 su 8:10am Liverpool

 よく寝ました。
 今日は、これから郵便局にでも行って、また小包を送りますね。
 ドレスがしわくちゃにならないかな、ちょっと心配ですけど。
 しかし、イギリスというのは常にウェットなのですね。
 ドライブの最中、ワイパーを止めたことがありません。
 車はもう泥だらけです。
 そうそう、夕べ、金勘定をしました。
 VISAの件です。
 今日の支払いはまだなので、これまで約1050ポンド、25、26万円ほどVISAで支払っています。
 この中には、ロンドンのB&Bの440ポンド前払いが含まれています。
 ホテル代が、平均すると食事なんか入れて、結局65ポンドくらいかな。
 ガソリンが、100ポンド。残りがおみやげということになるか。
 このほかに、現金で出ているのが600ポンドです。14万円。
 やはりかかりますね。

 では、皆さん元気でけっこう。
 とーさんも、今日は元気になりましたよ。


【東京】
To: LBH050 (10084:LBH050)
From: UNP063 Delivered: Thu 8-Dec-88 13:47 GMT Sys
7014 (10)
Subject: '11:00pm 8'
Mail Id: IPM-7014-881208-124080001
Acknowledgment Sent

 お帰りなさい。今日はオックスフォードですか。ケンブリッジもオックスフォードもロンドン近郊にあるのですね。近郊というほど近くはないか。そこもこぎれいないい感じのところなのでしょうね。
 ところで、送ってもらった切手はわたくしの机の前に飾りました。あまりきれいなので、子供たちの机にしまってしまうのは、あんまりもったいないのです(犬と猫の切手50種、宗教画の切手50種、それぞれ子供用にセットで売っていたもの)。
 イギリスという国は、ほんとに毛織物の国なんですね。地名を見ると、聞いたことがあるので、何かなと考えてみると、毛織物や洋服の名前なんですから。
 インバネスやヨークシャーなど、みんな着るものに関係してますね。
 などとくだらない話をしてみました。
 今日はとても寒く、少し風邪っぽいので、早めに眠ろうと思ってます。
 緑字斎さんも風邪には気をつけてね。では、またメール出します。
 なお、朝は7時に起きて、メールを7時10分ごろから読み始めますので、よろしく。
 眞弓


【オクスフォード】
mail 7014:unp063 su 11:00pm Oxford

 さて、この手紙は少し遅いかな。
 今日は5:00に着いて、小さなホテルがなんとかみつかり、35ポンド。
 電話がちょっとおかしいのだけど、なんとかつながる(受話器の形が変形なので、カプラに収まらない。カプラは使用できない。またジャック式でプッシュフォンなのだが、実はダイヤル式で、それも古い方式らしく、どうしてもダイレクトに外線につなげない。そのため自動ログオンはできず、モデムの説明書をひっくり返して、手動でダイヤルインしてモデムに渡すという方法を見つけて、なんとか成功)。
 とりあえず、君のメールを見て、バスにつかって、それから町を歩きました。
 そんな大きなところじゃないから、分かりやすい。
 今日は結構遅くまで店が開いているので、すこし買物ができた。
 食事は、今日もチープにやってますが、効果が出ますかね。

 このホテルは門限があり、自由に外に出られません。
 大したものを食べていないので、さてもつか。
 まあいいや。
 明日は、早くにここを立ちます。
 ロンドンで迷いそうですからね。

 この町はなかなかいいですね。
 古い円形のパブに入りましたが、学生ばかり、ケンブリッジより活気があります。
 ところで、イギリスの夜は、実にきれいだ。町が、つまり建物と道がきれいなのです。
 どういうことかというと、照明のせいなのでしょうね。
 各階から、上に向けてオレンジの光を当てている。これが、効果的なのです。
 古い建物の形が、逆光みたいな感じで、実に印象的に輪郭が現れるのです。
 昼間見ると、煉瓦の色が、黒、白、入り混じってきれいな感じはしませんが、夜に光の中に浮かび上がるシルエットは、実にすばらしい。
 また、照明の対象にならない建物もありますが、これは、それこそ暗い影から、ずずっと持ち上がるような、おどろおどろしさがあってこれも実にいい。
 イギリスの夜は、たいがい暗く、商店も早く店じまいするようですが、光の乏しい中を家族連れが歩いたり、もちろん若い連中もごそごそやっているわけで、町の夜が終わりというのではないのです。
 たとえば、ホテルにしても、照明が実に暗く、こうしてワープロなんかやるには具合が悪いわけですが、どうも、この国の人たちは、夜は光を特にプライベートな場所では使わないみたいです。
 ホテルにメインの電灯がないのは知ってますよね。
 特に、個室は寝るためにあるものということなのでしょう。
 だから、商店街も暗いけれども、完全にクローズドなわけではない。
 また、レストランなどは、必ず、そうした場所から離れて、それも暗い路地などに派手な照明などつけないでやっている。
 パブにしても、劇場にしてもです。
 どうも、夜の光についての考え方が、われわれと違うように感じます。
 しかし、目の悪い僕にとっては、やはり暗いのは辛いのですがね。

 さて、これで、北帰行は終わりました。
 実に内容のある体験でした。
 ただ、いつも疲れていたので、メールが大して深まらないで終わってしまった。
 これは、そのうちになんとかするつもりです。

 では、明日はロンドンから。
 あ、朝に一言くらいメールしときますね。


【オクスフォード】
mail ar 7014:unp063 su 7:00am Oxford

 おはよう。
 今日はいよいよロンドンに帰ります。
 田舎回りで、少し緩くなった緊張感が、また元に戻るかな。
 少し戻しておかないと、パリあたりでまずいと思うので。

 では、また。
 今日は昼間忙しかったのかな。
 メールがないようなので。


***



前頁

次頁

閉じる