ぶらり宿六ひとり旅 022



12月9日

【東京】
To: LBH050 (10084:LBH050)
From: UNP063 Delivered: Fri 9-Dec-88 8:02 GMT Sys
7014 (10)
Subject: 5:00pm
Mail Id: IPM-7014-881209-072310001
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 きのう、メールを送ったあとのちょうど眠りばなに、S市のIさんから電話がありました。ご不幸があったので、今年は年賀状は出しませんとのことでした。確かハガキもいただいていたと思いますが。このようなハガキは結構届いています。
 ソビエトで地震がありました。アルメニア地方で、死者が10万人ともいわれています。それから、リクルートがらみで宮沢蔵相が辞任しました。結局、ここまででしょうかね。以上、ニュースでした。
 イギリスの照明のことが書いてありましたが、まさに映画を見るようですね。
 よくクリスマスの夜の町の様子が紹介されますが、実際に見たら、身を切るような寒さと相まって、きっと私のようなものでもロマンチックな気分になるのではないでしょうか。そういえば、私の場合、不思議なことに、寒さはロマンチックな感情と結びついている気がします。寒さを我慢して町を歩くとかいったことに、少女趣味的なリリカルなものを感じてしまうのです。これは別に雪は関係していません。考えてみるといやですねー。
 夏のぎらぎらした暑さというのももちろん好きです。こちらの方は、想像しただけで楽しくなってくるので、こっちの方がいいかな。
 きのう夜中に、聡がおなかが痛いとトイレで泣いていると、鏡子が起こしにきてくれました。まだ痛いというので私の布団に一緒に寝かせました。朝はなんともないといっていましたが、保育園は休みにしました。もうピンピンしていて、ラーメンが食べたいなどといってます。
 さて、ここのところチープにしているようですが、旅先であまりけちけちしても楽しくないでしょう。みんなと一緒の旅行では、緑字斎さんがよくそういっていたのですよ。努力はもう充分承知してますから、あまり無理しなくていいですよ。まだ何か変わった食べ物や飲み物があるかも知れませんよ。
 それと、フランスへ行ったら日持ちしそうなお菓子を買ってきてもらえませんか。マロングラッセとか、ウィーンの名菓、ザッハトルテとか、きっとおいしいのではないかな。甘いものが好きというのではないので、きっとただのあこがれですね。
 では、とりとめもなく無駄話をいたしまして、ごめんなさい。また、夜にでもメール出します。
 眞弓


【ロンドン】
mail ar 7014:unp063 su 1:15pm 9 London

 いま、メールを読みました。
 今日は早かった。
 ガソリンが切れそうだったので、急いだせいもあったかな。
 向こうを9:00ちょっと前に出て、こちらに10:30。

 部屋が変わりました。少しましです。
 シャワー室にドアがついているのと、テレビがあるのと、壁が一応きれいにペンキが塗ってあるのと。
 この部屋の掃除が済む間、外のパブをぶらぶら。
 僕を覚えていてくれた女の子が、どこまで行ってたのっていうから、スコットランドというと、びっくりしていた。
 さて、12日までの間、またここで暮らすことになったわけだ。
 なんだかとても懐かしいな。
 ロンドンに帰ってきたときも、やはり安心感があった。
 車で、結局、1550マイル、計算してください、キロに。
 2500キロくらいかな。
 しかし、思いました。
 鏡子と聡がもう少し大きくなったら、アメリカ横断か、ヨーロッパ横断か、アフリカ縦断のドライブ旅行を絶対にやろう、と。
 それも、何年かかけて、この三つ全部。
 必ずそうするからと、伝えてください。
 すごい自然が、どんどん、思わぬ時に開けてくるんだ。
 本当に感激の連続でした。
 このすごさを、ぜひ君達にも味わってほしい。
 僕は、君達にここで宣言します。
 ただし、英語の勉強をやるべし。
 まあ、おふくろは本人がどうかな。
 聡が、4年生くらいを目標にしよう。
 賛成の人、手を挙げて。

 いま考えているこの先の予定は、12日にここを出て、このB&Bはビクトリア駅が近くにあるからここからドーバーに行って、場合によってはそこで一泊、翌日早くに水中翼船でフランスに渡り、汽車でパリに入る。
 はっきりいって、予定時間というのは、相当見ておいた方がいいので、こういう形でパリに入るのが万全だと思う。
 荷物を抱えて泊まる場所を探すのは大変だ。
 まして、英語が通じればまだしも。

 今日は絵本と城の写真、イギリスのものじゃないけど、約束だから、を送りました。送り賃19ポンド、中身20ポンド、ばかばかしいけど、持っているのも辛いからね。
 これまでに、どこまで届いているかな。
 買物は、イギリスではあと、君に何か流行のもの、おふくろにはカーディガンくらいにしよう。
 そして、銀製のティーセット、これはどうも、銀メッキで35ポンドくらいで売っているんだが、もう少しましなのを買えたら買う。
 それから、燭台、やはりこれ、candle stickというのでした、これを一つ買いたい。
 しかし、VISAの限度額はは大丈夫なのかな。
 ちょっと、アスキーカードの問い合わせ先に電話して、住友のVISAカードを持っているが、そちらの限度額を越えた場合、アスキーのVISAで新たに買物はできるのか、つまり二つのカードはまったく別なものと考えていいのかどうか、聞いてみてくれないか。大丈夫だとは思うけど。そんなに急がなく
てもいいけどね。
 tel 811−3111 日本信販(アスキーカードの国際VISA)

 とりあえず、無事に着きました。

 ではまたね。


【東京】
To: LBH050 (10084:LBH050)
From: UNP063 Delivered: Fri 9-Dec-88 14:00 GMT Sys
7014 (10)
Subject: '11:00 midnight'
Mail Id: IPM-7014-881209-126090001
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 お帰りなさい。やっとロンドンに着きましたね。
 今日はメールがなかなか送れませんでした。
 まず、まだ寝ているのではないかと思い、送る時間が少し遅くなったのです、準備はしてありましたが。
 そのうえうまくつながらなくて元に戻らなくなったり、JISコードを直し忘れて文字化けを起こし、またうまく戻らなくなったりして、久しぶりにあわてました(通信ソフトがシフトJISに設定してあるので、この通信の場合は7ビット系の新JISに変更しなければならないのです)。
 一度変なとこにいってしまうと、もうどうしても何をやってもまるでいうことを聞いてくれなくなってしまって困ります。
 今回は仕方なくリセットを押しました。でもご安心を、中味は壊れていません。dirで調べてちゃんとファイルがありました。こういう時はいったいどうすればいいのでしょう。CTRL+PもCTRL+Cも+++も、とにかく何も受け付けてくれないのです。本当に祈りながらリセットしました。もうこんな思いは二度といやです。どうかよい知恵を。
 話は変わりますが、どうやら***(A編集部の原稿)の分があがりそうです。いま清書しているそうで、それが19日にはあがってくるらしいのです。そうなるとシナリオの分と合わせて結構後半(12月)に仕事が集中してしまうということになりますが、さてどうなりますか。
 つまり、こんなことを言い出したのは、実は今度の日曜に、ディズニーランドへ子供たちをつれて行こうかなと考えているのです。もちろんまだ子供たちには内緒です。日曜の朝起きてみていい天気なら、午後からでも行こうと思うのですが、いかがでしょう。やはり欲求不満気味なので少し解消してやろうかと思います。
 お義母さんはここのところ風邪でよけいに具合が悪いらしく、できるだけ散歩に行こうとはしていますが、家にいるときは部屋に篭ることが多くなってます。食事には出てきてくれますが、終わると部屋で横になってます。治るまではしかたないかも知れませんね。
 聡はここのところ、前よりお菓子を食べなくなりました。まあ、蜜柑ぐらいは許してますが、あめもパラチノースという虫歯にならない甘味料を使ったものを食べてます。えらーい!
 鏡子は今日学校から帰ってきたのが4時半頃でした。いつも金曜日は3時頃なのですが、その上にテーマ学習の発表の準備をしていたそうなのです。こうやってだんだん帰りが遅くなるんですよね。
 では、ロンドンへ帰ってきて古巣のような気がしているのではないかと思われる父さんへ。
 眞弓より


【ロンドン】
mail 7014:unp063 su 6:00pm London

 午後、洗濯を終えてから、少し寝ました。
 1時間ほどですが、疲れていたせいか、気持ちが良かった。
 これから、飯を食べがてら、ソーホーにでも出てみます。
 帰りは夜中になるでしょう。

 さて、ハングアップの件ですが、それはほとんどの場合、KDM側の問題なので、CTRキー+Q、P、Cでだめなら、電話を切ってしまうのです。
 つまり、切換器を向こう側の電話に一度切り換えるのです(1回線を切換器で使い分けている。ここでは、モデムと接続している回線を通話専用の電話機の方に切り換えるということ)。
 そうすると強制的に電話は切れて、コンピューターの方は、何かキーを押すかすると、NO CARRERとか出て、制御がコンピューター側に戻ります。
 これは、KDM側のコンピューターに支配されている状態を脱する方法です。もちろん、ハングアップしたら、恐れることなくリセットボタンです。
 ときどき、時間帯なんかで、回線の状態が悪いときがあります。こんな時にそういう状態が起こりやすい。
 また、KDM側でも、しばらくするとその状態を察知して、回線を切るなりします。

 リセットで覚悟しなければならないのは、その最中に作られたものは書き込まれないうちに終わるので、その分の文書は存在しないということです。
 ただし、そのほかのものには影響を与えないので、安心を。

 1200ボーの状態が悪いときは300ボーでつなぐと、遅いけれどたいていうまくいきます。
 まだ大して回線の数はないのではないかと思います。だから、システムがダウンしたりするわけです。

 漢字コードの切り替えを忘れて送ると、メールは送れません。
 このようなときは、CTR+Pを押して、ストップさせ、反応がなくなったところで、.S+リターン、.END+リターンと、メールの終わりを示すと向こうが反応します。
 そして、イレギュラーの表示が出て>のプロンプトに戻ります。このときのメール送信はは異常終了になっているはずです。
 ESTERMの漢字コードを切り換えて再度送るには、JMAILのあとにまず失敗したメールを消すかどうか聞いてきますので、リターン(yes)、それから送る作業に入るわけです。
 ところで、これは僕の方のやり方から類推したもので、つまりこちらからはJMAILを使えないので、PCMAILというコマンドで送っているのです。
 ただ、どうせ考え方は同じようなものだから、コマンドの体系は一緒だと思います。
 細かいところで違うかも知れませんが、こんなものでしょう。
(以上、KDM、つまりDIALECOMのコマンド操作について述べている。KDMのホストはDIALECOMのソフトウェア・システムを使用している。ロンドンには必要な部分しか、マニュアルのコピーを持っていかなかったのではっきりしたことはいえなかったのです)

 聡にとーさんがほめていたと伝えてください。
 じぶんからがんばろうと思うことは、どんなことよりも一番いいことだぞ。
 とーさんは、そういう聡が大すきです。
 鏡子ももちろんがんばりやさんだよね。
 ふたりとも、とてもがんばる子たちだから、とーさん、大すきだよ。

 では、また明日にメールをします。


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